2022年02月08日

景気ウォッチャー調査(22年1月)~感染者数の急増により、景況感は大きく悪化

経済研究部 准主任研究員   山下 大輔

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1.現状判断DI、先行き判断DIともに急低下、50割れ

現状判断DI・先行き判断DIの推移 2月8日に内閣府が公表した2022年1月の景気ウォッチャー調査(調査期間:1月25日から月末)によると、3か月前との比較による景気の現状判断DI(季節調整値)は37.9と前月から▲19.6ポイント低下した(5か月ぶりの悪化)。他方、2~3か月先の景気の先行き判断DI(季節調整値)は42.5と前月から▲7.8ポイント低下した(3か月連続の悪化)。
地域別でみると、現状判断DI(季節調整値)は全国12地域で低下した。他方、先行き判断DI(季節調整値)は沖縄以外の全国11地域全てで低下した。沖縄の先行き判断DIは、前月に大きく落ち込んでいたことに加え、調査期間前に新規感染者数がピークアウトし、新規感染者数の減少に転じていたことが影響したようだ。

感染者数の急増やまん延防止措置の適用により、景況感が再び悪化に転じた。現在の景気の水準自体に対する判断を示す景気の現状水準判断DI(季節調整値)も34.1となり、昨年9月以来(33.5)の落ち込みとなった。景況感が感染者数に左右される状況が続いている。
現状判断DIと現状水準判断DIの比較/地域別現状判断DI・先行き判断DIの前月差

2.景気の現状判断DI:飲食を筆頭に大幅下落、下落幅は東日本大震災に匹敵

現状判断DI(37.9)は、第5波の影響を受けた昨年8月(34.9)に次ぐ低水準となった。また、前月まで景況感が改善していたことから、前月幅の下落幅(▲19.6ポイント)は、昨年8月(▲13.1ポイント)や感染拡大初期の20年2月(▲13.9ポイント)、同年3月(▲13.7ポイント)よりも大きく、東日本大震災が起こった2011年3月(▲25.2ポイント)に次ぐものとなった。回答者構成比でみても、「悪化」(「やや悪くなっている」と「悪くなっている」の合計)は50%を上回った。
現状判断DI・回答者構成比 現状判断DIの内訳をみると、家計動向関連は34.5(前月差▲24.0ポイント、5か月ぶりの悪化)、企業動向関連は43.8(同▲9.5ポイント、2か月連続の悪化)、雇用関連は48.2(同▲11.7ポイント、5か月ぶりの悪化)であった。
家計動向関連の内訳では、飲食(23.6(▲前月差39.8ポイント))を筆頭に、サービス関連(30.6(同▲28.6ポイント))、小売関連(37.0(同▲21.5ポイント))、住宅(41.7(▲6.9ポイント))と、全項目で大幅な低下となった。
現状判断DIの内訳の推移/現状判断DI(家計動向関連)の内訳の推移
回答者のコメントからは、まん延防止措置の影響への指摘や、在宅時間増による需要増、原油や資材価格の高騰、物価上昇に言及したものが多々見られた。
 
<まん延防止措置の影響に関連した回答者の主なコメント>
 
  • 1月上旬は、東京都内の新型コロナウイルス感染者数がかなり増えたが、その割には週末の夜もそれほど変わりなく客が来店してくれていた。やはりまん延防止等重点措置が適用されてからは、週末の予約も立て続けにキャンセルとなり、予約数がゼロとなってしまったので、また飲食店は厳しい状態になっている(南関東・一般レストラン)。
  • まん延防止等重点措置が適用されてから、入りかけていた一般宴会はストップし、入っていた予約もキャンセルが相次いでおり最悪の状況である。個人宿泊もしかりで、どんどん減少の一途をたどっている。今月末~来月のまん延防止等重点措置の期間中に、3~4日間の全館休業をせざるを得なくなった(甲信越・観光型ホテル)。
 
<在宅時間増に関する回答者の主なコメント>
 
  • 新型コロナウイルスオミクロン株の感染拡大により小学校などの休校が相次いでいる。昼食需要として冷凍食品、カップ麺、菓子パンなどが急に売れ出した(北海道・スーパー)
  • 引っ越しに伴う新規契約の増加と、在宅ワークによるネット回線の申込みが増加している(東海・通信会社)。
 
