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コラム
2023年02月13日
2022年 東京一極集中・「人口属性別」ランキング-統計的実態に即した科学的人口政策を-
03-3512-1878
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【よさそうなこと総花政策からの脱却を】
1月末の総務省住民基本台帳の年報の公表前後、筆者に取材が殺到した。このままでは、この国の文化が消滅するかのごとく加速する人口減少問題への関心が高まってきたこと自体はよいことであるが、人々の人口問題に関する理解があまりにも統計的実態からかけ離れていることを思い知らされ、心が痛む。
人口問題を議論するにあたって、最大の課題は非科学的なアプローチが多いことだろう。人口問題は例えば「宇宙開発」「金融テクノロジー」などのように、専門性が高い人が議論しやすい分野というわけではなく、誰でも議論に参加しやすい分野である。それぞれが個人の価値観に基づき「良さそうなこと」を述べるものの、それが「科学的に有効なのか」は二の次といった事態になりかねない。
東京一極集中は国内での人口偏在をもたらし、エリアごと、ひいては日本全体の人口減に強く影響しているが、そのことを統計的(科学的)に正しく把握している人は多くないように思われる。
本稿では2022年年間における、東京都においてエリア外からの人口移動によって入れ替えが起こった人口(純増人口)の人口属性をランキング形式で解説したい。東京一極集中というパワーワードがもつイメージに対してではなく、実態に対してしっかりとした理解を持ったうえで、読者に議論参加して頂きたいからである。
実態に即さない対応策は、一見「良さそうなこと」には思えても、一極集中を変えるような効果を持つことはありえない。「火災の火元」を見極め、適切な対応策が講じられることを願いたい。
人口問題を議論するにあたって、最大の課題は非科学的なアプローチが多いことだろう。人口問題は例えば「宇宙開発」「金融テクノロジー」などのように、専門性が高い人が議論しやすい分野というわけではなく、誰でも議論に参加しやすい分野である。それぞれが個人の価値観に基づき「良さそうなこと」を述べるものの、それが「科学的に有効なのか」は二の次といった事態になりかねない。
東京一極集中は国内での人口偏在をもたらし、エリアごと、ひいては日本全体の人口減に強く影響しているが、そのことを統計的(科学的)に正しく把握している人は多くないように思われる。
本稿では2022年年間における、東京都においてエリア外からの人口移動によって入れ替えが起こった人口(純増人口)の人口属性をランキング形式で解説したい。東京一極集中というパワーワードがもつイメージに対してではなく、実態に対してしっかりとした理解を持ったうえで、読者に議論参加して頂きたいからである。
実態に即さない対応策は、一見「良さそうなこと」には思えても、一極集中を変えるような効果を持つことはありえない。「火災の火元」を見極め、適切な対応策が講じられることを願いたい。
【 集中人口の本当の姿 】
つまり32パターンにも上る人口属性の移動による人口純減数の合計をはるかに上回る人口純増が、わずか上位6パターンの人口属性の移動で発生している、ということになる。
ではこの上位6パターンとはどのような属性なのだろうか。
図表1からは、男女ともに10代後半から20代までのパターンのみが純増となっている。このことから、
(1) 「10代後半から20代までの若者の移動が東京の人口一極集中のすべて」
であることが判明した。
次にその内訳であるが、10代後半から20代の男女の純増合計は9万183人であり(それ以外の人口の純減は5万2162人で差し引き3万8021人となる)、そのうち大学進学の年齢ゾーンにあたる10代後半人口による純増はわずか1万3795人で純増数全体の15.3%に過ぎない(10代後半の純増は18歳がほとんどだが、10代後半の移動全員が進学理由ではなく、高卒の就職移動も含まれることに注意)。つまり、20代までの若者だけが増加しているといっても、そのうち20代の純増が純増数全体の84.7%を占めているのである。このことから
(2) 「20代人口の移動が東京一極集中の85%要因」
であることがあわせて判明した。
そして、この20代人口の純増(男女計7万6388人)のうち、5万7153人、74.8%が20代前半人口、つまり大学新卒(1位22歳)・専門卒(20歳)の年齢での移動であり、まさに就職による住民票の異動であろう事実が浮き彫りとなった。このことから、
(3) 「20代前半の新卒男女による就職移動が20代人口の東京一極集中の75%の要因」
であることはほぼ確定といえよう。
このように、東京都に純増した人口属性6パターン(9.0万人)のうち5.7万人が20代前半人口であるが、6パターン純増合計の63.4%が20代前半の集中によるものであることがわかった。ちなみに、残る20代後半の男女の移動にも、転職移動が含まれているとみられるため、東京一極集中はほぼ「就職移動」といっても過言ではないだろう1。
