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- 意外にしぶとい円安、持続性をどうみるか?~マーケット・カルテ3月号
2023年02月17日
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今後も米利上げの継続と日銀の緩和修正を巡る観測のバランスがドル円の行方を左右する。当面は両テーマを見定める時間帯となり、方向感が出にくいとみている。一方、米利上げの行方には不透明感が残るものの、既往の利上げ効果が物価の抑制に働くことで5月には打ち止めとなり、先々の利下げが織り込まれていくことでドル安圧力が強まっていく可能性が高いと見ている。日銀が緩和修正に動くのは4月の新体制発足後2~3ヵ月してからと予想しているが、その間も市場では緩和修正観測が円高圧力として燻り続ける。従って、3か月後には130円をやや下回る水準まで円高が進むと見込んでいる。
1ユーロ141円台で始まった今月のユーロ円はややユーロ高に振れ、足元は143円台前半にある。日銀の緩和修正観測に伴う円高圧力は燻っているものの、暖冬を受けてユーロ圏の景気後退懸念が後退したうえ、ECBが利上げ継続姿勢を崩していないことから、ユーロ高圧力が優勢となっている。今後も日銀の緩和修正観測が燻り続ける一方、5月にはECBの利上げが打ち止めになり、利下げ開始に市場の目線が移ることでユーロ安圧力が高まると見ている。3ヵ月後の水準は140円弱と見込んでいる。
0.4%台後半でスタートした今月の長期金利は若干上昇し、最近は0.5%の節目に張り付いている。日銀の緩和修正観測が燻り続けるなか、利上げ長期化観測に伴う米金利上昇が波及した。一方、日銀がオペによって許容上限に抑えていることで0.5%での膠着状態となっている。今後も、日銀の緩和修正観測が金利上昇圧力となるが、既述の通り、修正は新体制発足後しばらくしてからと予想している。従って、3か月後の水準は現行の許容上限である0.5%程度と見込んでいる。
(執筆時点:2023/2/17)
(2023年02月17日「基礎研マンスリー」)
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03-3512-1870
経歴
- ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所
・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)
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