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「多数決の原則」と「少数意見の尊重」について考える~シルバー民主主義と東京一極集中にどう向き合うべきか~
坂田 紘野
選挙制度は民主主義の根幹をなす制度の1つであり、「多数決」「少数意見の尊重」という2つの価値観を有する。いずれも重要であることは論を俟たないが、これらはトレードオフの関係にあり、両立は難しい。
これらが問題となる具体的なケースとして、「シルバー民主主義」「東京一極集中に伴う地域格差の拡大」が挙げられる。いずれの場合も多数派の意見ばかりに基づいて意思決定が行われ、少数派の意見が極めて通りづらくなる「多数派の専制」に陥ることが懸念される。
多数派の利益を優先することが、将来に渡っても好ましい影響をもたらすとは限らない。足もとでは、人口減少や財政赤字の問題のような、長期的な観点から見て社会に大きな悪影響を及ぼしうる課題への取組みが求められている。しかし、「多数派の専制」の下では、必要な改革がなされず、手遅れとなってしまう可能性も否定できない。
このような状況を一挙に解決するような手段は存在せず、あらゆる手段を少しずつ検討し、取り入れていかざるを得ないだろう。現在日本が取り組むべき課題の多くは、将来に渡って大きな影響を及ぼすのみならず、立場によって主張が大きく異なることが想定される。そのため、幅広いステークホルダーの多様な意見を吸い上げる丁寧な議論や、それに向けた環境整備が重要となるだろう。
■目次
1――民主主義 の原則:「多数決の原理」と「少数意見の尊重」
2――シルバー民主主義~「多数派」の高齢者と「少数派」の若者~
3――地域格差拡大への懸念~「多数派」の都市部と「少数派」の地方部~
1|「1票の格差」是正は憲法上の要請
2|着実に進む「1票の格差」是正
3|「1票の格差」是正の一方で高まる懸念
4――少数派である若者や地方部の住民の主張をどう保護するか
1|何が問題か
2|どのような解決策が考えられるか
3|どうすればよいのか
5――おわりに
坂田 紘野
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