2024年02月06日

HPVワクチンと子宮頸がん検診の動向~2022年度に3回目接種者数は対象人口の3割超。男性のワクチン定期接種化に向けた議論開始、HPV検査が公的がん検診に追加

保険研究部 主任研究員・ヘルスケアリサーチセンター兼任 村松 容子

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■要旨

「日本人の2人に1人は、生涯において一度はがんになる」と言われている。がんは、さまざまな要因によって発症しているが、日本人のがんの原因の約20%が感染による1。子宮頸がんもウイルス(HPV)が主な原因となっているがんとして知られている。HPVワクチンの接種が進めば、子宮頸がんを撲滅できると考えられている一方で、日本はワクチン接種が諸外国と比べて遅れている。

日本では、女性に対して定期接種を継続しつつ、積極的な勧奨は中止していたが、2022年4月に、9年ぶりに接種の積極的勧奨を再開した。2023年度から防ぐことができるHPVの種類が多い9価のワクチンも選択できるようになった。また、男性のワクチン接種の定期接種化に向けた議論も始まっている。さらに、子宮頸がん検査だけでなくHPV保有検査も公的がん検診に追加される見込みである等、子宮頸がん検診やHPVワクチン接種に関する環境が変わってきている。

本稿では、感染によるがんの中で、子宮頸がん予防のためのHPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンについて、最近の状況を紹介する。
 
1 国立がん研究センター がん情報サービス「がんの発生要因」子宮頸がんのほか、B型やC型の肝炎ウイルスによる肝がん、ピロリ菌による胃がんがその大半を占めるとされる。(https://ganjoho.jp/public/pre_scr/cause_prevention/factor.html、2024年1月30日アクセス)。


■目次

1――HPVワクチン定期接種を巡る状況
  1|子宮頸がんとは
  2|国内におけるHPVワクチンの種類
  3|HPVワクチンの積極的勧奨再開の経緯
  4|接種人数と定期接種率の推移
2――接種対象者、および保護者のHPVワクチンに対する考え方
3――子宮頸がん検診の動向
4――常に新しく正しい情報を得ていくことが重要
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保険研究部   主任研究員・ヘルスケアリサーチセンター兼任

村松 容子 (むらまつ ようこ)

研究・専門分野
健康・医療、生保市場調査

経歴
  • 【職歴】
     2003年 ニッセイ基礎研究所入社

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