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- 新NISAがスタート。その影響は?~2024年1月の投信動向~
コラム
2024年02月07日
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インデックス型の外国株式に資金集中
2024年1月の日本籍追加型株式投信(ETFを除く。以降、ファンドと表記)の推計資金流出入をみると、1月はファンド全体に1兆3,000億円の資金流入があった。国内株式ファンドやバランス型ファンドにも流入があったが、1兆1,600億円は外国株式ファンドへの流入だった【図表1】。
しかも外国株式ファンドへの1兆1,600億円のうち9,600億円は一般販売されているインデックス型であった。一般販売されているインデックス型の外国株式ファンドとしては過去最大の資金流入であり、しかも2023年12月の3,500億円はおろか、これまで最大であった2023年10月の4,000億円と比べても2倍以上に膨らんだ。たった1か月で2023年1年間の流入額3兆5,000億円の3割に近い資金流入があったことになる。新NISAが始まった1月に、インデックス型の外国株式ファンドの売れ方がいかに凄かったことが分かる。
しかも外国株式ファンドへの1兆1,600億円のうち9,600億円は一般販売されているインデックス型であった。一般販売されているインデックス型の外国株式ファンドとしては過去最大の資金流入であり、しかも2023年12月の3,500億円はおろか、これまで最大であった2023年10月の4,000億円と比べても2倍以上に膨らんだ。たった1か月で2023年1年間の流入額3兆5,000億円の3割に近い資金流入があったことになる。新NISAが始まった1月に、インデックス型の外国株式ファンドの売れ方がいかに凄かったことが分かる。
全世界、先進国株式のインデックス型が、やや人気
個別でみても、1月に資金流入が大きかった10本中6本(赤太字)がインデックス型の外国株式ファンドであり、どれも12月から資金流入が急増した【図表3】。特にグローバルに地域分散している「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(1位)が1本のみで3,400億円を超えており、爆売れ状態であった。
そもそもインデックス型の外国株式ファンドは、2020年ごろから米国株式ものが販売をけん引してきた。それが2023年は米国株式ものの販売拡大がやや鈍化する一方でグローバルに地域分散しているものが伸びた。この1月の販売動向を見る限りでは、2024年に入っても2023年の流れが続いている様子である。つまり、どちらかといったら米国株式ものへの投資よりも全世界株式や先進国株式などグローバルな分散投資を意識する投資家が新NISA等でもやや多い様子である。
そもそもインデックス型の外国株式ファンドは、2020年ごろから米国株式ものが販売をけん引してきた。それが2023年は米国株式ものの販売拡大がやや鈍化する一方でグローバルに地域分散しているものが伸びた。この1月の販売動向を見る限りでは、2024年に入っても2023年の流れが続いている様子である。つまり、どちらかといったら米国株式ものへの投資よりも全世界株式や先進国株式などグローバルな分散投資を意識する投資家が新NISA等でもやや多い様子である。
尖ったインデックス型も売れた
なお、1月は地域分散もの、米国株式ものと比べると少額であるが、インデックス型のインド株式ファンドに400億円の資金流入があり100億円未満だった12月から大幅に増えた。また、インデックス型の米国株式ファンドもS&P500種株価指数に連動するもの(【図表3】2位、5位など)が売れ筋ではあるが、「<購入・換金手数料なし>ニッセイNASDAQ100インデックスファンド」(6位)や「iFreeNEXT FANG+インデックス」(10位)などの主に米ハイテク株式で構成されている指数に連動するもの(【図表2】米ハイテク株)の資金流入も12月と比べて急増した。一部では、新NISAからインド株式や米ハイテク株式などに集中投資する動きもあったようである。
新NISAと無関係な毎月分配型も相変わらず売れた
また、一般販売されているアクティブ型の外国株式ファンドにも1月に1,800億円の資金流入があり、2023年10月以来3カ月ぶりに流入超過に転じた。しかも、牽引役はこれまでと同様に毎月分配型の2本(【図表3】緑太字)であった。毎月分配型は新NISAからは購入することができないが、意外にもこの2本についてはとりあえず新NISAが始まった1月も12月並みに売れたといえる。ただし、1月は「アライアンス・バースタイン・米国成長株投信」の予想分配金提示型のDコース(4位)だけでなく、新NISAの成長投資枠で購入可能なBコース(9位)もよく売れた。アクティブ型の外国株式ファンドも一部では新NISAの影響があったのかもしれない。
国内株式も実は新NISAからの買い?
