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- プチ・バブルが懸念される米国株式
2023年09月28日
1――高値圏での推移
2――膨らむ米株投信への買付
3――指標上では割高
特に現在の米国の金利水準を加味すると、予想PER以上に米国株式は割高になっている可能性がある。予想PERの逆数(益利回り)から米長期金利を引いた米国株式のリスク・プレミアムをみると、リスク・プレミアムは2023年6月以降さらに低下し、足元1%前後で推移している【図表6】。2022年8月以前は概ね3%以上で推移してきたことを踏まえると、かなりの低水準である。
この8月以降、株価の下落に伴って予想PERが20倍目前にあったのが再び18倍割れするまで低下してきているが、その一方でリスク・プレミアムは足元ほとんど上昇していない。そのことからも、予想PERの低下はあくまでも長期金利が4%から4.5%に上昇したことに伴うバリュエーションの調整の意味合いが大きいことがうかがえる。
この8月以降、株価の下落に伴って予想PERが20倍目前にあったのが再び18倍割れするまで低下してきているが、その一方でリスク・プレミアムは足元ほとんど上昇していない。そのことからも、予想PERの低下はあくまでも長期金利が4%から4.5%に上昇したことに伴うバリュエーションの調整の意味合いが大きいことがうかがえる。
予想PERは期待収益率が低下、つまり割高感が高まる以外にも高い利益成長を見込んで上昇することがあり、2023年の予想PERの上昇もその可能性がある。
実際にS&P500種株価指数とセクター別の騰落率(縦軸)をみると、「通信サービス」「情報技術」「一般消費財」の3セクターが株価上昇を牽引してきた【図表7】。この3セクターは業績も拡大しているが、それ以上に株価が上昇してきている。「通信サービス」にはアルファベットやメタが、「情報技術」にはアップル、マイクロソフトやエヌビディアが、「一般消費財」にはアマゾンが含まれる。やはり昨今、注目されている生成AIによる今後の利益成長期待が大きかったと思われる。
現時点では、米国株式の2023年の上昇が単なる期待先行なのかそれとも期待過剰、つまりバブルなのか分かりかねる。さらに米国の景気も今のところ堅調であるが、これから減速してくるリスクも考えられる。米国株式投信の買付が増えているが、今後の米国株式に対してあまり楽観しない方がよいだろう。それでも生成AIによる利益成長期待が萎まなければ、下落しても押し目買いによって買い支えられる展開となり、指標面の割高感が出ている割には意外と底堅いかもしれない。
実際にS&P500種株価指数とセクター別の騰落率(縦軸)をみると、「通信サービス」「情報技術」「一般消費財」の3セクターが株価上昇を牽引してきた【図表7】。この3セクターは業績も拡大しているが、それ以上に株価が上昇してきている。「通信サービス」にはアルファベットやメタが、「情報技術」にはアップル、マイクロソフトやエヌビディアが、「一般消費財」にはアマゾンが含まれる。やはり昨今、注目されている生成AIによる今後の利益成長期待が大きかったと思われる。
現時点では、米国株式の2023年の上昇が単なる期待先行なのかそれとも期待過剰、つまりバブルなのか分かりかねる。さらに米国の景気も今のところ堅調であるが、これから減速してくるリスクも考えられる。米国株式投信の買付が増えているが、今後の米国株式に対してあまり楽観しない方がよいだろう。それでも生成AIによる利益成長期待が萎まなければ、下落しても押し目買いによって買い支えられる展開となり、指標面の割高感が出ている割には意外と底堅いかもしれない。
5――最後に
米国株式が本当に過剰な成長期待が織り込まれたバブル状態だったとしても、2000年前後のITバブルほどの過熱感はなく、あくまでもプチ・バブルといったところだろう。ましてや1990年前後の日本のバブル期のようなことは生じていないと思われる。S&P500種株価指数(青線)の予想PERは高水準と言っても20倍を下回っている【図表8】。2000年前後には24倍を超えており、1990年台のTOPIX(灰線)にいたっては40倍越え、ピーク時には80倍に迫っていた。
現状を踏まえると、米国株式は本当にプチ・バブルであっても、日本株式の失われた30年のようにバブル後の調整に20年、30年も時間がかかることは考えにくい。今後のインフレ動向の影響も受けるが、後遺症があったとしてもせいぜい2、3年で済む可能性が高い。さらに、高値掴みが怖くて投資を見合わせていると、バブルでなかった場合には機会損失になる可能性もある。
そのため、つみたてNISAや新NISAなどで時間分散してかつ長期投資するならば、過度に懸念せず投資することをおすすめしたい。ただし、米国株式はこれから大きく値動きする可能性や円安から円高になる可能性もあるため、いつも以上にご自身のリスク許容度を意識していただきたい。
現状を踏まえると、米国株式は本当にプチ・バブルであっても、日本株式の失われた30年のようにバブル後の調整に20年、30年も時間がかかることは考えにくい。今後のインフレ動向の影響も受けるが、後遺症があったとしてもせいぜい2、3年で済む可能性が高い。さらに、高値掴みが怖くて投資を見合わせていると、バブルでなかった場合には機会損失になる可能性もある。
そのため、つみたてNISAや新NISAなどで時間分散してかつ長期投資するならば、過度に懸念せず投資することをおすすめしたい。ただし、米国株式はこれから大きく値動きする可能性や円安から円高になる可能性もあるため、いつも以上にご自身のリスク許容度を意識していただきたい。
(ご注意)当資料のデータは信頼ある情報源から入手、加工したものですが、その正確性と完全性を保証するものではありません。当資料の内容について、将来見解を変更することもあります。当資料は情報提供が目的であり、投資信託の勧誘するものではありません。
03-3512-1785
経歴
- 【職歴】
2008年 大和総研入社
2009年 大和証券キャピタル・マーケッツ(現大和証券)
2012年 イボットソン・アソシエイツ・ジャパン
2014年 ニッセイ基礎研究所 金融研究部
2022年7月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会検定会員
・投資信託協会「すべての人に世界の成長を届ける研究会」 客員研究員(2020・2021年度)
(2023年09月28日「基礎研レポート」)
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