住宅価格は上昇加速。オフィス空室率は上昇一服も賃料下落が継続-不動産クォータリー・レビュー2021年第4四半期 基礎研REPORT(冊子版)3月号[vol.300] | ニッセイ基礎研究所
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住宅価格は上昇加速。オフィス空室率は上昇一服も賃料下落が継続-不動産クォータリー・レビュー2021年第4四半期
基礎研REPORT(冊子版)3月号[vol.300]
金融研究部 主任研究員 佐久間 誠
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オフィスセクターは、東京都心の空室率上昇に一服感もあるが、賃料下落が続いている。東京23区のマンション賃料はピークアウト感がみられる。物流賃貸市場は、首都圏・近畿圏ともに需給環境は良好である。
1―経済動向と住宅市場
ニッセイ基礎研究所は、昨年12月に経済見通しの改定を行った。実質GDP成長率は2021年度が前年比+2.7%、2022年度+2.5%、2023年度+1.7%を予想する。実質GDPが消費税率引き上げ前の直近のピーク(2019年4-6月期)に戻るのは2023年4-6月期の見通しである。また、コアCPI上昇率は、2021年度が前年比0.0%、2022年度+0.9%、2023年度+0.7%と予想する。
2021年10-12月の新設住宅着工戸数は22.0万戸( 前年同期比+6.1%)となった。2019年同期比では▲1.4%となり、コロナ禍前の水準近くまで回復した。
2021年10-12月の首都圏のマンション新規発売戸数は14,156戸(前年同期比+4.8%)と増加した。2021年の販売戸数は33,636戸(前年比+23.5%)となり、2019年の水準(31,238戸)を上回った。
東日本不動産流通機構(レインズ)によると、2021年10-12月の首都圏の中古マンション成約件数は9,737件(前年同期比▲0.5%)と高水準で推移している。2021年通年の成約件数は39,812件と2019年の38,109件を上回り、過去最高を記録した。
日本不動産研究所によると、2021年11月の住宅価格指数(首都圏中古マンション)は前年比+11.7%となり(26カ月連続上昇)、データが公表されている93年6月以降で最大の上昇率となった[図表1]。
2―地価動向
3―不動産サブセクターの動向
商業セクターでは、緊急事態宣言の解除を受けて、百貨店の売上やサービス消費が増加した。商業動態統計などによると、2021年10-12月の小売販売額(既存店、前年同期比)は百貨店が+7.0%、スーパーが▲0.9%、コンビニエンスストアが+0.1%となった。
ホテルセクターは、緊急事態宣言解除に伴い、回復の足取りが強まった。宿泊旅行統計調査によると、2021年12月の延べ宿泊者数は、2019年対比で▲15.6%となり、「Go Toトラベル」キャンペーンの恩恵から最も回復した2020年11月の▲25.2%を上回った[図表5]。このように、新規感染者数の減少に伴いホテル市況は回復に向かったが、2022年に入ってからは、オミクロン株の感染拡大を背景に、再び経営環境の厳しさが増している。
4―J -REIT(不動産投信)市場・不動産投資市場
J-REITによる2021年第4四半期の物件取得額は4,380億円(前年同期比+6%)、1-12月累計で1兆5,969億円(+15%)となった。アセットタイプ別の取得割合は、オフィス(46%)、物流施設(24%)、住宅(13%)、商業施設(11%)、底地ほか(6%)、ホテル(1%)の順となり、オフィスが3年ぶりにトップに返り咲いた。
2021年のJ-REIT市場を振り返ると、東証REIT指数は+15.8%上昇し、国内株式の上昇率(+10.4%)を2年ぶりに上回った[図表7]。銘柄数は61社(▲1社)に減少したが、市場時価総額は17.0兆円(+18%)に拡大し、運用資産額も21.2兆円(+5%)となった。一方、オフィス市場を中心に賃貸市況の調整局面が継続したため、市場全体の予想1口当たり分配金はほぼ横ばい、1口当たりNAVの成長率も+3%に留まった。
(2022年03月08日「基礎研マンスリー」)
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03-3512-1778
- 【職歴】 2006年4月 住友信託銀行(現 三井住友信託銀行) 2013年10月 国際石油開発帝石(現 INPEX) 2015年9月 ニッセイ基礎研究所 2019年1月 ラサール不動産投資顧問 2020年5月 ニッセイ基礎研究所 2022年7月より現職 【加入団体等】 ・一般社団法人不動産証券化協会認定マスター ・日本証券アナリスト協会検定会員
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