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- 2023~2025年度経済見通し-23年7-9月期GDP2次速報後改定
2023年12月08日
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(2023年度の名目GDP成長率は33年ぶりの高さへ)
名目GDPは実質GDPを大きく上回る伸びが続いている。GDPデフレーターは2022年10-12月期に前年比1.5%と上昇に転じた後、2023年1-3月期が同2.3%、4-6月期が同3.8%、7-9月期が同5.3%と上昇ペースが急加速している。先行きはピークアウトする公算が大きいが、2023年度のGDPデフレーターは前年比4.1%となり、2022年度の同0.8%から大きく高まる可能性が高い。この結果、2023年度の名目GDP成長率は5.6%となり、1990年度 (8.3%)以来、33年ぶりの高い伸びとなることが予想される。その後は円高による輸入物価の低下が国内物価に波及することにより、GDPデフレーターの上昇率は鈍化するが、2024年度、2025年度ともに名目成長率が実質成長率を上回るだろう。
この結果、名目GDPの水準は、四半期では2024年1-3月期、年度では2024年度に600兆円を超えることが予想される。
名目GDPは実質GDPを大きく上回る伸びが続いている。GDPデフレーターは2022年10-12月期に前年比1.5%と上昇に転じた後、2023年1-3月期が同2.3%、4-6月期が同3.8%、7-9月期が同5.3%と上昇ペースが急加速している。先行きはピークアウトする公算が大きいが、2023年度のGDPデフレーターは前年比4.1%となり、2022年度の同0.8%から大きく高まる可能性が高い。この結果、2023年度の名目GDP成長率は5.6%となり、1990年度 (8.3%)以来、33年ぶりの高い伸びとなることが予想される。その後は円高による輸入物価の低下が国内物価に波及することにより、GDPデフレーターの上昇率は鈍化するが、2024年度、2025年度ともに名目成長率が実質成長率を上回るだろう。
この結果、名目GDPの水準は、四半期では2024年1-3月期、年度では2024年度に600兆円を超えることが予想される。
(物価の見通し)
消費者物価(生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は3%台の伸びが続いていたが、2023年9月には前年比2.8%と13ヵ月ぶりに3%を割り込んだ。しかし、コアコアCPI(生鮮食品及びエネルギーを除く総合)は7ヵ月連続で4%台の高い伸びとなっており、基調的な物価上昇圧力は高い状態が続いている。
2022年1月から実施されてきたガソリン、灯油等に対する燃料油価格激変緩和措置は、2023年9月末には終了する予定となっていた。しかし、円安、原油高の再進行を受けて、政府は同措置を年末まで延長することとし、11月に策定された経済対策では4月末まで延長することとした。また、2023年2月から実施されている電気・都市ガス代の激変緩和措置は、10月に値引き額を半減した上で、2024年4月末まで延長し、5月には激変緩和の幅を縮小するとした。
足もとのガソリン店頭価格は、補助金がなければ1リットル当たり190円台となっており、円高、原油安が大きく進まない限り、2024年春頃でも政府が目標としている175円を大きく上回る。また、補助額が一定となっている電気代、都市ガス代は、燃料価格の上昇を反映し今後は上昇することが見込まれる。2024年4月末までとなっている激変緩和措置は5月以降も継続される公算が大きい。
消費者物価(生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は3%台の伸びが続いていたが、2023年9月には前年比2.8%と13ヵ月ぶりに3%を割り込んだ。しかし、コアコアCPI(生鮮食品及びエネルギーを除く総合)は7ヵ月連続で4%台の高い伸びとなっており、基調的な物価上昇圧力は高い状態が続いている。
2022年1月から実施されてきたガソリン、灯油等に対する燃料油価格激変緩和措置は、2023年9月末には終了する予定となっていた。しかし、円安、原油高の再進行を受けて、政府は同措置を年末まで延長することとし、11月に策定された経済対策では4月末まで延長することとした。また、2023年2月から実施されている電気・都市ガス代の激変緩和措置は、10月に値引き額を半減した上で、2024年4月末まで延長し、5月には激変緩和の幅を縮小するとした。
足もとのガソリン店頭価格は、補助金がなければ1リットル当たり190円台となっており、円高、原油安が大きく進まない限り、2024年春頃でも政府が目標としている175円を大きく上回る。また、補助額が一定となっている電気代、都市ガス代は、燃料価格の上昇を反映し今後は上昇することが見込まれる。2024年4月末までとなっている激変緩和措置は5月以降も継続される公算が大きい。

この結果、激変緩和措置による消費者物価上昇率への影響は、2023年10-12月期まではコアCPI上昇率の押し下げ要因となるが、2024年1-3月期以降は押し上げ要因となるだろう。激変緩和措置によるコアCPI上昇率への影響を年度ベースでみると、2022年度が▲0.7%程度、2023年度が▲0.3%程度、2024年度が0.5%程度、2025年度が0.4%程度となることが見込まれる。

財・サービス別には、2022年度は物価上昇のほとんどがエネルギー、食料(除く生鮮食品、外食)を中心とした財の上昇によるものだったが、物価上昇の中心は財からサービスにシフトしつつある。2024年度以降は、消費者物価上昇率への寄与度はサービスが財を上回るだろう。
コアCPIは、2022年度の前年比3.0%の後、2023年度が同2.8%、2024年度が2.0%、2025年度が1.4%、コアコアCPIは2022年度の前年比2.2%の後、2023年度が同3.9%、2024年度が同2.0%、2025年度が1.4%と予想する。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2023年12月08日「Weekly エコノミスト・レター」)
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経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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