2022年05月18日

英国雇用関連統計(22年4月)-失業率は3.7%で歴史的低水準に

経済研究部 准主任研究員   高山 武士

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1.結果の概要:失業率は歴史的低水準まで低下

5月17日、英国国家統計局(ONS)は雇用関連統計を公表し、結果は以下の通りとなった。
 

【4月】
失業保険申請件数1前月(166.94万件)から5.69万件減の161.25万件となった(図表1)。
申請件数の雇用者数に対する割合は4.1%となり、前月(同4.2%)から低下した
給与所得者数2前月(2941.9万人)から12.1万人増の2954.0万人となった。
増減数は前月(+5.9万人)から増加、市場予想3(+5.1万人)も上回った。

【3月(22年1-3月の3か月平均)】
失業率は3.7%で前月(3.8%)から低下、市場予想(3.8%)も下回った(図表1)。
就業者は3256.9万人で3か月前の3248.5万人から8.3万人の増加となった。
増減数は前月(+1.0万人)から増加し、市場予想(+0.4万人)も上回った。
週平均賃金は、前年同期比7.0%で前月(5.6%)から加速、市場予想(5.4%)も上回った(図表2)。

(図表1)英国の失業保険申請件数、失業率/(図表2)賃金・労働時間の推移
 
1 求職者手当(JSA:Jobseekerʼs Allowance)、国民保険給付(National Insurance credits)を受けている者に加えて、主に失業理由でユニバーサルクレジット(UC)を受給している者の推計数の合算。なお、UCはJSAより幅広い求職手当てであり、失業者数を示す統計としては過大評価している可能性がある。このため、ONSは失業保険等申請件数について公式統計とはしておらず実験統計という位置付けで公表している。ただし、公表日の前月のデータを入手できるため、速報性の高さという利点がある。
2 歳入関税庁(HRMC)の源泉徴収情報を利用した統計。直近データは利用可能な情報の85%ほどを集計して算出。
3 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。

2.結果の詳細:賃金上昇が加速

まず、4月のデータとして公表されている求人数および給与所得者数を確認すると、求人数は22年2-4月の平均で129.5万件となった。増加ペースは減速しつつも調査開始後の最高記録の更新が続いている(図表4)。なお、3月単月の求人数も129.3万件と統計データとして公表されている01年4月以降での最高値を記録している4。給与所得者データでは、給与所得者数の増加が続き、4月(速報値)は増加幅が再び拡大した(図表4)。産業別には、増加傾向が続く事務サービスのほか、4月は医療・福祉関連の増加が目立った。一方、月あたり給与額(中央値)については前年同月比5.6%となり、3月(6.6%)からは減速している。
(図表3)求人数の変化(要因分解)/(図表4)給与取得者データの推移
次に3月までのデータ(労働力調査)を確認すると、22年1-3月期の失業率は3.7%となり、コロナ禍前の最低値(3.8%)を下回り、歴史的な低水準5となった(前掲図表1)。前月比で失業者が減少、就業者が増加、非労働力人口が微減となり、内容も良かった。その結果、労働参加率は63.1%と若干ではあるが改善している(図表5)。ただし、コロナ禍以降、主に高齢層が非労働力人口として留まっているため、コロナ禍前と比較した労働参加率は低水準にある。
(図表5)労働参加率の変化(要因分解)/(図表6)英国の所得伸び率とその分解
労働時間については、32.0時間(前年同期差+2.5時間)、フルタイム労働者で36.6時間(同+2.9時間)となり、依然としてコロナ禍前の水準までは距離があるが、回復が進んできた(前掲図表2)。週間総労働時間では、コロナ禍前ピーク(19年8-10月)から1.3%低い水準まで回復している。

名目平均賃金はボーナスが所得を押し上げ、22年1-3月の前年同期比で7.0%と高い伸び率となった(前掲図表2)。実質でも前年比で1.4%と21年10月以来の1%台まで上昇した。前年同期の水準が落ち込んでおり、ベース効果が働いている部分もあるが、それを除いても高めの伸び率となった。なお、ONSはコロナ禍による構成効果についてはほぼ解消されたと指摘している(図表6)。
 
4 3か月平均のデータは季節調整値だが、単月データは未季節調整値のため季節性が除去されていない点には留意が必要。
5 統計開始後の最低値は73年10-12月期および74年1-3月期の3.4%、3.7%は74年10-12月期以来の低さ。
 
 

(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
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経済研究部   准主任研究員

高山 武士 (たかやま たけし)

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

(2022年05月18日「経済・金融フラッシュ」)

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