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米国銀行の破綻と年金積立金の関係などが年金ツイートの契機に-「年金」を含むツイートの投稿契機 (2023年3月)
保険研究部 上席研究員・年金総合リサーチセンター 公的年金調査室長 兼任 中嶋 邦夫
1 ―― 本稿の問題意識と分析対象:年金ツイートは、何を契機に投稿されたか?
本稿では、「年金」を含むツイート(以下、年金ツイート)が何を契機に投稿されているかを考察するために、基礎的な投稿状況やツイートに含まれるリンクを分析した。分析対象は、2023年3月に投稿された年金ツイートのうち単純なリツイート等を除いたものであり(図表1)、投稿者自身の何らかの態度が示されているツイートと言えよう。
2 ―― 投稿契機となったツイート:テレビの街頭インタビューや年金積立金の記事が投稿契機に
図表3は、年金ツイートの投稿契機となったツイートのうち、そのツイートを契機とした年金ツイートの投稿日別の投稿者数が上位10件に入ったものである。
最も多くの投稿者の投稿契機となったのは、テレビ番組の内容を紹介するツイートを紹介する3月3日のツイートだった。このツイートが紹介しているツイートはこの投稿者自身が投稿したツイートだが、本稿執筆時点でこの投稿者のアカウントは削除済となっており、内容を確認できなかった。
2番目と3番目に多くの投稿者の投稿契機となったのは、テレビ番組の街頭インタビューの内容を紹介するツイートを紹介する3月3日のツイートだった。ツイートの内容から推察すると、最も多くの投稿者の投稿契機となったツイートも、2番目と3番目に多くの投稿者の投稿契機となったツイートと同じテレビ番組の内容を紹介していた可能性がある。
3月16日と17日に多くの投稿者の投稿契機となったのは、破綻した米国の銀行と公的年金の積立金の関係に関する新聞記事の画像を紹介するツイートだった。このツイートには出典が明記されていなかったが、同じ内容の3月16日付の記事がしんぶん赤旗のWebページに掲載されていた。
3月29日に多くの投稿者の投稿契機となったのは、Twitterの認証を得ていないアカウントではあるが、たかまつなな氏のツイートである。同氏は、3月29日の第2回から社会保障審議会年金部会の委員に追加された。
1 あるツイートの返信ツイートや引用リツイートとして投稿された年金ツイートのほか、他のツイートのURLをツイート中のURL1つめとしている年金ツイート(※)も、ツイートを契機として投稿された年金ツイートとみなしている(2022年9~12月投稿分の分析では、※のタイプの年金ツイートをWebページを参照しているツイートとして集計していた)。なお、ツイートを契機として投稿された年金ツイート63,526件のうち、返信ツイートは50,604件、引用リツイートは13,073件、※のタイプの年金ツイートは543件であった。
2 平均+1~2以上の標準偏差を「多い」の目安にしている。以下同じ。
3 ―― 投稿契機となったWebページ:年金積立金や国会議員の保険料未納疑惑の記事が契機に
図表5は、年金ツイートの投稿契機となったWebページのうち、そのWebページを契機とした年金ツイートの投稿日別の投稿者数が上位10件に入ったものである。
最も多くの投稿者の投稿契機となったのは、破綻した米国の銀行と公的年金の積立金の関係に関する3月23日のYahoo!ニュースの記事で、日刊ゲンダイDIGITALからの転載であった。この記事は、3月24日にも多くの投稿者の投稿契機となった。
2番目に多くの投稿者の投稿契機となったのは、国会議員の保険料未納疑惑について、所属政党が調査結果と同議員のコメントを公表したことを伝える3月10日のYahoo!ニュースの記事で、テレビ朝日系(ANN)からの転載であった4。
3番目に多くの投稿者の投稿契機となったのは、最多の投稿者の投稿契機となった記事と同じく、破綻した米国の銀行と公的年金の積立金の関係に関する3月15日の時事ドットコムの記事であった。
3 ツイート中にURLを含む年金ツイートのうち、前述したツイートを契機として投稿された年金ツイート以外のもの。
4 本稿執筆時点では、Yahoo!ニュースに転載された記事を確認できなかったが、ほぼ同じ題名の記事をテレ朝newsのWebサイトで確認した。
5 図表3で3月16日と17日に多くの投稿者の投稿契機となったツイートで紹介されていた記事は、「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、経営破綻した米シリコンバレー銀行(SVB)と米シグネチャー銀行の関連株式と債券を、2022年3月末時点(時価総額)で約550億円保有していることがわかりました。」と記載していた。
03-3512-1859
- 【職歴】
1995年 日本生命保険相互会社入社
2001年 日本経済研究センター(委託研究生)
2002年 ニッセイ基礎研究所(現在に至る)
(2007年 東洋大学大学院経済学研究科博士後期課程修了)
【社外委員等】
・厚生労働省 年金局 年金調査員 (2010~2011年度)
・参議院 厚生労働委員会調査室 客員調査員 (2011~2012年度)
・厚生労働省 ねんきん定期便・ねんきんネット・年金通帳等に関する検討会 委員 (2011年度)
・生命保険経営学会 編集委員 (2014年~)
・国家公務員共済組合連合会 資産運用委員会 委員 (2023年度~)
【加入団体等】
・生活経済学会、日本財政学会、ほか
・博士(経済学)
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