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- 米国経済の見通し-メインシナリオは景気後退回避も、FRBによる金融引き締めから高まる景気後退リスク
2022年09月09日
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■要旨
- 米国の22年4-6月期の実質GDP成長率(前期比年率)は▲0.6%(前期:▲1.6%)と2期連続のマイナス成長となり、テクニカル・リセッションの条件に抵触。FRBによる金融引き締めによって民間需要の低下が顕著となった。
- 一方、全米経済研究所(NBER)が景気循環を判定する際に重視する経済指標は概ね堅調を維持しており、2期連続のマイナス成長をもって景気後退と判断される可能性は低い。もっとも、FRBはインフレ抑制を景気より優先する姿勢を明確にしていることから、景気後退の可能性が高くなっていることは否定できない。
- 今後のインフレや金融政策の動向が見通し難い中、米国経済の見通しは非常に不透明。当研究所は見通し前提として、インフレは23年末にかけて緩やかに低下、FRBは11月以降政策金利の引き上げ幅を大幅に縮小させるとした。この前提の下、成長率(前年比)は22年が+1.6%、23年が+1.0%と予想する。景気後退をメインシナリオとしないものの、景気後退に陥る確率は5分5分だろう。
- 金融政策は22年9月に0.75%の利上げを実施した後、11月と12月は0.25%に利上げ幅を縮小するほか、23年は政策金利を据え置くと予想。
- 上記見通しに対するリスクは、インフレ高進による政策金利の上振れと米国内政治が挙げられる。11月の中間選挙で共和党が下院で過半数を確保してねじれ議会となり、米国政治が機能不全となる場合には、機動的な景気対策の実行が困難となろう。
■目次
1.経済概況・見通し
(経済概況)4‐6月期の成長率は2期連続マイナス成長、テクニカル・リセッションに抵触
(経済見通し)成長率は22年が前年比+1.6%、23年は+1.0%を予想
2.実体経済の動向
(労働市場、個人消費)堅調な雇用増加が持続、消費者センチメントが改善
(設備投資)需要低下や金利上昇から設備投資の伸びは鈍化
(住宅投資)住宅ローン金利の上昇から住宅需要は低下
(政府支出)インフレ削減法によるインフレへの影響は限定的
(貿易)国内需要の低下から輸入の軟調が続く見込み
3.物価・金融政策・長期金利の動向
(物価)消費者物価(前年同月比)は既にピークアウトもインフレ見通しは非常に不透明
(金融政策)22年末の政策金利は3.75%、23年は政策金利の据え置きを予想
(長期金利)22年末3.2%、23年末3.0%を予想
1.経済概況・見通し
(経済概況)4‐6月期の成長率は2期連続マイナス成長、テクニカル・リセッションに抵触
(経済見通し)成長率は22年が前年比+1.6%、23年は+1.0%を予想
2.実体経済の動向
(労働市場、個人消費)堅調な雇用増加が持続、消費者センチメントが改善
(設備投資)需要低下や金利上昇から設備投資の伸びは鈍化
(住宅投資)住宅ローン金利の上昇から住宅需要は低下
(政府支出)インフレ削減法によるインフレへの影響は限定的
(貿易)国内需要の低下から輸入の軟調が続く見込み
3.物価・金融政策・長期金利の動向
(物価)消費者物価(前年同月比)は既にピークアウトもインフレ見通しは非常に不透明
(金融政策)22年末の政策金利は3.75%、23年は政策金利の据え置きを予想
(長期金利)22年末3.2%、23年末3.0%を予想
(2022年09月09日「Weekly エコノミスト・レター」)
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経歴
- 【職歴】
1991年 日本生命保険相互会社入社
1999年 NLI International Inc.(米国)
2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
2014年10月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
窪谷 浩のレポート
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