- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 欧州経済 >
- ユーロ圏GDP(2022年4-6月期)-コロナ禍から回復で成長率は大幅加速
2022年08月01日
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
1.結果の概要:成長率は大幅加速
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想も同様
2.結果の詳細:ドイツは横ばい圏だが、フランス・イタリア・スペインが成長をけん引
2022年4-6月期の成長率は前期比0.7%(年率換算2.8%)だった。5四半期連続でのプラス成長となり、伸び率は21年10-12月期(前期比0.4%、年率換算1.6%)、22年1-3月期(前期比0.5%、年率換算2.0%)からも加速している。実質GDPの水準はコロナ禍前(19年10-12月期)と比較して+1.5%まで回復している。ユーロ圏では昨年後半から物価上昇が顕著であり、経済への下押し圧力は強まっているが、コロナ禍で抑制されていた対面サービス関連産業の回復が進んだことで成長率は大幅に加速したと見られる。
経済規模の大きい4か国の伸び率を見ると(図表3)、前期比ではドイツ▲0.0%(前期0.8%)、フランス0.5%(前期▲0.2%)、イタリア1.0%(前期0.1%)、スペイン1.1%(前期0.2%)となった。ドイツの伸び率はほぼ横ばいだが、フランス、イタリア、スペインの伸びが高くユーロ圏全体の回復をけん引した。実質GDPの水準では、大国4か国のうち、フランスとイタリアがコロナ禍前を超える一方、ドイツとスペインはコロナ禍前の水準を下回っている(図表4)。
経済規模の大きい4か国の伸び率を見ると(図表3)、前期比ではドイツ▲0.0%(前期0.8%)、フランス0.5%(前期▲0.2%)、イタリア1.0%(前期0.1%)、スペイン1.1%(前期0.2%)となった。ドイツの伸び率はほぼ横ばいだが、フランス、イタリア、スペインの伸びが高くユーロ圏全体の回復をけん引した。実質GDPの水準では、大国4か国のうち、フランスとイタリアがコロナ禍前を超える一方、ドイツとスペインはコロナ禍前の水準を下回っている(図表4)。
次にフランスとスペインは各国統計局(フランス国立統計経済研究所(INSEE)、スペイン統計局(INE))がGDPの詳細を公表しているので、以下で見ていきたい。
フランスの成長率(前期比)を需要項目別に見ると、個人消費▲0.2%(前期▲1.3%)、政府消費▲0.1%(前期0.0%)、投資0.5%(前期0.5%)、輸出0.8%(前期1.6%)、輸入▲0.6%(前期1.2%)となった。在庫変動は前期比寄与度0.1%ポイント、純輸出が前期比寄与度0.4%ポイントであり、4-6月期は純輸出が全体の成長率を押し上げる形となった。
産業別の付加価値を見ると、工業が▲0.3%(前期▲0.2%)、建設業が▲0.9%(前期0.3%)、市場型サービス産業1.2%(前期▲0.2%)、非市場型サービス▲0.2%(前期▲0.0%)だった。より細かい業種で見ると、対面サービス産業の代表である居住・飲食サービス(6.5%)が大きく回復する一方、電気・ガス・水道業(▲2.6%)の落ち込みが目立っている(図表5)。
フランスの成長率(前期比)を需要項目別に見ると、個人消費▲0.2%(前期▲1.3%)、政府消費▲0.1%(前期0.0%)、投資0.5%(前期0.5%)、輸出0.8%(前期1.6%)、輸入▲0.6%(前期1.2%)となった。在庫変動は前期比寄与度0.1%ポイント、純輸出が前期比寄与度0.4%ポイントであり、4-6月期は純輸出が全体の成長率を押し上げる形となった。
産業別の付加価値を見ると、工業が▲0.3%(前期▲0.2%)、建設業が▲0.9%(前期0.3%)、市場型サービス産業1.2%(前期▲0.2%)、非市場型サービス▲0.2%(前期▲0.0%)だった。より細かい業種で見ると、対面サービス産業の代表である居住・飲食サービス(6.5%)が大きく回復する一方、電気・ガス・水道業(▲2.6%)の落ち込みが目立っている(図表5)。
スペインの成長率(前期比)を需要項目別に見ると、個人消費3.2%(前期▲2.0%)、政府消費▲0.5%(前期0.1%)、投資2.8%(前期3.4%)、輸出1.6%(前期1.1%)、輸入4.6%(前期▲0.8%)となった。スペインでは個人消費の回復が目立つが、コロナ禍前比で見ると▲5.3%であり、依然としてやや低い水準と言える。産業別には、工業が0.8%(前期▲1.8%)、建設業が前期比0.3%(前期▲0.1%)、サービス業が前期比0.9%(前期0.5%)となっている。サービス業では、芸術・娯楽業が11.6%(前期1.3%)と大きく回復した(図表6)。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2022年08月01日「経済・金融フラッシュ」)
このレポートの関連カテゴリ

03-3512-1818
経歴
- 【職歴】
2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
2009年 日本経済研究センターへ派遣
2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
2014年 同、米国経済担当
2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
2020年 ニッセイ基礎研究所
2023年より現職
・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
アドバイザー(2024年4月~)
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
高山 武士のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/05/01 | ユーロ圏GDP(2025年1-3月期)-前期比0.4%に加速 | 高山 武士 | 経済・金融フラッシュ |
2025/04/23 | IMF世界経済見通し-トランプ関税で世界成長率は3%割れに | 高山 武士 | 経済・金融フラッシュ |
2025/04/18 | ECB政策理事会-トランプ関税を受け6会合連続の利下げ決定 | 高山 武士 | 経済・金融フラッシュ |
2025/04/16 | 英国雇用関連統計(25年3月)-緩やかながらも賃金上昇率の減速傾向が継続 | 高山 武士 | 経済・金融フラッシュ |
新着記事
-
2025年05月02日
金利がある世界での資本コスト -
2025年05月02日
保険型投資商品等の利回りは、良好だったが(~2023 欧州)-4年通算ではインフレ率より低い。(EIOPAの報告書の紹介) -
2025年05月02日
曲線にはどんな種類があって、どう社会に役立っているのか(その11)-螺旋と渦巻の実例- -
2025年05月02日
ネットでの誹謗中傷-ネット上における許されない発言とは? -
2025年05月02日
雇用関連統計25年3月-失業率、有効求人倍率ともに横ばい圏内の動きが続く
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年04月02日
News Release
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
【ユーロ圏GDP(2022年4-6月期)-コロナ禍から回復で成長率は大幅加速】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
ユーロ圏GDP(2022年4-6月期)-コロナ禍から回復で成長率は大幅加速のレポート Topへ