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2022年04月19日
コロナパンデミック下のインドネシア生保市場(1)-2020年のインドネシア生命保険市場の概況-保険料収入、普及度合い、主力商品の状況-
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■要旨
インドネシアの生保市場の概況を、今回と次回の2回に分け、計数図表とともに見る。
当フォーカスでは2019年6月にも、成長を続けるインドネシア生保市場の状況をレポートしているが、その後の3年の間に、同市場も、業績の停滞やコロナパンデミックに伴う後退を経験した。歴史ある生保会社が破綻し、ユニットリンク保険を巡る苦情が多発する等、生保事業への信頼を揺るがす事態も顕在化した。
近年、インドネシア生保市場の生命保険料収入は、2018年(+1.3%)、2019年(▲1.3%)、2020年(▲4.3%)と、伸び悩みまたはマイナスした。ただし、2021年には再びプラス進展に回復している。
2018年から2019年にかけての低成長は、ジャカルタ株式市場の変調や破綻生保会社の発生を受けて引き起こされたもの、2020年の大きなマイナスはこれにさらにコロナパンデミックの負の影響が重なって引き起こされたものである。
2020年のインドネシアの生命保険料世界シェアは0.53%、世界順位は第25位。シェアは小さいながら、存在感は増してきている。ただし、「人口1人あたり生命保険料」、「生命保険料の対GDP割合」は、アセアン他国と比べてもまだ小さい。
インドネシア生命保険市場で販売されている生保商品は、投資性・貯蓄性が強いものが中心で、保障性の商品の比率は低い。個人年金等、年金商品はいまだ未発展である。投資性・貯蓄性商品の主力はユニットリンク(変額)保険である。
近年、インドネシアの生保市場では、ユニットリンク保険が支配的な商品となったことから、株式市場のパフォーマンスの好調・不調に引きずられるように生命保険の販売業績が上下する傾向が顕著になっている。
2020年のコロナパンデミックの初期には、株価が低迷し、ユニットリンク保険契約者からの苦情が急増した。これが生保業界への信頼を損ねかねない事態となり、2022年3月にOJKがユニットリンク保険を対象とする新たな規制を導入することとなった。
次回は、販売チャネル、資産運用、会社数の統計データから、インドネシア生保市場の現状を見ていくことにしたい。
■目次
はじめに
1――生命保険料収入(総生命保険料)の推移で見た市場動向
2――生命保険の普及度合い
3――主力商品の状況
おわりに
インドネシアの生保市場の概況を、今回と次回の2回に分け、計数図表とともに見る。
当フォーカスでは2019年6月にも、成長を続けるインドネシア生保市場の状況をレポートしているが、その後の3年の間に、同市場も、業績の停滞やコロナパンデミックに伴う後退を経験した。歴史ある生保会社が破綻し、ユニットリンク保険を巡る苦情が多発する等、生保事業への信頼を揺るがす事態も顕在化した。
近年、インドネシア生保市場の生命保険料収入は、2018年(+1.3%)、2019年(▲1.3%)、2020年(▲4.3%)と、伸び悩みまたはマイナスした。ただし、2021年には再びプラス進展に回復している。
2018年から2019年にかけての低成長は、ジャカルタ株式市場の変調や破綻生保会社の発生を受けて引き起こされたもの、2020年の大きなマイナスはこれにさらにコロナパンデミックの負の影響が重なって引き起こされたものである。
2020年のインドネシアの生命保険料世界シェアは0.53%、世界順位は第25位。シェアは小さいながら、存在感は増してきている。ただし、「人口1人あたり生命保険料」、「生命保険料の対GDP割合」は、アセアン他国と比べてもまだ小さい。
インドネシア生命保険市場で販売されている生保商品は、投資性・貯蓄性が強いものが中心で、保障性の商品の比率は低い。個人年金等、年金商品はいまだ未発展である。投資性・貯蓄性商品の主力はユニットリンク(変額)保険である。
近年、インドネシアの生保市場では、ユニットリンク保険が支配的な商品となったことから、株式市場のパフォーマンスの好調・不調に引きずられるように生命保険の販売業績が上下する傾向が顕著になっている。
2020年のコロナパンデミックの初期には、株価が低迷し、ユニットリンク保険契約者からの苦情が急増した。これが生保業界への信頼を損ねかねない事態となり、2022年3月にOJKがユニットリンク保険を対象とする新たな規制を導入することとなった。
次回は、販売チャネル、資産運用、会社数の統計データから、インドネシア生保市場の現状を見ていくことにしたい。
■目次
はじめに
1――生命保険料収入(総生命保険料)の推移で見た市場動向
2――生命保険の普及度合い
3――主力商品の状況
おわりに
(2022年04月19日「保険・年金フォーカス」)
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