- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 保険 >
- 中国・アジア保険事情 >
- インドの生命保険会社の状況-2021年度の決算数値を踏まえての成長性・効率性・収益性・健全性等の動向-
2022年11月02日
インドの生命保険会社の状況-2021年度の決算数値を踏まえての成長性・効率性・収益性・健全性等の動向-
このレポートの関連カテゴリ
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
1―はじめに
インドの生命保険会社を巡る状況等については、これまでもいくつかのレポート1で定期的に報告してきている。
生命保険会社各社は、Public Disclosureとして、四半期毎に決算数値の公表を行っている。また、インドの保険監督当局であるIRDAI(Insurance Regulatory and Development Authority of India:インド保険規則開発局)は、毎年12月から翌年の1月にかけて、Annual Reportを作成して、前年度の決算に基づく業界全体の数値等を報告している。
今回のレポートでは、国営生命保険会社であるLIC2と規模で上位の民間外資系生命保険会社の5社について、2021年度決算ベースの各社のPublic Disclosures資料の数値に基づいて、その成長性・効率性・収益性・健全性等の状況について報告する。
なお、現段階においては、IRDAIの2021年度のAnnual Reportは未公表のため、業界全体の最新数値は2020年度となっている。さらに、最後にインドでの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大による影響について簡単に触れておく。
1 基礎研レター「インドの生命保険市場(1)~(6)」(2015.11 30~2016.1.18)、保険年金フォーカス「インドの生命保険会社の状況-2018年度の決算数値を踏まえての成長性・効率性・収益性・健全性等の動向-」(2019.11.19)、「インドの保険監督当局IRDAIがD‐SIIsとして3社を特定等」(2020.10.1)、「インドの生命保険会社の状況-2019年度の決算数値を踏まえての成長性・効率性・収益性・健全性等の動向-」(2020.11.17)、「インドの生命保険会社の状況-2020年度の決算数値を踏まえての成長性・効率性・収益性・健全性等の動向-」(2021.11.16)等
2 インド政府は2022年5月にLICの保有株式の3.5%を売却して、LICを新規上場(IPO)している。
生命保険会社各社は、Public Disclosureとして、四半期毎に決算数値の公表を行っている。また、インドの保険監督当局であるIRDAI(Insurance Regulatory and Development Authority of India:インド保険規則開発局)は、毎年12月から翌年の1月にかけて、Annual Reportを作成して、前年度の決算に基づく業界全体の数値等を報告している。
今回のレポートでは、国営生命保険会社であるLIC2と規模で上位の民間外資系生命保険会社の5社について、2021年度決算ベースの各社のPublic Disclosures資料の数値に基づいて、その成長性・効率性・収益性・健全性等の状況について報告する。
なお、現段階においては、IRDAIの2021年度のAnnual Reportは未公表のため、業界全体の最新数値は2020年度となっている。さらに、最後にインドでの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大による影響について簡単に触れておく。
1 基礎研レター「インドの生命保険市場(1)~(6)」(2015.11 30~2016.1.18)、保険年金フォーカス「インドの生命保険会社の状況-2018年度の決算数値を踏まえての成長性・効率性・収益性・健全性等の動向-」(2019.11.19)、「インドの保険監督当局IRDAIがD‐SIIsとして3社を特定等」(2020.10.1)、「インドの生命保険会社の状況-2019年度の決算数値を踏まえての成長性・効率性・収益性・健全性等の動向-」(2020.11.17)、「インドの生命保険会社の状況-2020年度の決算数値を踏まえての成長性・効率性・収益性・健全性等の動向-」(2021.11.16)等
2 インド政府は2022年5月にLICの保有株式の3.5%を売却して、LICを新規上場(IPO)している。
2―収入保険料の状況
2021年度の6社の収入保険料の払方別の内訳は、以下の図表の通りである。
これらの6社全体の収入保険料の対前年増加率は8.9%(2020年度は9.1%、2019年度は12.8%、2018年度は9.6%、以下同様)となっている。また、民間5社のうちICICI Prudential以外は2桁進展で、民間5社全体でも16.1%(17.3%、13.9%、21.3%)と引き続き高い進展となっている。一方で、LICは6.1%(6.3%、12.4%、6.1%)の進展だったが、そのシェアについては、2017年度に7割を切って以降も引き続き低下傾向にある。
払方別の内訳では、一時払の割合が、LIC、HDFC Standard、Bajaj Allianzでは3割を超えて高くなっているが、ICICI Prudential、SBI Lifeでは2割程度、Max Lifeでは1割程度となっており、この状況は2020年度と同様である。
これらの6社全体の収入保険料の対前年増加率は8.9%(2020年度は9.1%、2019年度は12.8%、2018年度は9.6%、以下同様)となっている。また、民間5社のうちICICI Prudential以外は2桁進展で、民間5社全体でも16.1%(17.3%、13.9%、21.3%)と引き続き高い進展となっている。一方で、LICは6.1%(6.3%、12.4%、6.1%)の進展だったが、そのシェアについては、2017年度に7割を切って以降も引き続き低下傾向にある。
