2023年08月24日

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■要旨

政府は、少子化対策を進めるためには、若者・子育て世帯の所得向上が不可欠であると考えている。同時に職務給(ジョブ型雇用)の導入の推進に向けた政策も実施されつつある。これらを両立するためには、職務給の導入が若年層の所得向上につながることが求められるが、それは実現可能なのだろうか。

職務給が導入された際に若年層が所得を向上させるためには、各々が職務に要求されるスキルを習得し、経験を積むことが極めて重要になると思われる。一方で、職務給の導入が進むことで、これまでメンバーシップ型雇用によって若年層が享受していた恩恵が失われる可能性も否定できない。

若年層各人が能力向上に向けた取組を行うことに加え、今後、職務給の導入と若い世代の所得向上の両立を実現するためにも、政府からも積極的なスキル習得を促すような一層の支援が実施されることが期待される。

■目次

1――はじめに
2――ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用
3――なぜ政府は職務給の導入を推進するのか
  3.1 日本企業と海外企業の賃金格差が大きい点
  3.2 新卒一括採用にはデメリットもある点
  3.3 ライフイベントとキャリア形成の両立を難しくする点
4――職務給の導入で若い世代の所得は上がるのか
5――職務給の導入に伴う懸念
  5.1 低い若年労働者の失業率
  5.2 労働者の雇用の安定
6――若年労働者の処遇改善を巡る近年の動向
  6.1 処遇改善の状況
  6.2 経済界の目指す方向性
  6.3 連合の職務給導入に対する懸念
7――おわりに
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坂田 紘野

研究・専門分野

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【職務給(ジョブ型雇用)の導入は若い世代の所得向上につながるか】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

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