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- ユーロ圏消費者物価(24年1月)-総合指数、コア指数ともにわずかに低下
2024年02月02日
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1.結果の概要:総合指数、コア指数ともにわずかに低下
2月1日、欧州委員会統計局(Eurostat)は24年1月のユーロ圏のHICP(Harmonized Indices of Consumer Prices:EU基準の消費者物価指数)速報値を公表し、結果は以下の通りとなった。
【総合指数】
・前年同月比は2.8%、市場予想1(2.7%)から上振れ、前月(2.9%)から下落した(図表1)
・前月比は▲0.4%、予想(▲0.4%)と一致、前月(0.2)からマイナスに転じた
【総合指数からエネルギーと飲食料を除いた指数2】
・前年同月比は3.3%、予想(3.2%)から上振れ、前月(3.4%)から低下した(図表2)
・前月比は▲0.9%、前月(0.5%)からマイナスに転じた
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。
2 日本の消費者物価指数のコアコアCPI、米国の消費者物価指数のコアCPIに相当するもの。ただし、ユーロ圏の指数はアルコール飲料も除いており、日本のコアコアCPIや米国のコアCPIとは若干定義が異なる。
2.結果の詳細:サービスインフレは横ばい推移が続く
24年1月のHICP上昇率3(前年同月比)は全体で2.8%となり、23年12月の2.9%からわずかに低下した。「コア部分(=エネルギーと飲食料を除く総合)」は3.3%と総合指数より高めの伸び率だが、23年12月の3.4%からわずかに低下した。
以下、詳細を「コア部分」「エネルギー」「飲食料(アルコール含む)」の3つに分けて見ていく。
まず、コア部分である「エネルギーと飲食料を除く総合」の内訳を見ると、「エネルギーを除く財(飲食料も除く)」が23年11月2.9%→12月2.5%→24年1月2.0%となり、2%まで低下した。一方、「サービス」(エネルギーを除く)は23年11月4.0%→12月4.0%→24年1月4.0%で、サービスインフレは3か月連続で横ばいとなった。前年同月比寄与度は、「財」が0.48%ポイント程度、「サービス」が1.64%ポイント程度と見られる。
コア以外の部分では「エネルギー」が前年同月比で23年11月▲11.5%→12月▲6.7%→24年1月▲6.3%とマイナスが続いている。ただし、マイナス幅は縮小しており、前月比では24年1月に0.9%と上昇している。エネルギーの前年同月比寄与度は▲0.85%ポイント程度と見られる。
以下、詳細を「コア部分」「エネルギー」「飲食料(アルコール含む)」の3つに分けて見ていく。
まず、コア部分である「エネルギーと飲食料を除く総合」の内訳を見ると、「エネルギーを除く財(飲食料も除く)」が23年11月2.9%→12月2.5%→24年1月2.0%となり、2%まで低下した。一方、「サービス」(エネルギーを除く)は23年11月4.0%→12月4.0%→24年1月4.0%で、サービスインフレは3か月連続で横ばいとなった。前年同月比寄与度は、「財」が0.48%ポイント程度、「サービス」が1.64%ポイント程度と見られる。
コア以外の部分では「エネルギー」が前年同月比で23年11月▲11.5%→12月▲6.7%→24年1月▲6.3%とマイナスが続いている。ただし、マイナス幅は縮小しており、前月比では24年1月に0.9%と上昇している。エネルギーの前年同月比寄与度は▲0.85%ポイント程度と見られる。
「飲食料(アルコール含む)」は、前年同月比で5.7%(23年12月6.1%)と10か月連続で低下した(図表3)。飲食料のうち加工食品の伸び率は5.3%(23年12月5.9%)と低下傾向にあるが、未加工食品は7.0%(23年12月6.8%)と2か月連続で上昇している。飲食料の前年同月比寄与度は1.22%ポイント程度(23年12月は1.21%ポイント)と見られる。
ECBが公表する季節調整済系列は、主要項目では本稿執筆時点ではエネルギーを除く財と食料品のみが公表されており、3か月移動平均後の3か月前比年率でそれぞれ0.28と3.1%だった。
ただし、物価上昇の勢いは総じて減速していると見られるものの、粘着性の高いサービス物価は横ばいで推移しており、サービスインフレと相関性の高い賃金上昇率も高止まりしている(図表4)。また、年末には賃金の先行指標と言える求人賃金上昇率の低下に下げ止まり感が見られる。
ECBが公表する季節調整済系列は、主要項目では本稿執筆時点ではエネルギーを除く財と食料品のみが公表されており、3か月移動平均後の3か月前比年率でそれぞれ0.28と3.1%だった。
ただし、物価上昇の勢いは総じて減速していると見られるものの、粘着性の高いサービス物価は横ばいで推移しており、サービスインフレと相関性の高い賃金上昇率も高止まりしている(図表4)。また、年末には賃金の先行指標と言える求人賃金上昇率の低下に下げ止まり感が見られる。
国別のHICP上昇率は、前年同月比で公表されている19か国中、上昇したのは8か国、残りの11か国は低下した(図表5)。また、物価目標の2%を下回った国は6か国だった。なお、前月比では5か国がプラス、14か国がマイナスの伸び率だった(図表6)。
3 23年からはユーロ圏20か国のデータ、22年までは19か国のデータ(以降も特に断りがない限り同様)。
3 23年からはユーロ圏20か国のデータ、22年までは19か国のデータ(以降も特に断りがない限り同様)。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2024年02月02日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1818
経歴
- 【職歴】
2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
2009年 日本経済研究センターへ派遣
2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
2014年 同、米国経済担当
2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
2020年 ニッセイ基礎研究所
2023年より現職
・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
アドバイザー(2024年4月~)
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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