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マイナ保険証の利用状況と意向~マイナ保険証登録者・マイナポータルを介した健診・受診記録を閲覧者はどのような人か
保険研究部 主任研究員・ヘルスケアリサーチセンター兼任 村松 容子
1――はじめに
2023年12月に、これまでの健康保険証は2024年12月2日に廃止することが決まったが、どういった人がマイナンバーカードと保険証の紐づけを終えていて、どういった人がマイナポータルで健診結果や受診記録を閲覧することに関心を持っているのだろうか。本稿では、2023年6月にニッセイ基礎研究所が行ったインターネット調査の結果を紹介する。
1 村松容子「データヘルス改革による健康・医療データ利活用推進の状況」ニッセイ基礎研究所 基礎研レポート(2023年1月11日)
2――マイナンバーカードの保険証としての利用状況~国の公表資料から
また、保険医療機関・薬局全体の9割近くが既にオンライン資格確認を開始している4が、医療機関においてマイナンバーカードで受診したのは727万件で、2023年11月で全受診の4.3%5に留まる。マイナンバーカードで受診した割合は、マイナンバーカードを使った方が初診料、再診料が安くなった2023年4月をピークとして、それ以降は低下している(図表1)。マイナンバーカードを持参し、閲覧に同意をした患者の194万件で特定健診情報、295万件で薬剤情報、271万件で診療情報の閲覧が行われていた。マイナンバーカードを利用した件数との比をみると、特定健診の結果と診療情報の閲覧はやや上昇しているが、薬剤情報の閲覧は上昇していない(図表2)。
マイナンバーカードの普及と保険証との紐づけが進み、カードリーダーを置く病院が増えたことで、当初と比べれば利用は増えてはいるが、活発に利用されるようになってきている様子はない。
2 総務省「マイナンバーカード交付状況について」より。保有枚数とは、マイナンバーカード交付枚数(およそ9905万枚)から、死亡や有効期限切れなどにより廃止された枚数を除いた枚数。
3 デジタル庁「マイナンバーカードの普及に関するダッシュボード(2023年12月22日時点)」(https://www.digital.go.jp/resources/govdashboard/mynumber_penetration_rate、2024年1月11日アクセス)
4 厚生労働省「オンライン資格確認の導入について(医療機関・薬局、システムベンダ向け)」(2023年12月24日時点)によると、保険医療機関・薬局全体の91.6%が準備を完了しており89.6%で運用を開始している。(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08280.html、2024年1月11日アクセス)
5 厚生労働省「オンライン資格確認の導入について(医療機関・薬局、システムベンダ向け)」(2023年12月24日時点)
オンライン資格確認のマイナンバーカード利用数/(マイナンバーカード利用数+従来の保険証利用数)で計算した。(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08280.html、2024年1月11日アクセス)
3――"マイナ保険証"利用状況・意向~インターネット調査から
そこで、ニッセイ基礎研究所が2023年6月に実施した調査を使って、どういった人がマイナンバーカードと保険証の紐づけを終えていて、どういった人がマイナポータルで健診結果や受診記録を閲覧することに関心を持っているのかをみる。使用したのはニッセイ基礎研究所が2023年6月に実施した「生活に関する調査」の結果である。本調査では、消費者の価値観やライフスタイル、生活リスクに対する認識を確認するためにライフスタイルや生活行動、生活不安等幅広い質問を行っている。調査は全国の20~74歳の男女を対象に行ったインターネット調査で、回答数は2583件だった。本稿では、本調査のうち、健康保険に加入していることが確認できた2355件を使った。
続いて、国によるマイナポータルを使った健康診断や受診記録の閲覧について、これまでの利用経験と関心を尋ねたところ、「すでに利用している」と回答したのは1.4%だった。「関心がある計(関心がある+やや関心がある)」は18.0%で、半数強が「関心がない計(あまり関心がない+関心がない)と回答した。(図表5)。
(2024年01月30日「保険・年金フォーカス」)
03-3512-1783
- 【職歴】
2003年 ニッセイ基礎研究所入社
村松 容子のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
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