- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 欧州経済 >
- 英国金融政策(8月MPC)-意見が割れるなか、0.25%の利上げを決定
2023年08月04日
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
(中期的なインフレ見通し)
(当面の政策決定)
(運用上の考慮事項)
- インフレ見通しは、報告書で議論されている政策金利を5.25%で据え置くとした代替シナリオでも予測期間を通じて概ね類似している
- これは政策金利の経路が異なっていても目標に回帰する証左となっている
- 市場観測の金利カーブは現在の政策金利より数四半期は高くなるが、その後に低下して先々3年間の平均では5.5%をやや下回る
- 経験的モデルは短期的なインフレ率低下の経路を考慮したインフレ予想に基づいて賃金が設定された場合に何が起こるかを示している
- しかし、現在のところ賃金がこのように設定されると確信できるだけの証拠はない
- MPC見通しでは、MPCにおける最善の総合的判断を反映しており、賃金の伸びはこれらのモデルが予測するよりも緩やかになると予想されている
- 経験的モデルの出力と委員会における最善の総合的判断との間には違いがあるが、これは大きな不確実性に勅命する世界において、我々のプロセスをどのように適応させるべきか、についての重要性を示す一例である
- ベン・バーナンキ氏が中銀の予測および関連プロセスの見直しを主導することに同意してくれたことを嬉しく思う
(当面の政策決定)
- 6人の委員がこの会合で政策金利を0.25%引き上げ、5.25%にすることが妥当だと判断した
- 最近のデータはまちまちである
- しかしながら、いくつかの鍵となる指標、特に賃金伸び率は大きく上振れており、サプライズとなっている
- これは中期的な均衡失業率が上昇し、広範囲にわたる国内でのインフレ圧力がより持続的な形で顕在化するリスクとなっている
- これに対し、失業率はわずかに上昇し、求人・失業比率は前回の会合以降、さらに低下している
- ここ数四半期の経済の驚くべき回復に対し、最近の指標は活動の鈍化しており、経済が重要な転換点にある、もしくは近づいていると結論付けるのは時期尚早である
- 金融政策姿勢は経済活動のおも足となっているものの、この会合での政策金利の0.25%の引き上げが、より強いインフレ圧力へのリスクに対処するのに必要である
- 2名の委員はこの会合で政策金利を0.50%ポイント引き上げ、5.5%にすることが妥当だと判断した
- この委員らにとっては、8月の報告書に記載されたように、一連の見通しは過少評価されており、インフレの持続性に対処するためにより積極的に傾斜することが重要であった
- この委員たちは労働市場のひっ迫が継続していることに言及した
- 求人・失業比率は低下しているものの、長期平均よりもかなり高い水準にあった
- さらに民間部門の賃金上昇にかんする高頻度データは上昇トレンドが続いており、均衡失業率が上昇した可能性と整合的であった
- 後で引き締めることによるコストを抑制するため、この会合での政策金利の強力な引き上げがインフレ率を中期的に2%目標に戻す助けになる
- 1名の委員はこの会合で政策金利を5.00%に維持することを希望した
- 政策スタンスはかなり制限的になり、リスク管理の観点からは、さらなる引き締めを行う強い根拠はもはや存在しない
- 代わりに、引き締めすぎるリスクが積みあがっており、生産の急転換を必要とするような生産損失や変動の可能性が高まっている
- 金融政策効果のラグにより、過去や最近の利上げの影響、特に住居費用への累積的な影響の大部分が依然として顕在化していない
- 最近の消費者および生産者物価指数の構成要素にかんする情報はCPIインフレ率の低下基調を強く示している
- 賃金インフレは事業サービス部門で最も強かったが、実質賃金は、それ以外の産業で低下し、全雇用の4分の3を占めている
- 制限的な政策スタンスを踏まえて、主要品目のインフレが今年にかけて緩和し、労働環境もさらに緩和することで、賃金上昇率は鈍化していくと見られる
(運用上の考慮事項)
- 8月MPRのボックスAで議論されているように、委員会は23年10月から24年9月までの12か月間における国債残高の削減目標について、23年9月の会合で投票を行う
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2023年08月04日「経済・金融フラッシュ」)
このレポートの関連カテゴリ

03-3512-1818
経歴
- 【職歴】
2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
2009年 日本経済研究センターへ派遣
2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
2014年 同、米国経済担当
2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
2020年 ニッセイ基礎研究所
2023年より現職
・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
アドバイザー(2024年4月~)
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
高山 武士のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/05/01 | ユーロ圏GDP(2025年1-3月期)-前期比0.4%に加速 | 高山 武士 | 経済・金融フラッシュ |
2025/04/23 | IMF世界経済見通し-トランプ関税で世界成長率は3%割れに | 高山 武士 | 経済・金融フラッシュ |
2025/04/18 | ECB政策理事会-トランプ関税を受け6会合連続の利下げ決定 | 高山 武士 | 経済・金融フラッシュ |
2025/04/16 | 英国雇用関連統計(25年3月)-緩やかながらも賃金上昇率の減速傾向が継続 | 高山 武士 | 経済・金融フラッシュ |
新着記事
-
2025年05月01日
日本を米国車が走りまわる日-掃除機は「でかくてがさつ」から脱却- -
2025年05月01日
米個人所得・消費支出(25年3月)-個人消費(前月比)が上振れする一方、PCE価格指数(前月比)は総合、コアともに横這い -
2025年05月01日
米GDP(25年1-3月期)-前期比年率▲0.3%と22年1-3月期以来のマイナス、市場予想も下回る -
2025年05月01日
ユーロ圏GDP(2025年1-3月期)-前期比0.4%に加速 -
2025年04月30日
2025年1-3月期の実質GDP~前期比▲0.2%(年率▲0.9%)を予測~
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年04月02日
News Release
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
【英国金融政策(8月MPC)-意見が割れるなか、0.25%の利上げを決定】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
英国金融政策(8月MPC)-意見が割れるなか、0.25%の利上げを決定のレポート Topへ