コラム
2024年01月22日

投資部門別週間売買動向(24年1月第2週)~海外投資家が大幅買い越し~

金融研究部 研究員 森下 千鶴

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東京証券取引所は、2024年1月18日に、1月第2週(1月9日~12日)の週間投資売買動向を発表した。同期間に、日経平均株価は2023年末比で約2,200円の大幅な上昇を記録しており、今回の買いの主体と投資部門別の売買規模に注目が集まっていた。

東証の発表によると、1月第2週は、海外投資家、事業法人が買い越す一方で、個人、信託銀行が売り越した。
図表1 主な週次投資部門別売買動向と日経平均株価の推移
1月第2週(1月9日~12日)の投資部門別の売買動向をみると、海外投資家が現物と先物の合計で1兆4,456億円の買い越しと、最大の買い越し部門であった。図表2は、海外投資家の売買動向を現物と先物に分けて集計したものである。中長期資金が多いと思われる現物は9,557億円の買い越し、短期資金が多いと思われる先物は4,899億円の買い越しだった。特に、現物は2023年4月第2週(1兆495億円)以来の買い越し額であり、積極的な買いが入っていたことが考えられる。
図表2 海外投資家は大幅買い越し
図表3は、2023年末を100として、代表的な指数の2024年初来の推移をまとめたものである。TOPIXコア30の大型株がTOPIXをアウトパフォームした一方で、TOPIX Smallや東証グロース市場250指数(旧東証マザーズ指数)といった小型株はTOPIXをアンダーパフォームした。海外投資家は大型株を中心に大幅に買い越しており、市場全体に物色が広がったのではなかったようだ。
図表3 TOPIXコア30(大型株)が指数をアウトパフォーム
一方で、個人は現物と先物の合計で1月第2週(1月9日~12日)に1兆2,127億円の売り越しと、最大の売り越し部門であった。
図表4 個人は大幅に売り越し
図表5は、過去10年間の海外投資家と個人の売買動向と日経平均株価リターンの関係を週次でまとめたものである。赤色は直近2024年1月第2週の結果である。今年は新NISA開始による個人の日本株投資が注目されていたが、株価上昇時には利益確定売りが優勢となる個人の逆張り傾向は、2024年も継続しているようだ。
図表5 個人の逆張り傾向は継続
一方で海外投資家は現物と先物を合わせて、2023年4月第1週から10週連続で買い越し、この間に日経平均株価は約4,000円上昇した。今回も、現物買いに中長期資金の買いがある程度含まれているとすれば、海外投資家の買いは今後数週間は継続する可能性がある。ただし、海外投資家は円安や金融緩和継続期待等による買いが中心であり、指数自体は上昇しているが、買われているのは大型株のみというかなり偏った買いの状況となっている。ここから2月中旬にかけて、第3四半期決算および12月決算企業の決算発表が本格化する。指数の水準が果たして適正なのか、決算発表を通じて個別の企業業績動向に注目が集まる。
図表6 決算発表スケジュール
 
 

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金融研究部   研究員

森下 千鶴 (もりした ちづる)

研究・専門分野
株式市場・資産運用

経歴
  • 【職歴】
     2006年 資産運用会社にトレーダーとして入社
     2015年 ニッセイ基礎研究所入社
     2020年4月より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会検定会員
     ・早稲田大学大学院経営管理研究科修了(MBA、ファイナンス専修)

(2024年01月22日「研究員の眼」)

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