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- 日銀短観(9月調査)予測~大企業製造業の業況判断DIは2ポイント上昇の11と予想、景況感は足踏み状態が継続
2022年09月16日
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■要旨
- 9月短観では、原材料・エネルギー価格の高騰が引き続き景況感の重荷となった一方で、上海の都市封鎖解除に伴う供給制約の緩和が追い風となり、大企業製造業の景況感が強含むと予想。輸出企業では円安も景況感の追い風になったと考えられる。一方、非製造業では、経済活動の再開が継続されたことが支えとなった一方で、原材料・エネルギー高が重荷となったうえ、コロナ感染の急拡大も足枷となり、景況感が弱含むと見ている。
- 先行きの景況感は方向感にばらつきが出ると予想している。総じて、原材料高の継続や値上げによる需要減少に対する懸念が燻るなか、製造業では世界経済の後退などへの懸念も加わり、景況感の悪化が示されそうだ。一方、非製造業ではコロナの感染縮小や水際対策の緩和などへの期待が反映され、小幅な回復が示されると見ている。
- 今年度の設備投資計画(全規模全産業)は、前年比14.0%増と前回からほぼ横ばいとなり、大幅に持ち直すとの計画が維持されると予想している。例年、9月調査では計画の具体化に伴って若干上方修正される傾向が強いほか、企業収益の回復、昨年度からの先送り分の存在、脱炭素やDX等に向けた需要の存在がその理由となる。ただし、世界経済の後退懸念が高まっていることが、製造業を中心に抑制に働くとみている。
- 今回の短観で特に注目されるのは、前回に続き、仕入・販売価格判断DIの動きだ。既にコストプッシュ型の物価上昇が加速しており、企業や家計の負担感が強まっているためだ。今回、仕入価格がどの程度上昇し、企業の採算がどれだけ圧迫されているか、今後はどの程度仕入価格の上昇が見込まれ、販売価格に転嫁される見通しなのかが両DIによって示される。また、今後の日本経済を占ううえでは設備投資計画の重要性も高い。個人消費や輸出に比べて回復の遅れが目立っているだけに、キャッチアップが求められるためだ。
(2022年09月16日「Weekly エコノミスト・レター」)
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経歴
- ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所
・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)
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