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コールされなかった数は?-記憶力に限界を感じたとき

保険研究部 主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員 篠原 拓也
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ただ、こうした話は、生まれつき才能を持った一部の人にしかあてはまらない。多くの人は、円周率を100桁記憶するのも大変だ。
天賦の才は無くても、暗唱を繰り返す、語呂合わせを作るなど、努力をすれば、ある程度まで記憶力を高めることはできるだろう。でも、それにも限界がある。それでは、記憶力に限界を感じたときは、どうすればよいだろうか。
◇ 数を9個憶えることはなんとかできる
(テスト1)
1から10までの整数を考えます。このうち、9個の数を5秒ごとに、ランダムに、コールします。一度コールした数を、もう一度コールすることはありません。このとき、最後までコールされなかった数はどれでしょうか? ただし、道具を使うことはできません。
◇ 数を99個憶えることは難しい
(テスト2)
1から100までの整数を考えます。このうち、99個の数を5秒ごとに、ランダムに、コールします。一度コールした数を、もう一度コールすることはありません。このとき、最後までコールされなかった数はどれでしょうか? ただし、道具を使うことはできません。
では、どうすればよいだろうか?
◇ 記憶の代わりに..
1から100までの数を憶えることはあきらめる。その代わり、コールされる数を頭の中で足し算していく。
1から100までの整数を全部足すと、5050なので、コールされた99個の数の合計を5050から引き算すれば、コールされなかった数がわかる。
つまり、記憶の代わりに、暗算をするわけだ。これならば、暗算力で99個くらいはなんとかなるだろう。
◇ 下2桁だけでよい
ここで、テスト2には、もう1つ、テクニックがある。
コールされる99個の数の合計は、4950~5049のどれかになる。コールされなかった数が100の場合は、5050から100を引き算した4950。コールされなかった数が1の場合は、5050から1を引き算した5049となるからだ。
ここで、注目したいのは、この99個の数の合計の、下2桁の数だ。50、51、…、99、00、01、…、48、49と、全部違ってくる。
下2桁が50~99のどれかだったら、150からその数を引き算した数。下2桁が00~49のどれかだったら、50からその数を引き算した数として、コールされなかった数を言い当てることができる。
これは、暗算での足し算は、下2桁だけが重要で、あとはどうでもよい、ということを意味する。先ほどの例でいえば、4849に86を足すという計算ではなく、下2桁の49に86を足すことになる。そして、その結果の135のうち、下2桁の35だけを残して、次の足し算に進めばよい。
◇ あとは集中力の持続が問題
だが、ここで最後の問題がある。足し算を淡々と続けていく集中力をどう持続するかという点だ。
5秒に一度、98回の足し算をするということは、490秒、つまり8分以上の間、集中し続けなければならない。これは、頭で考えるほど、簡単なことではない。1つ1つの足し算の作業が単調であるため、どうしても集中が途切れがちになってしまう。
人間離れした記憶を回避しても、暗算を下2桁に簡略化しても、最後には、一定時間の集中力の持続が必要となる。こればかりは、勉強などの訓練を通じて培う以外にないだろう。
やはり、日々の地道な勉強を通じて集中力を高めることが、最後にものをいうことになりそうだ。
(参考文献)
「円周率」(ウィキペディア フリー百科事典) (関連サイトを含む)
“Mathematical Puzzles” Peter Winkler (CRC Press, 2021)
(2023年10月24日「研究員の眼」)

保険研究部 主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員
篠原 拓也 (しのはら たくや)
研究・専門分野
保険商品・計理、共済計理人・コンサルティング業務
03-3512-1823
- 【職歴】
1992年 日本生命保険相互会社入社
2014年 ニッセイ基礎研究所へ
【加入団体等】
・日本アクチュアリー会 正会員
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