- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 日本経済 >
- 法人企業統計21年10-12月期-経常利益(季節調整値)は過去最高水準に近づくが、22年入り後は収益環境が大きく悪化
2022年03月02日
1.4四半期連続の増益
製造業は、輸出減速の影響で売上高の伸びが7-9月期の前年比9.7%から同9.2%へと若干鈍化したが、売上高経常利益率が20年10-12月期の7.5%から8.4%へと改善したことが収益の押し上げ要因となった。売上高経常利益率を要因分解すると、原油高の影響で変動費が9.3%の増加となり利益率を若干押し下げたが、人件費が前年比2.9%と売上高の伸びを大きく下回ったため、売上高人件費率が改善した。
非製造業は、個人消費の回復を反映し、売上高の伸びが前年比2.6%から4.3%へ加速したことに加え、売上高経常利益率が20年10-12月期の4.8%か5.8%へと改善したことが収益の押し上げ要因となった。変動費要因、人件費要因、減価償却費要因、金融費用要因がいずれもプラスとなった。
非製造業は、個人消費の回復を反映し、売上高の伸びが前年比2.6%から4.3%へ加速したことに加え、売上高経常利益率が20年10-12月期の4.8%か5.8%へと改善したことが収益の押し上げ要因となった。変動費要因、人件費要因、減価償却費要因、金融費用要因がいずれもプラスとなった。
2.宿泊業、生活関連サービス業が黒字転換
経常利益を業種別に見ると、製造業は、供給制約の影響が残る輸送用機械が前年比▲24.7%(7-9月期:同43.1%)と減少に転じたが、鉄鋼(同109.6%)、情報通信機械(同77.9%)、業務用機械(同41.1%)など、ほとんどの業種が前年比で二桁の高い伸びとなった。
非製造業は、電気業が3四半期ぶりの赤字(▲2,520億円)、▲建設業(前年比▲4.1%)、不動産業(同▲10.6%)は減益となったが、サービス業(同49.2%)、情報通信業(同48.5%)、物品賃貸業(同35.1%)の高い伸びがそれをカバーした。
また、コロナ禍で赤字が続いていた宿泊業が8四半期ぶり、生活関連サービス業が7四半期ぶりに黒字に転換した。
非製造業は、電気業が3四半期ぶりの赤字(▲2,520億円)、▲建設業(前年比▲4.1%)、不動産業(同▲10.6%)は減益となったが、サービス業(同49.2%)、情報通信業(同48.5%)、物品賃貸業(同35.1%)の高い伸びがそれをカバーした。
また、コロナ禍で赤字が続いていた宿泊業が8四半期ぶり、生活関連サービス業が7四半期ぶりに黒字に転換した。

21年10-12月期の経常利益(季節調整値)は22.9兆円と、コロナ前(19年10-12月期)の水準を23.7%上回っており、直近ピーク(18年4-6月期の23.8兆円)まで3.9%と近づいた。
21年10-12月期の企業収益は、供給制約の緩和や緊急事態宣言の解除を受けて、製造業、非製造業ともに回復したが、22年に入ってから状況は一変している。国内ではオミクロン株を中心とした新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、まん延防止等重点措置が発令されており、10-12月期に急回復した個人消費は再び弱い動きとなっている。また、ロシアのウクライナ侵攻を受けて原油価格が高騰しており、輸入物価上昇による収益下押し圧力は一段と高まることが見込まれる。22年1-3月期は企業収益の改善が一服する可能性が高い。
3.設備投資は回復するが、企業の慎重姿勢は変わらず
4.10-12月期・GDP2次速報は1次速報とほぼ変わらず
本日の法人企業統計の結果等を受けて、3/9公表予定の21年10-12月期GDP2次速報では、実質GDPが前期比1.3%(前期比年率5.5%)となり、1次速報の前期比1.3%(前期比年率5.4%)とほぼ変わらないだろう。
設備投資は1次速報の前期比0.4%から同0.6%へと若干上方修正されると予想する。
設備投資は1次速報の前期比0.4%から同0.6%へと若干上方修正されると予想する。

また、民間在庫変動は1次速報で仮置きとなっていた原材料在庫、仕掛品在庫に法人企業統計の結果が反映されるが、1次速報の前期比・寄与度▲0.1%から変わらないだろう。
その他の需要項目では、公的固定資本形成は12月の建設総合統計の結果が反映され、前期比▲3.3%から同▲3.8%へ下方修正されると予想する。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2022年03月02日「経済・金融フラッシュ」)
このレポートの関連カテゴリ

03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
斎藤 太郎のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/01/31 | 2024年10-12月期の実質GDP~前期比0.3%(年率1.0%)を予測~ | 斎藤 太郎 | Weekly エコノミスト・レター |
2025/01/31 | 雇用関連統計24年12月-女性の就業者数が5ヵ月連続で過去最高を更新 | 斎藤 太郎 | 経済・金融フラッシュ |
2025/01/31 | 鉱工業生産24年12月-2四半期ぶりの増産だが、一進一退を抜け出せず | 斎藤 太郎 | 経済・金融フラッシュ |
2025/01/24 | 消費者物価(全国24年12月)-コアCPI上昇率は23年8月以来の3%台 | 斎藤 太郎 | 経済・金融フラッシュ |
公式SNSアカウント
新着レポートを随時お届け!日々の情報収集にぜひご活用ください。
新着記事
-
2025年02月07日
金価格は史上最高値を更新、まだ上昇余地はあるか? -
2025年02月07日
英国金融政策(2月MPC公表)-利下げ決定、今後の段階的・慎重姿勢は維持 -
2025年02月07日
基礎研REPORT(冊子版)2月号[vol.335] -
2025年02月07日
Jリート市場回復の処方箋 -
2025年02月07日
海底資源探査がもたらす未来-メタンハイドレートと海底金属
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
【法人企業統計21年10-12月期-経常利益(季節調整値)は過去最高水準に近づくが、22年入り後は収益環境が大きく悪化】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
法人企業統計21年10-12月期-経常利益(季節調整値)は過去最高水準に近づくが、22年入り後は収益環境が大きく悪化のレポート Topへ