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- 東京オフィス市場は賃料下落が継続。住宅価格はさらに上昇-不動産クォータリー・レビュー2022年第1四半期
2022年05月13日
物流賃貸市場は、首都圏・近畿圏ともに新規供給の影響を受けて空室率が上昇した。シービーアールイー(CBRE)によると、首都圏の大型マルチテナント型物流施設の空室率(2022年3月末)は前期比+2.1%上昇し4.4%となった(図表-16)。今期は新規供給が四半期ベースで過去最大の26万坪であったのに対して、需要が過去3年平均並みの15万坪にとどまった。今後については、空室率は一旦下がると見込まれるが、引き続きの大量供給により需給緩和の基調に変わりはないとのことである。近畿圏についても空室率は2.1%(前期比+0.9%)に上昇した。しかし、既存物件(築1年以上)の空室率は0.7%と低く、需給環境はタイトである。
また、一五不動産情報サービスによると、2022年1月の東京圏の募集賃料は4,620円/月坪(前期比+0.9%)となり、緩やかな上昇が続いている7。
また、一五不動産情報サービスによると、2022年1月の東京圏の募集賃料は4,620円/月坪(前期比+0.9%)となり、緩やかな上昇が続いている7。
6 佐久間誠『商業施設売上高の長期予測(2)~少子高齢化・EC市場拡大・コロナ禍による消費行動の変容が商業施設売上高に及ぼす影響』(ニッセイ基礎研究所、不動産投資レポート、2022年4月22日)
7 J-REITが所有する物流施設も賃料の増額改定が続いている。GLP投資法人(2022年2月期)の賃料上昇率(改定対象面積全体)は+5.3%、日本プロロジスリート投資法人(2021年11月期)の改定賃料変動率は+2.6%であった。
4. J -REIT(不動産投信)市場
J-REIT市場は急激な外部環境の悪化により下落したものの、海外からの資金流入が下値を支えている。東京証券取引所のデータによると、外国人の買い越し額は1-3月累計で950億円となった。こうした外国人買いの要因の1つに、J-REIT市場の厚いイールドスプレッドが挙げられる。例えば、米国REIT市場をみると、FRBの利上げにより10年金利が2.3%に上昇するなか、3月末時点のイールドスプレッドは昨年末の1.2%から0.7%に縮小した(図表19)。これに対して、J-REIT市場のイールドスプレッドは3.5%と高い水準を維持している。この結果、両市場のイールドスプレッドの格差は2.8%に拡大し、J-REIT市場の相対的な魅力度が増している。海外投資家は、日本の低金利を背景とした分厚いイールドスプレッドを評価し、J-REITだけではなく現物不動産への投資も積極化しており、不動産価格の上昇を牽引していると言えそうだ。
8 NAV倍率は、市場時価総額がリートの解散価値(NAV:Net Asset Value)の何倍で評価されているかを表わす指標。
(ご注意)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
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経歴
- 【職歴】
1993年 日本生命保険相互会社入社
2005年 ニッセイ基礎研究所
2019年4月より現職
【加入団体等】
・一般社団法人不動産証券化協会認定マスター
・日本証券アナリスト協会検定会員
(2022年05月13日「不動産投資レポート」)
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