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- 2022年4~5月の自社株買い動向~発行済株式総数に対する割合と株価の関係~
2022年05月27日
■企業が自己株式の取得を行う理由は
企業が公表している自己株式の取得を行う理由は、『株主還元』、『機動的な資本政策』、『資本効率の向上』が多かった。それ以外では、『譲渡制限付株式報酬制度の導入』もあった。そもそも譲渡制限付株式1とは、一定期間の譲渡(売却)が制限された株式を指し、2016年度税制改正以降、日本でも株式報酬の主流として導入が増加している。2022年4~5月に1994年以降で初めて自社株買いを設定した企業9社のうち5社は『譲渡制限付株式報酬制度の導入』が自己株式取得の理由であった。
1 SMBC日興証券「譲渡制限付株式(RS)」
https://www.smbcnikko.co.jp/corporate/welfare/restricted_stock/index.html
1 SMBC日興証券「譲渡制限付株式(RS)」
https://www.smbcnikko.co.jp/corporate/welfare/restricted_stock/index.html
■発行済株式総数に対する割合と株価の関係は
自社株買い決議の翌営業日にTOPIXを上回った企業は全体の65%もあり、全体の平均超過リターンは+2%であった。また、発行済株式総数に対する自社株買いの割合が大きいほど、株価騰落率が大きくなる傾向が見られた。
ほとんどの企業は決算発表日に自社株買いの設定も発表するため、同時に発表される業績や業績予想に左右される面もある。それでもこの結果から判断すると、自社株買いの設定によるアナウンスメント効果が今年度においてもあり、発行済株式総数に対する割合が高い企業ほど投資家から好感されたと言うことができる。
このように、自社株買い設定企業については、業績への自信や自社の株価が割安であるとのアナウンスメント効果から、従来通り市場からはおおむねポジティブに評価されていることが確認できた。また、発行済株式総数に対する割合が高い企業はポジティブサプライズとして翌営業日の株価が大きく上昇しており、投資家から資本効率の向上や株主還元の姿勢が評価されたと考えられる。ただし、自社株買いといった資本政策だけでは、市場の注目や株価の上昇は一時的なもので終わってしまう可能性もある。本来は資本政策よりも、主要事業における中長期的な成長戦略や新規事業が重要であり、それに向けての具体的なステップを投資家に示すことが各企業に求められているのではないだろうか。中長期的な株価への影響も含めて企業の各種発表に引き続き注目していきたい。
ほとんどの企業は決算発表日に自社株買いの設定も発表するため、同時に発表される業績や業績予想に左右される面もある。それでもこの結果から判断すると、自社株買いの設定によるアナウンスメント効果が今年度においてもあり、発行済株式総数に対する割合が高い企業ほど投資家から好感されたと言うことができる。
このように、自社株買い設定企業については、業績への自信や自社の株価が割安であるとのアナウンスメント効果から、従来通り市場からはおおむねポジティブに評価されていることが確認できた。また、発行済株式総数に対する割合が高い企業はポジティブサプライズとして翌営業日の株価が大きく上昇しており、投資家から資本効率の向上や株主還元の姿勢が評価されたと考えられる。ただし、自社株買いといった資本政策だけでは、市場の注目や株価の上昇は一時的なもので終わってしまう可能性もある。本来は資本政策よりも、主要事業における中長期的な成長戦略や新規事業が重要であり、それに向けての具体的なステップを投資家に示すことが各企業に求められているのではないだろうか。中長期的な株価への影響も含めて企業の各種発表に引き続き注目していきたい。
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03-3512-1855
経歴
- 【職歴】
2006年 資産運用会社にトレーダーとして入社
2015年 ニッセイ基礎研究所入社
2020年4月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会検定会員
・早稲田大学大学院経営管理研究科修了(MBA、ファイナンス専修)
(2022年05月27日「基礎研レター」)
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