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「仙台オフィス市場」の現況と見通し(2022年)
金融研究部 主任研究員 吉田 資
1. はじめに
2. 仙台オフィス市場の現況
三幸エステートによると、2021年、仙台市の空室率は、景気悪化やテレワークの普及などに伴い、事業拠点の縮小および一部閉鎖を行う企業が増えるなか、大規模ビルの竣工を受けて2021年末には5.7%(前年同月比+0.8%)へ上昇した。しかし、今年に入り、空室率は緩やかに低下し6月時点で5.1%(前年同月比▲0.8%)となっている。
空室率(2022年6月時点)をビルの規模1別にみると、「大規模3.3%(前年比▲1.0%)」、「大型 5.3%(同▲0.9%)」、「中型7.8%(同▲0.1%)」、「小型9.1%(同▲0.1%)」となり、全ての規模で前年から低下した(図表-2)。
1 三幸エステートの定義による。大規模ビルは基準階面積200坪以上、大型は同100~200坪未満、中型は同50~100坪未満、小型は同20~50坪未満。
2 賃料サイクルとは、縦軸に賃料、横軸に空室率をプロットした循環図。通常、(1)空室率低下・賃料上昇→(2)空室率上昇・賃料上昇→(3)空室率上昇・賃料下落→(4)空室率低下・賃料下落、と時計周りに動く。
2021年末時点で「賃貸可能面積」が最も大きいエリアは、「駅前地区(35.6%)」で、次いで「一番町周辺地区(31.1%)」、「駅東地区(15.1%)」、「県庁・市役所周辺地区(12.9%)」の順となっている(図表-8)。昨年は、新規供給のあった「駅東地区」(前年比+5.4千坪)、「一番町周辺地区」(同+2.4千坪)、「駅前地区」(前年比+1.9千坪)で増加し、合計+9.8千坪となった(図表-9)。これに対して、テナントによる「賃貸面積」は、「駅東地区」(前年比+3.8千坪)等で増加し、合計+4.2千坪となった。この結果、空室面積は、仙台ビジネス地区全体で+5.7千坪の増加となった。
3. 仙台オフィス市場の見通し
「従業員数判断BSI4」(東北財務支局)は、人手不足を表わす「+22.0」(2020 年第1四半期)から「+5.3」(第2四半期)へ大幅に低下した。足元では「+14.2」まで上昇したものの、全国平均(+15.8)を下回っており、本格的な回復には至っていない(図表-15)。
3 企業の景況感が前期と比較して「上昇」と回答した割合から「下降」と回答した割合を引いた値。マイナス幅が大きいほど景況感
が悪いことを示す。
4 従業員数が「不足気味」と回答した割合から「過剰気味」と回答した割合を引いた値。マイナス幅が大きいほど雇用環境の悪化を示す。
パーソル総合研究所の「新型コロナウィルス対策によるテレワークへの影響に関する緊急調査」によれば、宮城県におけるテレワーク実施率は拡大傾向にあり、2022 年2月調査では22%となった(図表-16)。
また、宮城県経済商工観光部雇用対策課「令和3年度 労働実態調査結果報告書」によれば、「テレワークの導入状況」について、「導入済み」との回答は24%で、オフィスワーカー比率の高い「情報通信業」では88%に達している(図表-17)。
仙台におけるテレワーク実施率は東京や全国平均と比べて低いものの、コロナ禍を経て、「在宅勤務」を導入する企業は増加しているようだ。今後とも「在宅勤務」と「オフィス勤務」を組み合わせた働き方が続くと予想され、オフィス需要への影響を注視する必要がある。
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- 【職歴】
2007年 住信基礎研究所(現 三井住友トラスト基礎研究所)
2018年 ニッセイ基礎研究所
【加入団体等】
一般社団法人不動産証券化協会資格教育小委員会分科会委員(2020年度~)
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