- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 欧州経済 >
- 「トリプル安」後の英国-日本が真に学ぶべきことは?-
2022年12月02日
「トリプル安」後の英国-日本が真に学ぶべきことは?-
03-3512-1832
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
■要旨
9月下旬から10月半ばにかけて英国が見舞われた「トリプル安」は、高インフレ下での財源の裏付けのない大規模財政出動が市場から拒否された金融ショックとして記憶に深く刻まれた。
他方、日本の借入依存の財政出動は市場の激しい反応を引き起こしていない。
英国と日本の間には、インフレ圧力の強さ、金融政策の方向性、経常収支と外貨準備高の状況に違いがある。FRBの利上げに関する市場観測の変化もあった。
英国の場合、トラス政権が財政への信頼確保のために確立してきたルールや制度を否定するような行動に出たことに市場が激しく反応した。日本の場合、ルールや制度が脆弱で、景気対策のための財政出動が常態化しているため、市場にとってサプライズにならない面もある。
スナク政権は新たな「中期財政計画」で、向こう5年間で550億ポンドの財政健全化措置を示した。財政健全化は計画通りには進まず、生活水準の停滞が続くと見られる厳しい情勢だが、財政健全化に手を打つ必要性については、国民の一定の理解を得ているようだ。
英国のケースは「放漫財政の末路」ではない。財政への信頼を確保するルールや制度の基盤がある程度確立していたからこそ、速やかに軌道修正できた。
日本は、英国のような「トリプル安」が生じにくい理由を探して安心するのではなく、市場からのシグナルを把握しづらくなっていることこそが問題と認識すべきだ。
日本が、英国の経験から真に学ぶべきは、中期的な観点から、財源についても議論し、広く国民の理解を得るとともに、政策の予見可能性を高める必要があるということだ。
■目次
1――はじめに-「トリプル安」から速やかに脱却した英国、回避している日本
2――日本と英国の違い
1|物価・賃金動向
2|金融政策と国債保有構造
3|経常収支と外貨準備高
4|FRBの利上げに関する市場観測の変化
5|財政への信頼を確保するためのルールと制度
3――「トリプル安」後の英国
-トラス政権の「ミニ予算」からスナク政権の「中期財政計画」へ
1|ミニ予算の修正
2|スナク政権の「中期財政計画」
3|専門家による評価
4|国民の受け止め
4――おわりに-日本が真に学ぶべきことは?
9月下旬から10月半ばにかけて英国が見舞われた「トリプル安」は、高インフレ下での財源の裏付けのない大規模財政出動が市場から拒否された金融ショックとして記憶に深く刻まれた。
他方、日本の借入依存の財政出動は市場の激しい反応を引き起こしていない。
英国と日本の間には、インフレ圧力の強さ、金融政策の方向性、経常収支と外貨準備高の状況に違いがある。FRBの利上げに関する市場観測の変化もあった。
英国の場合、トラス政権が財政への信頼確保のために確立してきたルールや制度を否定するような行動に出たことに市場が激しく反応した。日本の場合、ルールや制度が脆弱で、景気対策のための財政出動が常態化しているため、市場にとってサプライズにならない面もある。
スナク政権は新たな「中期財政計画」で、向こう5年間で550億ポンドの財政健全化措置を示した。財政健全化は計画通りには進まず、生活水準の停滞が続くと見られる厳しい情勢だが、財政健全化に手を打つ必要性については、国民の一定の理解を得ているようだ。
英国のケースは「放漫財政の末路」ではない。財政への信頼を確保するルールや制度の基盤がある程度確立していたからこそ、速やかに軌道修正できた。
日本は、英国のような「トリプル安」が生じにくい理由を探して安心するのではなく、市場からのシグナルを把握しづらくなっていることこそが問題と認識すべきだ。
日本が、英国の経験から真に学ぶべきは、中期的な観点から、財源についても議論し、広く国民の理解を得るとともに、政策の予見可能性を高める必要があるということだ。
■目次
1――はじめに-「トリプル安」から速やかに脱却した英国、回避している日本
2――日本と英国の違い
1|物価・賃金動向
2|金融政策と国債保有構造
3|経常収支と外貨準備高
4|FRBの利上げに関する市場観測の変化
5|財政への信頼を確保するためのルールと制度
3――「トリプル安」後の英国
-トラス政権の「ミニ予算」からスナク政権の「中期財政計画」へ
1|ミニ予算の修正
2|スナク政権の「中期財政計画」
3|専門家による評価
4|国民の受け止め
4――おわりに-日本が真に学ぶべきことは?
(2022年12月02日「基礎研レポート」)
03-3512-1832
新着記事
-
2025年12月08日
日銀短観(12月調査)予測~大企業製造業の業況判断DIは2ポイント上昇の16と予想 -
2025年12月08日
2025~2027年度経済見通し-25年7-9月期GDP2次速報後改定 -
2025年12月08日
中国の貿易統計(25年11月)~輸出、輸入とも改善。対米輸出は減少が続く -
2025年12月08日
Average Commuting Time by Prefecture in Japan: Before and After the COVID-19 Pandemic -
2025年12月08日
都道府県別平均通勤時間-コロナ禍前後の変化分析-
お知らせ
-
2025年12月01日
News Release
-
2025年12月01日
News Release
-
2025年07月01日
News Release
【「トリプル安」後の英国-日本が真に学ぶべきことは?-】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
「トリプル安」後の英国-日本が真に学ぶべきことは?-のレポート Topへ









