2023年11月17日

4人に1人がNISAを利用するシニア未婚女性~投資への意識・行動が最も積極的な消費主体に注目

生活研究部 准主任研究員・ジェロントロジー推進室兼任 坊 美生子

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1――はじめに

筆者の既出レポートで、65歳以上の高齢者のうち、未婚女性は、老後の生活資金のために、約26%がNISA(小型投資非課税制度)を利用していることを報告した1。長寿を見据えて、4人に1人が投資を行っていることになり、投資への関心が高く、行動が積極的な主体と言える。これまでも、個人投資家の年齢や世帯収入等に着目した分析はあったが、配偶関係に着目したものは殆ど見当たらない。筆者はシングルシニアのライフスタイルに関心を持っていることから、高齢者の性別と配偶関係に着目して資産形成の状況を分析したところ、思いがけず、投資に積極的な「シニアの未婚女性」という消費主体を発見した。本稿では、このような積極性と関連がありそうなシニア未婚女性の特徴について考察する。

2――投資に積極的なシニアの未婚女性

2――投資に積極的なシニアの未婚女性

2-1│着実な生活資金の備え
まず、改めて性・配偶関係別に資産形成の差について分析した結果を紹介する。公益財団法人生命保険文化センター(以下、文化センター)が2020年に行った「ライフマネジメントに関する高齢者の意識調査」の高齢者調査のデータを基に、筆者が分析した結果が図表1である。「あなたは退職後の生活資金形成のための経済的な準備をしていますか」との設問に対し、未婚女性の25.8%が「NISA(小型投資非課税制度)」を利用していると回答した。男性全体の平均が10.3%、女性全体の平均が9.0%であることを考えても、高い回答率となっている。

未婚女性の他の欄を見ると、そもそも退職後の生活資金を「準備していない」との回答が9.7%と、すべての性・配偶関係の中で最も低い。逆に、何らかの準備をしている未婚女性は約9割に上ることになる。具体的な対策をみると、「預貯金」を準備している人は83.9%に上り、こちらも、すべての性・配偶関係の中で最も高い。つまり、未婚女性は長寿を見越して、着々と資産形成を進めており、その一つとしてNISAを利用する人が4人に1人の割合に上っている、ということになる。

本調査では、NISAを用いて保有している金融商品の種類や時価総額等については聞いていないため、投資規模や目的等は把握できない。また、未婚女性では生活資金への備えとして「NISA、iDeCo以外の株式・債権等の有価証券」と回答した人は3.2%と僅かであるため、投資経験自体は浅く、投資規模も小さい可能性がある。むしろ、非課税メリットを得るために、NISAに限定して投資を行っている可能性がある。いずれにせよ、投資にチャレンジする人が多いのは事実と言える。
図表1 性・配偶関係別にみた老後の生活資金の備えとして行っていること(高齢者)
また、同じ文化センターの調査で、「将来、判断能力が不十分になったときに株や証券などの金融資産を家族や成年後見人にどのように扱って欲しいですか」という設問に対しても、未婚女性は「適切に運用する」との回答割合が、すべての性・配偶関係の中で最も大きい4割弱となった(図表2)2。逆に、「そのまま保持する」との回答は1割未満だった。資産の「保有」よりも、「運用」への意識・関心が最も高い層であると言える。
図表2 性・配偶関係別にみた判断能力低下時の金融資産の取り扱いに関する希望
2-2│中年の未婚女性との比較
投資に積極的であるのが、シニア以外の未婚女性にも共通するのかどうかをみるため、文化センターが40~59歳を対象に行った中年層調査のデータを用いて、中年男女についても、退職後の生活資金形成のための経済的な準備に関する回答を比較した(図表3)3。これを見ると、中年層では、未婚女性で、老後の生活資金のために準備していることとして「NISA」と回答した割合は16.1%で、女性全体と有意な差はなかった。NISAについては、年代が上がるほど利用割合が増えるという調査もあることから4、「NISAに積極的な未婚女性」は、シニアに限った特徴のようである。
図表3 性・配偶関係別にみた老後の生活資金の備えとして行っていること(中年層)
 
3 中年層調査はインターネット調査。
4 NISAの認知者のうち、口座を開設して、金融商品を保有している人の割合の比較(一般社団法人投資信託協会「2022年(令和4年)投資信託に関するアンケート調査報告書」)。

3――シニア未婚女性の三つの特徴

3――シニア未婚女性の三つの特徴

3-1老後への不安の大きさ
次に、シニアの未婚女性の投資への積極性について考える上で、関連があると考えられる三つの特徴について紹介したい。一つ目は、既出レポートでも述べたように、老後の生活資金に対する不安の大きさである5

図表4は、「あなたは退職後の生活資金に不安がありますか」への回答を性・配偶関係別に分析した結果である。「未婚女性」は「あまり不安ではない」が22.6%で、女性全体に比べると低い。また、「とても不安」と「どちらかといえば不安」を足した「不安層」の大きさを比較すると、未婚女性は合計64.6%で、すべての性・配偶関係の中で最も高い。この老後の生活資金への不安の大きさが、資産形成に向けた積極的な意識や行動と関連していると考えられる。
図表4 性・配偶関係別にみた退職後の生活資金に関する不安
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生活研究部   准主任研究員・ジェロントロジー推進室兼任

坊 美生子 (ぼう みおこ)

研究・専門分野
中高年女性の雇用と暮らし、高齢者の移動サービス、ジェロントロジー

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