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不妊症につながる女性疾患とは?(1)-約6割を占める女性不妊のリスク低減には、月経不順、性感染症、子宮内膜症等への早期対応が重要-
生活研究部 研究員・ジェロントロジー推進室・ヘルスケアリサーチセンター 兼任 乾 愛
本稿では、不妊治療を受ける必要がある「不妊症」はなぜ引き起こされるのか、加齢に伴う妊孕性の低下が不妊症に及ぼす影響のほか、不妊症につながる男女別の要因や器質的疾患についての特徴を2回に分けて整理し、不妊症のリスク低減に向けたヒントを提示したい。
本稿では女性の疾患に着目し、次稿では男性の疾患を考察する。
その結果、不妊症全体のうち、約6割は女性因子が占め、子宮因子、卵管因子、排卵(卵巣)因子がおよそ20%ずつ影響していたことが判明した。
また、子宮因子では子宮内膜症や子宮内膜ポリープ、卵管因子では性感染症、排卵因子では月経不順等が多くの影響を与えていることが明らかとなった。
さらに、各因子になりうる原因疾患の発現時期をライフステージ別にみていくと、子宮因子の予防には、性成熟期の無月経やストレス排除、また、卵管因子の予防には、月経開始時の周期不順や性感染症の回避、そして排卵因子の予防には学童期からの適切な体重管理などの対応が、不妊症のリスク低減に期待できるものであると明らかとなった。
日本では、妊娠・出産に至る年齢が年々上昇する傾向にある。妊娠を望むタイミングで不妊症の悩みに対応するのではなく、学童期からの適切な健康管理が、不妊症のリスクを回避し、スムーズな妊娠選択に繋がるものであるという視点(考え方)を改めて強調したい。
次稿では、男性不妊に焦点を当てて、特徴を整理する
■目次
1――はじめに
2――日本の不妊要因(要因構成)
3――不妊症の女性因子
3-1. 子宮因子
3-2. 卵管因子
3-3. 排卵(卵巣)因子
4――まとめ
(2022年06月27日「基礎研レター」)
03-3512-1847
- 【職歴】
2012年 東大阪市 入庁(保健師)
2018年 大阪市立大学大学院 看護学研究科 公衆衛生看護学専攻 前期博士課程修了
(看護学修士)
2019年 ニッセイ基礎研究所 入社
2019年~大阪市立大学大学院 看護学研究科 研究員(現:大阪公立大学 研究員)
【資格】
看護師・保健師・養護教諭一種・第一種衛生管理者
【加入団体等】
日本公衆衛生学会・日本公衆衛生看護学会・日本疫学会
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