払方別の内訳では、一時払の割合が、LIC、HDFC Standard、Bajaj Allianzでは3割を超えて高くなっているが、ICICI Prudential、SBI Lifeでは2割程度、Max Lifeでは1割程度となっており、この状況は2020年度と同様である。
3―経営効率の状況
以下の図表における数値において、会社によっては算出基準等の変更により、これまでの数値との比較ができなくなっているため、( )内に、参考として前年度公表数値を掲載している。
1|継続率
保険契約の13月目と25月目の継続率(年換算保険料ベース)の過去5年間の推移は、以下の図表の通りとなっている。継続率は、商品・販売チャネル等によっても、大きく異なるが、これらの合計数値として、各社の数値が示されている。なお、各社の算出ベースは必ずしも統一されているとは限らないので、会社間で水準を比較する場合には注意が必要となる。
LICとBajaj Allianzを除く民間4社の13月目継続率は84%以上、ICICI Prudential、HDFC Standard、SBI Life の25月目継続率は75%以上となっている。なお、LICの13月目及び25月目継続率は、(Max Lifeの25月目継続率を除けば)民間5社に比べて、低い水準となっている。
各社とも、継続率の改善は大きな課題であり、監督当局であるIRDAIも注視している。これまで、基本的には、各社とも着実に継続率水準の向上を図ってきている。
保険契約の13月目と25月目の継続率(年換算保険料ベース)の過去5年間の推移は、以下の図表の通りとなっている。継続率は、商品・販売チャネル等によっても、大きく異なるが、これらの合計数値として、各社の数値が示されている。なお、各社の算出ベースは必ずしも統一されているとは限らないので、会社間で水準を比較する場合には注意が必要となる。
LICとBajaj Allianzを除く民間4社の13月目継続率は84%以上、ICICI Prudential、HDFC Standard、SBI Life の25月目継続率は75%以上となっている。なお、LICの13月目及び25月目継続率は、(Max Lifeの25月目継続率を除けば)民間5社に比べて、低い水準となっている。
各社とも、継続率の改善は大きな課題であり、監督当局であるIRDAIも注視している。これまで、基本的には、各社とも着実に継続率水準の向上を図ってきている。
4―収益性の状況
(2022年11月02日「基礎研レポート」)
このレポートの関連カテゴリ
関連レポート
- インドの生命保険市場(1)-巨大国インドの生命保険市場はどのような状況にあるのか-
- インドの生命保険市場(2)-昨今の保険監督規制を巡る状況はどのようになっているのか-
- インドの生命保険市場(3)-責任準備金やソルベンシー等の財務面の監督規制はどのようになっているのか-
- インドの生命保険市場(4)-インドのアポインテッド・アクチュアリー制度はどのような仕組みで運営されているのか-
- インドの生命保険市場(5)-インドの生命保険会社のリスク管理はどのように行われているのか-
- インドの生命保険市場(6)-インドの生命保険会社の経営効率や収益性・健全性等の状況はどのようになっているのか-
- インドの生命保険会社の状況-2018年度の決算数値を踏まえての成長性・効率性・収益性・健全性等の動向-
- インドの保険監督当局IRDAIがD‐SIIsとして3社を特定
- インドの生命保険会社の状況-2019年度の決算数値を踏まえての成長性・効率性・収益性・健全性等の動向-
- インドの生命保険会社の状況-2020年度の決算数値を踏まえての成長性・効率性・収益性・健全性等の動向-
中村 亮一のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/05/02 | 曲線にはどんな種類があって、どう社会に役立っているのか(その11)-螺旋と渦巻の実例- | 中村 亮一 | 研究員の眼 |
2025/04/25 | 欧州大手保険グループの2024年の生命保険新契約業績-商品タイプ別・地域別の販売動向・収益性の状況- | 中村 亮一 | 基礎研レポート |
2025/04/14 | 欧州大手保険グループの地域別の事業展開状況-2024年決算数値等に基づく現状分析- | 中村 亮一 | 基礎研レポート |
2025/04/01 | 欧州大手保険グループの2024年末SCR比率等の状況-ソルベンシーII等に基づく数値結果報告と資本管理等に関係するトピック- | 中村 亮一 | 基礎研レポート |
新着記事
-
2025年05月02日
金利がある世界での資本コスト -
2025年05月02日
保険型投資商品等の利回りは、良好だったが(~2023 欧州)-4年通算ではインフレ率より低い。(EIOPAの報告書の紹介) -
2025年05月02日
曲線にはどんな種類があって、どう社会に役立っているのか(その11)-螺旋と渦巻の実例- -
2025年05月02日
ネットでの誹謗中傷-ネット上における許されない発言とは? -
2025年05月02日
雇用関連統計25年3月-失業率、有効求人倍率ともに横ばい圏内の動きが続く
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年04月02日
News Release
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
【インドの生命保険会社の状況-2021年度の決算数値を踏まえての成長性・効率性・収益性・健全性等の動向-】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
インドの生命保険会社の状況-2021年度の決算数値を踏まえての成長性・効率性・収益性・健全性等の動向-のレポート Topへ