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- 世界各国の市場動向・金融政策(2022年7月)-7月の株価は反発、通貨はまちまち
2022年08月02日
1.概要:7月の株価は反発、通貨はまちまち
1 本稿では金融政策はG20について確認する。また、株価・為替についてはMSCI ACWIの指数を構成する47か国・地域について確認する。中国と記載した場合は中国本土を指し香港は除く。また、香港等の地域も含めて「国」と記載する。本文中の先進市場と新興市場の区分についてはMSCIの分類に基づく。
次にロシアが主要な供給源となっている商品の動向を追うと、金属(アルミ、ニッケル)価格は6月に一段と下落し、世界経済の減速による需要後退懸念などを受けてロシアによるウクライナ侵攻前の水準まで低下したが、7月は概ね横ばい圏での推移となった(図表6)。
農作物価格についても小麦、トウモロコシ価格はロシアのウクライナ侵攻前の水準で横ばい圏となっている(図表7)。
農作物価格についても小麦、トウモロコシ価格はロシアのウクライナ侵攻前の水準で横ばい圏となっている(図表7)。
エネルギー価格(石炭、原油、天然ガス)では、欧州のガス価格が7月に一段と上昇した(図表8)。ガスプロムが主要ガスパイプラインである「ノルドストリーム1」によるガス供給を引き続き減少させていることなどが供給不安につながっている。
なお、ガスプロムは7月11日に定期保守点検のためにガス供給を20日まで停止させていた。その後、平時の4割程度のガス供給を再開したが、25日には技術的な状態を理由に平時の2割程度の水準まで供給を減少させると発表している。
2 ロシアのウクライナ侵攻と経済・金融制裁を受けて、3月にロシアはMSCI ACWIから除外されているが、世界の金融市場に大きな影響を及ぼしたその後の状況を確認するため、本節で概観する。
なお、ガスプロムは7月11日に定期保守点検のためにガス供給を20日まで停止させていた。その後、平時の4割程度のガス供給を再開したが、25日には技術的な状態を理由に平時の2割程度の水準まで供給を減少させると発表している。
2 ロシアのウクライナ侵攻と経済・金融制裁を受けて、3月にロシアはMSCI ACWIから除外されているが、世界の金融市場に大きな影響を及ぼしたその後の状況を確認するため、本節で概観する。
3.株価(MSCI)・為替レートの動き
MSCI ACWIの月間騰落率は、全体では前月比6.9%、先進国が前月比7.9%、新興国が前月比▲0.7%となり、先進国は6月の下落から反発したが、新興国は下落基調が続いた(前掲図表2)。
通貨の騰落率を見ると、ドルの27カ国の貿易ウエイトで加重平均した実効為替レート(Narrow)が前月比▲1.0%、60カ国の貿易ウエイトで加重平均した実効為替レート(Broad)が前月比▲1.2%となり、6月に続きドル高が進む形となった5(前掲図表3)。
3 例えば、Bloomberg日本語版「中国の銀行、47兆円超の住宅ローン損失に直面の可能性も-不動産危機で」2022年8月1日(22年8月2日アクセス)など。
4 例えば、日本経済新聞「中国、独占禁止法を初改正 ネット大手の統制強化」2022年6月24日(22年8月2日アクセス)など。
5 ただし、名目実効為替レートは7月26日時点の前月末比で算出。
7月はG7のうち、カナダ銀行、日本銀行、ECB、FRBで金融政策を決定する会合が開かれた。カナダとFRBは4会合連続となる利上げを決定、またECBも11年ぶりの利上げに踏み切った。利上げ幅もカナダが1.0%ポイント、FRBが0.75%ポイント、ECBが0.50%ポイントといずれも大幅なものとなった。なお、ECBは利上げとあわせて南欧など一部地域の金利上昇が金融政策の伝達を阻害する「分断化(fragmentation)」のリスクに対抗するための伝達保護措置(TPI:Transmission Protection Instrument)も公表した。一方、日本銀行は引き続き現行緩和策の維持を決定している。
G7以外の国ではオーストラリア、ポーランド、韓国、デンマーク、南アフリカ、ハンガリー、サウジアラビア、アルゼンチンで利上げを決定している。一方、ロシアはウクライナ侵攻後の経済制裁などで生じたインフレ圧力が低下してきたことを受けて、5会合連続で利下げを実施、政策金利を8.0%まで引き下げた。
これ以外の国では、トルコでは、物価が上昇する中で政策金利を7会合連続で据え置いた。中国人民銀行は5月に5年物LPR(最優遇貸出金利)を引き下げていたが、6月・7月は2か月連続で金利を据え置いている。
G7以外の国ではオーストラリア、ポーランド、韓国、デンマーク、南アフリカ、ハンガリー、サウジアラビア、アルゼンチンで利上げを決定している。一方、ロシアはウクライナ侵攻後の経済制裁などで生じたインフレ圧力が低下してきたことを受けて、5会合連続で利下げを実施、政策金利を8.0%まで引き下げた。
これ以外の国では、トルコでは、物価が上昇する中で政策金利を7会合連続で据え置いた。中国人民銀行は5月に5年物LPR(最優遇貸出金利)を引き下げていたが、6月・7月は2か月連続で金利を据え置いている。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2022年08月02日「経済・金融フラッシュ」)
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経歴
- 【職歴】
2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
2009年 日本経済研究センターへ派遣
2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
2014年 同、米国経済担当
2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
2020年 ニッセイ基礎研究所
2023年より現職
・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
アドバイザー(2024年4月~)
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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