2024年03月01日

雇用関連統計24年1月-宿泊・飲食サービス業は就業者数が大幅に増加する一方、新規求人数は減少が続く

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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1.失業率は前月から0.1ポイント低下の2.4%

総務省が3月1日に公表した労働力調査によると、24年1月の完全失業率は前月から0.1ポイント低下の2.4%(QUICK集計・事前予想:2.4%、当社予想も2.4%)となった。
完全失業率と就業者の推移 労働力人口が前月から2万人の減少となる中、就業者が前月から3万人減少し、失業者は前月から2万人減の170万人(いずれも季節調整値)となった。

24年1月分の公表と同時に過去に遡って季節調整値が改定された。失業率は23年3月が2.8%から2.7%へ下方修正される一方、12月が2.4%から2.5%へ上方修正された。この結果、23年中の失業率は2.5%~2.7%の狭い範囲で推移する形となった。
就業者数は前年差25万人増(12月:同38万人増)と18ヵ月連続で増加した。産業別には、卸売・小売業が前年差11万人減(12月:同3万人減)と3ヵ月連続で減少し、医療・福祉が前年差18万人減(12月:同2万人増)と3ヵ月ぶりに減少したが、宿泊・飲食サービス業が前年差22万人増(12月:同21万人増)と19ヵ月連続で増加し、製造業が前年差16万人増(12月:同28万人増)、と3ヵ月連続で増加した。
産業別・就業者数の推移/雇用形態別雇用者数
雇用者数(役員を除く)は前年に比べ44万人増(12月:同61万人増)と23ヵ月連続で増加した。雇用形態別にみると、正規の職員・従業員数が前年差31万人増(12月:21万人増)と3ヵ連続で増加、非正規の職員・従業員数が前年差13万人増(12月:同39万人増)と5ヵ月連続で増加した。

2.減少が続く宿泊・飲食サービス業の新規求人数

厚生労働省が3月1日に公表した一般職業紹介状況によると、24年1月の有効求人倍率は前月から横ばいの1.27倍(QUICK集計・事前予想:1.27倍、当社予想も1.27倍)となった。有効求人数が前月比0.2%、有効求職者数が同▲0.1%%といずれも前月からほぼ横ばいであった。

有効求人倍率の先行指標である新規求人倍率は前月から0.03ポイント上昇の2.28倍となった。新規求人数が前月比▲1.2%の減少、新規求職申込件数が同▲2.5%の減少となった。

新規求人数は前年比▲3.0%(12月:同▲3.3%)と5ヵ月連続で減少した。産業別には、生活関連サービス・娯楽業が前年比5.7%(2月:同▲8.4%)と8カ月ぶりに増加に転じたが、製造業(同▲11.6%)、建設業(同▲3.8%)が11ヵ月連続、卸売・小売業(同▲5.8%)が8ヵ月連続、宿泊・飲食サービス業(同▲8.8%)が3ヵ月連続で減少した。
有効求人倍率の推移/産業別新規求人数
雇用情勢は改善傾向が続いているが、23年に入ってからは有効求人倍率の低下、新規求人数の減少が続いており、企業の求人意欲に陰りが出てきたことを示している。特に、宿泊・飲食サービス業は就業者の大幅増加が続く一方、新規求人数が減少に転じており、両者の動きが大きく乖離している。
充足率と就職件数 充足率(新規求人数に対する就職件数の割合)が10%台前半の過去最低水準で推移するなど、ハローワークの求人が採用につながりにくくなっていることを背景に、採用方法がハローワークから民間職業紹介所、広告等の他のチャネルにシフトしている可能性が考えられるだろう。
 
 

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斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

(2024年03月01日「経済・金融フラッシュ」)

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