- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 欧州経済 >
- ユーロ圏消費者物価(23年11月)-コア指数・総合指数ともに大幅低下
2023年12月01日
1.結果の概要:総合指数は前年比2%台半ば、コア指数も3%台半ばに低下
11月30日、欧州委員会統計局(Eurostat)は11月のユーロ圏のHICP(Harmonized Indices of Consumer Prices:EU基準の消費者物価指数)速報値を公表し、結果は以下の通りとなった。
【総合指数】
・前年同月比は2.4%、市場予想1(2.7%)から下振れ、前月(2.9%)から低下した(図表1)
・前月比は▲0.5%、予想(▲0.2%)より下振れ、前月(0.1%)からマイナスに転じた
【総合指数からエネルギーと飲食料を除いた指数2】
・前年同月比は3.6%、予想(3.9%)から下振れ、前月(4.2%)から低下した(図表2)
・前月比は▲0.6%、前月(0.2%)からマイナスに転じた
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。
2 日本の消費者物価指数のコアコアCPI、米国の消費者物価指数のコアCPIに相当するもの。ただし、ユーロ圏の指数はアルコール飲料も除いており、日本のコアコアCPIや米国のコアCPIとは若干定義が異なる。
2.結果の詳細:総合指数伸び率は5か国で物価目標を下回る
23年11月のHICP上昇率3(前年同月比)は全体で2.4%となり、10月の2.9%からさらに低下し、ECBの物価目標(2%)にかなり近づいた。「コア部分(=エネルギーと飲食料を除く総合)」は3.6%と総合指数より高めの伸び率だが、10月の4.2%から大幅に低下し3%台半ばとなった。
以下、詳細を「コア部分」「エネルギー」「飲食料(アルコール含む)」の3つに分けて見ていく。
まず、コア部分である「エネルギーと飲食料を除く総合」の内訳を見ると、「エネルギーを除く財(飲食料も除く)」が9月4.1%→10月3.5%→11月2.9%、「サービス」(エネルギーを除く)が9月4.7%→10月4.6%→11月4.0%となり、11月は財もサービスも大幅に伸び率が低下した。前年同月比寄与度は、「財」が0.72%ポイント程度、「サービス」が1.55%ポイント程度と見られる。
コア以外の部分では「エネルギー」が前年同月比で9月▲4.6%→10月▲11.2%→11月▲11.5%と2か月連続で2桁マイナスとなった。ベース効果による前年比伸び率の押し下げ寄与は失われつつあるが、11月は前月比でも▲2.2%と大きく下落したため大幅マイナスが続いた。エネルギーの前年同月比寄与度は▲1.75%ポイント程度(10月は▲1.45%ポイント)と見られる。
以下、詳細を「コア部分」「エネルギー」「飲食料(アルコール含む)」の3つに分けて見ていく。
まず、コア部分である「エネルギーと飲食料を除く総合」の内訳を見ると、「エネルギーを除く財(飲食料も除く)」が9月4.1%→10月3.5%→11月2.9%、「サービス」(エネルギーを除く)が9月4.7%→10月4.6%→11月4.0%となり、11月は財もサービスも大幅に伸び率が低下した。前年同月比寄与度は、「財」が0.72%ポイント程度、「サービス」が1.55%ポイント程度と見られる。
コア以外の部分では「エネルギー」が前年同月比で9月▲4.6%→10月▲11.2%→11月▲11.5%と2か月連続で2桁マイナスとなった。ベース効果による前年比伸び率の押し下げ寄与は失われつつあるが、11月は前月比でも▲2.2%と大きく下落したため大幅マイナスが続いた。エネルギーの前年同月比寄与度は▲1.75%ポイント程度(10月は▲1.45%ポイント)と見られる。
「飲食料(アルコール含む)」は、前年同月比で6.9%(10月7.4%)と8か月連続で大幅に低下した(図表3)。ただし、飲食料のうち加工食品の伸び率は7.1%(10月8.4%)、未加工食品は6.4%(10月4.5%)であり、加工食品は大幅に低下する一方で、未加工食品上昇率は反発している。なお、飲食料の前年同月比寄与度は1.52%ポイント程度(10月は1.48%ポイント)と見られる。
物価上昇の勢いをECBが公表する季節調整済系列で確認すると(図表4)、3か月移動平均後の3か月前比年率で総合指数が3.0%、コアが2.0%、エネルギーを除く財が0.8%、サービスが2.9%、飲食料が3.8%となった。総じて物価上昇の勢いは弱まっており、特に財価格上昇率は0%台に低下し、コア物価上昇率も物価目標付近に減速した。
物価上昇の勢いをECBが公表する季節調整済系列で確認すると(図表4)、3か月移動平均後の3か月前比年率で総合指数が3.0%、コアが2.0%、エネルギーを除く財が0.8%、サービスが2.9%、飲食料が3.8%となった。総じて物価上昇の勢いは弱まっており、特に財価格上昇率は0%台に低下し、コア物価上昇率も物価目標付近に減速した。
国別のHICP上昇率は、前年同月比で20か国中、上昇したのは4か国で残りの16か国は低下した(図表5)。また、物価目標の2%を下回った国は10月の3か国(ベルギー、オランダ、イタリア)から5か国に増加した(ラトビア、フィンランドが追加)。前月比では3か国がプラスの伸び率、17か国はマイナスの伸び率となった(図表6)。
3 23年からはユーロ圏20か国のデータ、22年までは19か国のデータ(以降も特に断りがない限り同様)。
3 23年からはユーロ圏20か国のデータ、22年までは19か国のデータ(以降も特に断りがない限り同様)。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2023年12月01日「経済・金融フラッシュ」)
このレポートの関連カテゴリ
03-3512-1818
経歴
- 【職歴】
2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
2009年 日本経済研究センターへ派遣
2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
2014年 同、米国経済担当
2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
2020年 ニッセイ基礎研究所
2023年より現職
・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
アドバイザー(2024年4月~)
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
高山 武士のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2024/11/01 | ユーロ圏失業率(2024年9月)-失業率は過去最低水準の6.3% | 高山 武士 | 経済・金融フラッシュ |
2024/11/01 | ユーロ圏消費者物価(24年10月)-総合指数は再び前年比2%まで上昇 | 高山 武士 | 経済・金融フラッシュ |
2024/10/31 | ユーロ圏GDP(2024年7-9月期)-前期比0.4%で成長は加速 | 高山 武士 | 経済・金融フラッシュ |
2024/10/23 | IMF世界経済見通し-ディスインフレは順調に進むが、下振れリスクも | 高山 武士 | 経済・金融フラッシュ |
公式SNSアカウント
新着レポートを随時お届け!日々の情報収集にぜひご活用ください。
新着記事
-
2024年11月05日
今週のレポート・コラムまとめ【10/29-11/1発行分】 -
2024年11月01日
為替介入の軌跡を振り返る~2022年以降のまとめと今後の行方 -
2024年11月01日
汎欧州年金商品の将来に向けた改定の方向性(欧州)-EIOPAの提案書の紹介 -
2024年11月01日
ユーロ圏失業率(2024年9月)-失業率は過去最低水準の6.3% -
2024年11月01日
米個人所得・消費支出(24年9月)-堅調な個人消費の一方、コアPCE価格指数は高止まり
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
-
2024年02月19日
News Release
【ユーロ圏消費者物価(23年11月)-コア指数・総合指数ともに大幅低下】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
ユーロ圏消費者物価(23年11月)-コア指数・総合指数ともに大幅低下のレポート Topへ