2023年10月03日

ユーロ圏失業率(2023年8月)-低い失業率が継続

経済研究部 主任研究員 高山 武士

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1.結果の概要:失業率は6.4%

10月2日、欧州委員会統計局(Eurostat)はユーロ圏の失業率を公表し、結果は以下の通りとなった。
 

【ユーロ圏失業率(20か国、2023年8月、季節調整値)】
失業率は6.4%、市場予想1(6.4%)と一致し、前月(6.5%)から低下した(図表1)
失業者は1085.6万人となり、前月(1096.3万人)から10.7万人減少した

(図表1)失業率と国別失業者数/(図表2)若年失業率(25才未満)と国別若年失業者数
 
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。

2.結果の詳細:堅調な雇用環境を維持

ユーロ圏(20か国)の8月の失業率は6.4%で、7月(6.5%)からやや低下し、統計データ公表以来の最低値となった(なお6月も6.4%で最低値だった)。過去データは7月の数値がやや悪化方向に修正された(7月改定前6.4%→改定後6.5%)。

失業者数は8月の前月差で10.7万人減となり、7月の8.9万人増の後、再び減少に転じた(図表3・4)。主要4か国では、イタリア(▲6.2万人)とスペイン(▲2.6万人)では失業者が減少、フランス(±0.0万人)は横ばい、ドイツ(+0.4万人)ではやや増加した。

8月の若年失業率は13.8%で、こちらも7月(13.9%)からやや低下し(図表2)、コロナ禍後の最低値となった(若年失業率も6月に13.8%と最低値となっていた)。過去データは7月の数値がやや悪化方向に修正された(7月改定前13.8%→改定後13.9%)。

若年失業者数は8月で219.4万人(前月差▲2.4万人)となり、7月(前月差+2.2万人)から減少に転じた。若年失業者数はコロナ禍後の最低値(216.2万人、22年2月)を上回る状況ではあるが、コロナショック直前の水準は下回っている(図表4)。
(図表3)ユーロ圏(20か国)の累積失業者数変化/(図表4)ユーロ圏(20か国)の累積失業者数変化
国別の8月のデータを見ると、失業率はデータが公表されている20か国中、悪化した国が4か国、改善が7か国、横ばいが9か国だった(図表5)。また、若年失業率は公表されている16か国中、悪化した国が8か国、改善が6か国、横ばいが1か国だった(図表6)。
(図表5)ユーロ圏の失業率(国別)/(図表6)ユーロ圏の若年失業率(国別)
最後に詳細な月次データを公表しているイタリアとポルトガルについて確認すると、イタリアは失業者が減少、非労働力人口が微増、就業者も増加した(図表7)。ポルトガルも失業者が減少し、非労働人口と就業者が増加した(図表8)。いずれの国でも労働参加率は高めの水準にとどまっており、総じて雇用環境は堅調さを維持していると評価できる。
(図表7)イタリアの失業者・非労働力人口・労働参加率/(図表8)ポルトガルの失業者・非労働力人口・労働参加率
 
 

(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

(2023年10月03日「経済・金融フラッシュ」)

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経済研究部   主任研究員

高山 武士 (たかやま たけし)

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

経歴
  • 【職歴】
     2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
     2009年 日本経済研究センターへ派遣
     2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
     2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
     2014年 同、米国経済担当
     2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
     2020年 ニッセイ基礎研究所
     2023年より現職

     ・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
      アドバイザー(2024年4月~)

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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