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少子化進行に対する意識と政策への期待(1)-経済要因は共通認識だが、子育て中の女性で身体・精神的負担が上回る、若者ほど経済面以外の負担も

生活研究部 上席研究員 久我 尚子
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- ニッセイ基礎研究所の調査にて、少子化進行に関わる原因についての意識を見たところ、若い世代の経済面の厳しさや保育所等の子育て支援サービスの不足など政策的な対応が可能と見られる課題と、若者の価値観の変容など政策的な対応が必ずしもできるわけではない課題とが混在している。
- 属性によらない共通認識として若者の経済環境がありつつ、未就学児などを育児中の女性では身体・精神的負担が、若者ほど経済面以外の子育てにかかる時間や労力に対する負担を強く感じている傾向がある。また、女性では高年齢層ほど若い世代の価値観の変容を感じていることも特徴的である。背景には、家事・育児負担の女性側への偏りや世代による女性の社会進出状況の違いなどがあげられる。
- 未婚者の結婚や子どもを持つ希望は、男女とも年齢とともに弱まるが、男性の結婚希望は30~50歳代で、子どもを持つ希望は40~50歳代でおおむね変わらない。一方、女性はいずれも年齢とともに急激に減退するため、20歳代では女性の方が強い希望があるが、30歳代で逆転し始め、40歳代以降は男女差が拡大する。背景には女性にとっては希望と出産可能な年齢が直結すること、家事・育児負担感の強さなどがあげられる。
- 少子化対策には将来世代の経済基盤の安定化とともに、子育て支援サービスの拡充や男性の育休促進などによって女性の負担感を低減させる取り組みも必須だ。また、20歳代から30歳代にかけて結婚や子どもを持つ希望が大幅に減退することについての更なる深堀に加えて、結婚や子どもを持つ希望のある若者に向けた啓蒙活動なども必要だ。
■目次
1――はじめに
~4月に「こども家庭庁」が発足、少子化進行の原因に対する国民の意識は?
2――少子化進行の原因に関わる意識
~経済環境に加えて子育て中の女性の身体・精神的負担の強さ
1|全体の状況
~経済環境やサービス拡充など政策対応可能な課題と若者の価値観の変容などが混在
2|属性別の状況
~経済環境の厳しさは共通認識だが子育て中の女性で身体・精神的負担が上回る
3――結婚や子どもを持つ希望
~女性は年齢とともに急激に減退、30歳代で子を持つ希望は男性を下回る
4――まとめ
~経済基盤の安定化や子育て負担軽減策、30歳代での希望大幅減退に対する対策が必要
(2023年04月27日「基礎研レポート」)
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- プロフィール
【職歴】
2001年 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ入社
2007年 独立行政法人日本学術振興会特別研究員(統計科学)採用
2010年 ニッセイ基礎研究所 生活研究部門
2021年7月より現職
・神奈川県「神奈川なでしこブランドアドバイザリー委員会」委員(2013年~2019年)
・内閣府「統計委員会」専門委員(2013年~2015年)
・総務省「速報性のある包括的な消費関連指標の在り方に関する研究会」委員(2016~2017年)
・東京都「東京都監理団体経営目標評価制度に係る評価委員会」委員(2017年~2021年)
・東京都「東京都立図書館協議会」委員(2019年~2023年)
・総務省「統計委員会」臨時委員(2019年~2023年)
・経済産業省「産業構造審議会」臨時委員(2022年~)
・総務省「統計委員会」委員(2023年~)
【加入団体等】
日本マーケティング・サイエンス学会、日本消費者行動研究学会、
生命保険経営学会、日本行動計量学会、Psychometric Society
久我 尚子のレポート
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