1 住民基本台帳上の人口移動であるため、あくまでも住民票の異動を伴う転居である。転勤等の数年間の滞在を前提とした移動は、人材の入れ替えで双方向に発生するため統計上転入超過としては大きな数値とはなりにくいと考えられる。また、大学生などが「その先はわからない」状態で親元に住民票を残しつつ進学で引越しをする者もいると聞くが(制度上は違反行為である)、地元における就職先の提供で取り戻しは可能である。しかし住民票の異動を伴う就職移動は、当然ながら取り戻しがききにくい。このことから、地方創生においては男女関係なく、一時的な転勤や進学による移動ではなく「住民票上の就職異動状況」がその発生規模的にも移動の性質的にも最も問題視されねばならないだろう。
ではこの上位6パターンとはどのような属性なのだろうか。
図表1からは、男女ともに10代後半から20代までのパターンのみが純増となっている。このことから、
(1) 「10代後半から20代までの若者の移動が東京の人口一極集中のすべて」
であることが判明した。
次にその内訳であるが、10代後半から20代の男女の純増合計は9万183人であり(それ以外の人口の純減は5万2162人で差し引き3万8021人となる)、そのうち大学進学の年齢ゾーンにあたる10代後半人口による純増はわずか1万3795人で純増数全体の15.3%に過ぎない(10代後半の純増は18歳がほとんどだが、10代後半の移動全員が進学理由ではなく、高卒の就職移動も含まれることに注意)。つまり、20代までの若者だけが増加しているといっても、そのうち20代の純増が純増数全体の84.7%を占めているのである。このことから
(2) 「20代人口の移動が東京一極集中の85%要因」
であることがあわせて判明した。
そして、この20代人口の純増(男女計7万6388人)のうち、5万7153人、74.8%が20代前半人口、つまり大学新卒(1位22歳)・専門卒(20歳)の年齢での移動であり、まさに就職による住民票の異動であろう事実が浮き彫りとなった。このことから、
(3) 「20代前半の新卒男女による就職移動が20代人口の東京一極集中の75%の要因」
であることはほぼ確定といえよう。
このように、東京都に純増した人口属性6パターン(9.0万人)のうち5.7万人が20代前半人口であるが、6パターン純増合計の63.4%が20代前半の集中によるものであることがわかった。ちなみに、残る20代後半の男女の移動にも、転職移動が含まれているとみられるため、東京一極集中はほぼ「就職移動」といっても過言ではないだろう1。
1 住民基本台帳上の人口移動であるため、あくまでも住民票の異動を伴う転居である。転勤等の数年間の滞在を前提とした移動は、人材の入れ替えで双方向に発生するため統計上転入超過としては大きな数値とはなりにくいと考えられる。また、大学生などが「その先はわからない」状態で親元に住民票を残しつつ進学で引越しをする者もいると聞くが(制度上は違反行為である)、地元における就職先の提供で取り戻しは可能である。しかし住民票の異動を伴う就職移動は、当然ながら取り戻しがききにくい。このことから、地方創生においては男女関係なく、一時的な転勤や進学による移動ではなく「住民票上の就職異動状況」がその発生規模的にも移動の性質的にも最も問題視されねばならないだろう。
【 一極集中へのアプローチの正解は「20代新卒男女の就職誘致」 】
人口属性をみると東京都から転出超過(地方移住)している人口属性はばらつきが非常に大きく、全体の純増減への影響度合いが1割超となるのは、30代後半男性人口と4歳までの乳幼児人口のみである。転出超過の人口属性32パターン(7位から38位合計5万2162人)における割合は、最も多い4歳児以下男女人口でも17.3%となっている。
図表からも明らかなように、転入超過の6パターン、特に新卒就職時に住民票を移動する20代前半男女(国勢調査ではこの20代前半男女の9割以上が未婚である)への強力なアプローチ(地元から出さない、といった非多様かつ強制的な考え方でなく、全国の20代人口からの人気をどう得るかを考えたい)なくして「地方創生」などありえない、といった結論が容易に導かれるはずである。
人口問題において、自分の過去の経験や自分の置かれている環境だけから語るような「誰でも語れるいいことをしてみよう議論」ではなく、いかに科学的解決方法を導けるかが最大の課題であり、日本は戦後初めて、この分野における異次元の「学び直し」力を問われているともいえるだろう。
図表からも明らかなように、転入超過の6パターン、特に新卒就職時に住民票を移動する20代前半男女(国勢調査ではこの20代前半男女の9割以上が未婚である)への強力なアプローチ(地元から出さない、といった非多様かつ強制的な考え方でなく、全国の20代人口からの人気をどう得るかを考えたい)なくして「地方創生」などありえない、といった結論が容易に導かれるはずである。
人口問題において、自分の過去の経験や自分の置かれている環境だけから語るような「誰でも語れるいいことをしてみよう議論」ではなく、いかに科学的解決方法を導けるかが最大の課題であり、日本は戦後初めて、この分野における異次元の「学び直し」力を問われているともいえるだろう。
(2023年02月13日「研究員の眼」)
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