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2022年に話題となった年金ニュースをTwitterから振り返る-「年金」を含むツイートの投稿契機 (2022年通年)
保険研究部 上席研究員・年金総合リサーチセンター 公的年金調査室長 兼任 中嶋 邦夫
1 ―― 本稿の問題意識と分析対象:年金ツイートは、何を契機に投稿されたか?
本稿では、「年金」を含むツイート(以下、年金ツイート)が何を契機に投稿されているかを考察するために、基礎的な投稿状況やツイートに含まれるリンクを分析した。分析対象は、2022年に投稿された年金ツイートのうち単純なリツイート等を除いたものであり(図表1)、投稿者自身の何らかの態度が示されているツイートと言えよう。
2 ―― 投稿契機となったツイート:臨時給付金や年金改革案のほか、テレビの内容が投稿契機に
図表2と図表3から総合的に考えると、次のことが推察される。
3月15~16日は、年金受給者に対する5000円の給付金が投稿契機となった3。個別のツイートはそれほど多くの人の投稿契機にはなっていないが(図表3)、複数の媒体がこの話題を報じたため、投稿日ごとの総数としては2022年で最多の投稿者になった(図表2)、と考えられる。
他方で9月28日は、日本経済新聞のツイートのみが投稿契機となり、個別のツイートとしては2022年で最多の投稿者を集め(図表3)、投稿日ごとの総数としても3番目に多い投稿者を集めた(図表2)。このツイートは2020年に公表されていた年金改革案を解説する記事を紹介するもので、いわゆるニュース(新しく判明した事実)ではなかった。そのため他の媒体が取り上げず、投稿契機として集中したと考えられる4。
10月11~12日や10月15~17日も、2020年に公表されていた年金改革案に関するツイートが投稿契機となった(図表3)。ただし、それに関する記事を掲載した媒体が発信したツイートではなく、その記事を紹介する一般ユーザーのツイートが投稿契機になった点で、9月28日とは傾向が異なる。
また、投稿日別の投稿者数は多くないものの、1月25日と4月1日には、テレビ番組の内容を伝えるツイートが多くの人の投稿契機となった(図表3)。
1 あるツイートの返信ツイートや引用リツイートとして投稿された年金ツイートのほか、他のツイートのURLをツイート中のURL1つめとしている年金ツイート(※)も、ツイートを契機として投稿された年金ツイートとみなしている。なお、ツイートを契機として投稿された年金ツイート702,362件のうち、返信ツイートは565,932件、引用リツイートは131,797件、※のタイプの年金ツイートは4,633件であった。
2 平均+2×標準偏差よりも多いことを、「多い」の目安にしている。以下同じ。
3 図表3には投稿日が3月16日のものがないが、別途確認した。図表3に投稿日が3月16日のものが入っていないのは、この話題に関するツイートが増えて、返信や引用の対象が分散したためだと考えられる。
4 実際の(紙の)紙面で1面に掲載されたことも、多くの人の投稿契機となった一因だと考えられる。
3 ―― 投稿契機となったWebページ:給付金や改革案に関する速報や刺激的な題名が投稿契機に
図表4と図表5から総合的に考えると、次のことが推察される。
3月15~16日は、ツイートを契機とした投稿と同様に、年金受給者に対する5000円の給付金が投稿契機となった6。しかし、ツイートを契機とした投稿では投稿契機が分散したのに対し、Webページを契機とした投稿ではFNNが「速報」という見出しを付けて発信したニュース(Yahoo! ニュースへの転載を含む)が多くの人の投稿契機として集中した(図表5)。
9月28日以降は、年金制度の改革案を紹介する記事が多くの人の投稿契機となった(図表5)。9月28日は厚生年金と国民年金(基礎年金)における給付削減の程度や終了時期を揃える案7を紹介した日本経済新聞の記事が、10月11日は9月28日の日本経済新聞の記事を参照したマネーポストWEBの記事が、10月15~16日は国民年金(基礎年金)の拠出期間の延長案8を紹介する共同通信の記事(Yahoo! ニュースへの転載)が、多くの人の投稿契機となった(図表5)。これらの記事が紹介した改革案は2020年12月に厚生労働省が公表した資料に載っていた案であり、記事が出た際に新たに判明した内容ではなかった9。そのため複数の媒体が同時に取り上げる状況にはならなかったが、11月5日のSmartFLASHや12月26日のマネーポストWEBの記事(どちらもYahoo! ニュースへの転載)が刺激的な題名で改めて取り上げ、それぞれの時期で大きめの投稿契機となった(図表5)。
5 ツイート中にURLを含む年金ツイートのうち、前述したツイートを契機として投稿された年金ツイート以外のもの。
6 図表5には投稿日が3月16日のものがないが、別途確認した。図表5に投稿日が3月16日のものが入っていないのは、この話題に関するWebページが増えて、参照の対象が分散したためだと考えられる。
7 この案の概要は、拙稿「現行制度を放置すると低所得会社員ほど大幅な年金カットに」を参照。
8 この案については、例えば拙稿「国民年金納付5年延長でも、無収入なら免除の可能性」を参照。
9 いずれの記事にも2020年12月に公表されていた内容であることの記載はなかった。なお、10月15日の共同通信の記事には、「関係者への取材で15日、分かった」と記載されていた。
03-3512-1859
- 【職歴】
1995年 日本生命保険相互会社入社
2001年 日本経済研究センター(委託研究生)
2002年 ニッセイ基礎研究所(現在に至る)
(2007年 東洋大学大学院経済学研究科博士後期課程修了)
【社外委員等】
・厚生労働省 年金局 年金調査員 (2010~2011年度)
・参議院 厚生労働委員会調査室 客員調査員 (2011~2012年度)
・厚生労働省 ねんきん定期便・ねんきんネット・年金通帳等に関する検討会 委員 (2011年度)
・生命保険経営学会 編集委員 (2014年~)
・国家公務員共済組合連合会 資産運用委員会 委員 (2023年度~)
【加入団体等】
・生活経済学会、日本財政学会、ほか
・博士(経済学)
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