2023年01月26日

小・中学生のコロナ禍前後のマスクをつける頻度の変化

保険研究部 准主任研究員 岩﨑 敬子

保険研究部 主任研究員・ヘルスケアリサーチセンター兼任 村松 容子

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5――持病の有無別マスクをつける頻度のコロナ禍前後の変化

さらに、新型コロナ感染症の重症化リスクが高いと言われる持病の有無別に、学校でマスクをつける頻度を確認したのが、図5である。持病のある子は、持病の無い子に比べて、コロナ禍前から、マスクをつける頻度が多い傾向が見られる16。一方で、2022年10月現在にその差は大きく広がっておらず、コロナ禍の学校でのマスク着用頻度への影響の大きさについては、持病の有無による大きな違いは確認されなかった17
図5. 学校でマスクをつける頻度(持病有無別)
また、新型コロナ感染症の重症化リスクが高いと言われる持病の有無別に、外出時にマスクをつける頻度を確認したのが、図6である。学校でマスクをつける頻度と同様に、持病のある子は、持病の無い子に比べて、コロナ禍前から、マスクをつける頻度が多い傾向が見られる18。一方で、2022年10月現在にその差の大きさは大きく変化しておらず、コロナ禍の外出先でのマスク着用頻度への影響の大きさについては、持病の有無による大きな違いは確認されなかった19
図6. 外出時にマスクをつける頻度(持病有無別)
 
16 コロナ禍前に学校で常にマスクをつけていた場合に1をとりそれ以外の場合に0をとるダミー変数を被説明変数とし、女子ダミー、学年ダミー(小学校低学年、小学校高学年、中学生)、持病有ダミーを説明変数とした線形確率モデルを推定すると、持病有ダミー統計的に有意に正であることが確認された(有意水準5%)。
17 2022年10月現在学校で常にマスクをつけている場合に1をとりそれ以外の場合に0をとるダミー変数を被説明変数とし、コロナ禍前に学校で常にマスクをつけていた人ダミー、女子ダミー、学年ダミー(小学校低学年、小学校高学年、中学生)、持病有ダミーを説明変数とした線形確率モデルを推定すると、持病有ダミーの係数は統計的に有意な値ではなかった(有意水準15%)。
18 コロナ禍前に外出時に常にマスクをつけていた場合に1をとりそれ以外の場合に0をとるダミー変数を被説明変数とし、女子ダミー、学年ダミー(小学校低学年、小学校高学年、中学生)、持病有ダミーを説明変数とした線形確率モデルを推定すると、持病有ダミー統計的に有意に正であることが確認された(有意水準1%)。
19 2022年10月現在外出時に常にマスクをつけている場合に1をとりそれ以外の場合に0をとるダミー変数を被説明変数とし、コロナ禍前に外出時に常にマスクをつけていた人ダミー、女子ダミー、学年ダミー(小学校低学年、小学校高学年、中学生)、持病有ダミーを説明変数とした線形確率モデルを推定すると、持病有ダミーの係数は、統計的に有意な値ではなかった(有意水準15%)。

6――おわりに

6――おわりに

本稿では、ニッセイ基礎研究所が小・中学生の子のいる人々を対象に行った独自の WEB アンケート調査を用いて、小・中学生のコロナ禍前後のマスクをつける頻度の変化について、男女、年齢層、持病の有無別に確認した分析結果を紹介した。本調査で示された主な結果は以下の4点である。
 
  • コロナ禍前と 2022 年 10 月の調査時点を比べると、学校でも外出時にも、小・中学生のマスクをつける頻度は大きく増加した。
     
  • 男子よりも女子の間で、常にマスクをつけている人がより増加した傾向が見られる。
     
  • 小学校低学年の子の間では、小学校高学年や中学生の子に比べて、2022年10月現在、外出時に、常にマスク子をつける子の割合は小さい傾向が見られるが、常につけている子とほとんどつけている子を合わせた割合は、その他の学年と大きく変わらない。
     
  • 新型コロナ感染症の重症化リスクが高いと言われる持病のある子は、コロナ禍前からマスクをつける頻度が多い傾向が見られるが、コロナ禍のマスク着用頻度への影響の大きさについては、持病の有無による大きな違いは確認されなかった。
 
男女や学年の間で見られる違いの理由については今後の検討課題であるが、交流関係から受ける影響や外出先の違いなどが考えられるかもしれない。コロナ禍で大きく変化した子どもたちのマスク着用状況は、アフターコロナの社会でどのように変化していくのか、また、こうした変化が今後長期的に子どもたちの成長にどのような影響を与える可能性があるのか、厳密に検証されていく必要があるだろう。
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保険研究部

岩﨑 敬子 (いわさき けいこ)

保険研究部

村松 容子 (むらまつ ようこ)

(2023年01月26日「基礎研レポート」)

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