外国株式ファンドだけでなく、1月は国内株式ファンドにも1,300億円の資金流入があり12月の700億円から増加した。国内株式ファンドの中ではアクティブ型に好配当株のものを中心に1,000億円の資金流入があり、12月の500億円から倍増した。また、インデックス型についても流入額は100億円と少額ではあったが2023年10月以来3カ月ぶりに流入超過に転じた。
国内株式は1月に日経平均株価が3万6,000円を超え月間の上げ幅が3,000円に迫るなど大きく上昇した。そのため1月はインデックス型を中心に利益確定売りが出やすかった割には、アクティブ型へ流入が増え、インデックス型も流入超過になり、金額以上に売れた印象である。やはり新NISAの開始に伴って国内株式ファンドへの買付が増えているのかもしれない。
一部では新NISAの資金が国内株式の1月の大幅上昇に寄与したとの声がある。しかし、1月の投信の資金動向を見る限りでは新NISAによって国内株式ファンドへの買付が増えていたとしても、売りも多く、国内株式全体の株価を大きく押し上げるほどではなかったことは確かだろう。
国内株式は1月に日経平均株価が3万6,000円を超え月間の上げ幅が3,000円に迫るなど大きく上昇した。そのため1月はインデックス型を中心に利益確定売りが出やすかった割には、アクティブ型へ流入が増え、インデックス型も流入超過になり、金額以上に売れた印象である。やはり新NISAの開始に伴って国内株式ファンドへの買付が増えているのかもしれない。
一部では新NISAの資金が国内株式の1月の大幅上昇に寄与したとの声がある。しかし、1月の投信の資金動向を見る限りでは新NISAによって国内株式ファンドへの買付が増えていたとしても、売りも多く、国内株式全体の株価を大きく押し上げるほどではなかったことは確かだろう。
インカムものは販売低迷
その他に1月はバランス型ファンドも500億円の資金流入と2023年10月以来3カ月ぶりに流入超過に転じた。その一方で国内REITファンドと外国REITファンドは流出額こそ12月から減少したが引き続き資金流出であった。さらに外国債券ファンドは流出額こそ100億円未満と小さいが、資金流出に転じた。一般販売されている外国債券ファンドが流出超過になったのは2022年5月以来のことであった。
1月のみでは判断できないことも多い
いずれにしても内外株式ファンドの資金流入をみる限りでは、とりあえず新NISAを制度開始直後から積極的に活用する人が多かったことが示唆される。ただし、中には1月に成長投資枠の240万円すべて使って購入した人もいた可能性もある。そのため、2月以降もインデックス型の外国株式ファンドを中心に1月の勢いが続くのか、新NISA自体の動向と合わせて注目される。それに加えて、新NISA以外への影響、例えば毎月分配型が売れ続けるのか、インカムものの販売低迷が続くのかなども合わせて気になるところである。
トルコ株式と通貨選択型の国内株式ファンドが好パフォーマンス
(ご注意)当資料のデータは信頼ある情報源から入手、加工したものですが、その正確性と完全性を保証するものではありません。当資料の内容について、将来見解を変更することもあります。当資料は情報提供が目的であり、投資信託の勧誘するものではありません。
(2024年02月07日「研究員の眼」)
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経歴
- 【職歴】
2008年 大和総研入社
2009年 大和証券キャピタル・マーケッツ(現大和証券)
2012年 イボットソン・アソシエイツ・ジャパン
2014年 ニッセイ基礎研究所 金融研究部
2022年7月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会検定会員
・投資信託協会「すべての人に世界の成長を届ける研究会」 客員研究員(2020・2021年度)
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