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- ルペン大統領ならどう変わるのか?-2022年フランス大統領選挙-
2022年04月20日
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■要旨
- 4月24日の仏大統領選挙の決選投票は大差で勝利した17年の再現とはならない。前回、挑戦者であったマクロン候補は過去5年間の実績を問われる厳しい立場となる。
- マクロン政権の実績は雇用・投資面でサルコジ、オランド両政権期に比べて良好だ。マクロン政権における改革の取り組みとともに、マクロン政権発足前の改革の蓄積や、内外環境の変化の相乗効果が働いた。不況下の財政緊縮を迫られたサルコジ、オランド政権と違い、マクロン政権はコロナ危機に大胆に財政を出動できた。
- マクロン候補には「金持ちのための大統領」のイメージが定着しているが、「黄色いベスト運動」以降、政策スタイルを見直し、低所得者や地方の問題により目を配るようになった。コロナ対策に続くエネルギー価格高騰策は踏み込み過ぎと言えるほどだ。
- ルペン候補は、EU離脱、ユーロ離脱の公約は封印、反移民・反イスラムのトーンも抑制し、有権者の最大の関心事である購買力に焦点を当てたキャンペーンで成功を収めた。
- しかし、VATの大幅引き下げや年金支給開始年齢の一部引下げなどの公約は政策コストが嵩み、脱炭素化や就業率引き上げなどの持続可能な経済・財政への流れに逆行する。
- 6月に選挙を予定する国民議会の多数派を形成できないことで政策が混乱するリスクもある。ようやく定着し始めた雇用、投資拡大の流れが途切れるおそれもある。
- 外交は大統領選で関心の高いテーマではないが、親ロシアで内向きのフランス大統領の誕生は、EU、NATO、西側の結束を揺るがすリスクである。
(2022年04月20日「Weekly エコノミスト・レター」)
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経歴
- ・ 1987年 日本興業銀行入行
・ 2001年 ニッセイ基礎研究所入社
・ 2023年7月から現職
・ 2011~2012年度 二松学舎大学非常勤講師
・ 2011~2013年度 獨協大学非常勤講師
・ 2015年度~ 早稲田大学商学学術院非常勤講師
・ 2017年度~ 日本EU学会理事
・ 2017年度~ 日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
・ 2020~2022年度 日本国際フォーラム「米中覇権競争とインド太平洋地経学」、
「欧州政策パネル」メンバー
・ 2022年度~ Discuss Japan編集委員
・ 2023年11月~ ジェトロ情報媒体に対する外部評価委員会委員
・ 2023年11月~ 経済産業省 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 委員
伊藤 さゆりのレポート
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