<原油や資材価格の高騰、物価上昇に関連した回答者の主なコメント>
 
  • 新型コロナウイルス感染拡大による定期業務の延期や従業員の感染による管理業務の減少により、売上が減少している。燃料費や資材価格の値上げによる経費増も続いており、 減益額が拡大している(北関東・不動産業)。
  • 原材料価格が再び高騰してきている。また、その他資材価格も次から次へと値上げ要請が始まり、それを受け入れているが、当社も値上げしなくてはいけない状況になりつつある(甲信越・食料品製造業)。
 
なお、現状判断に関する回答者コメントの傾向を把握する観点から作成した共起ネットワーク1は以下の通りとなった。オミクロン株の拡大やまん延防止等重点措置の適用以降、売上や来客数が減少し、予約がキャンセルになるなどの影響が出ていることが示されている。
現状判断に関する回答者コメントの傾向を把握する観点から作成した共起ネットワーク

3.景気の先行き判断DI:昨年8月以来の50割れ

先行き判断DI・回答者構成比 2~3か月先の景気の先行き判断DIは3か月連続で低下し、昨年8月以来の50割れ(8月は43.5)となった。回答者構成比でみれば、先行きは悪化するとする見通しが増加したが、現状と変わらないとの見方が依然として4割を占めている。
先行き判断DI(季節調整値)の内訳をみると、家計動向関連は41.0(前月差▲8.8ポイント)、企業動向関連は45.1(同▲3.9ポイント)、雇用関連は47.1(同▲9.2ポイント)であった。また、家計動向関連の内訳をみると、小売関連(前月差▲9.1ポイントの41.2)、飲食関連(前月差▲7.4ポイントの43.2)、サービス関連(前月差▲8.7ポイントの40.5)、住宅関連(前月差▲7.6ポイントの39.3)と全般的に大きく落ち込んだ。
先行き判断DIの内訳の推移/先行き判断DI(家計動向関連)の内訳の推移
回答者のコメントからは、感染収束の時期が見通せないことや緊急事態宣言発令への懸念、今後の物価上昇への懸念の声が聞かれた。ワクチンの普及などから感染が早期にピークアウトすることへの期待を示す声もあった。

<感染収束への不透明感、緊急事態宣言発令への懸念に関する回答者の主なコメント>
 
  • まん延防止等重点措置が解除されるまでは人の動きは少なくなる。また、新型コロナウイルスオミクロン株の新規感染者数が更に増加した場合、再度緊急事態宣言が発出されれば、当面景気の回復は見込めない(九州・コンビニ)
  • 新型コロナウイルスオミクロン株の影響で、更に先行きが見通せず、公共事業発注のペースも遅く、この先が怖い(北関東・建設業)。
 
<今後の物価上昇への懸念を指摘する回答者の主なコメント>
 
  • 春には食品の値上げも予定されている。賃金が上がらず、値上げが進む状況では、景気が良くなる可能性はほとんどない(近畿=スーパー)。
  • 前年の果物の販売単価は、全般的に例年よりも1~2割高かった。一方で、農機具等の整備点検を業者に見積もってもらったところ、今年は1~2割程度値上がりしている(東北・農林水産業)
 
<感染の早期ピークアウトへの期待に言及する回答者の主なコメント>
 
  • 3回目のワクチン接種や経口薬などにより、新規感染者数は新年度までには落ち着き、春物消費の最盛期には活発に動くと期待している(東北・百貨店)。
  • 新型コロナウイルスの3回目のワクチン接種が進展し、感染拡大がピークアウトする(南関東・都市型ホテル)。
 
なお、先行き判断に関する回答者コメントの傾向を把握する観点から作成した共起ネットワーク2は以下の通りとなった。オミクロン株の感染拡大の影響で今後の景気に悪影響を与え、厳しい状況が続く可能性があることや、価格高騰や資材不足による生産への影響など示されている。
先行き判断に関する回答者コメントの傾向を把握する観点から作成した共起ネットワーク
 
2 KH Coderにより作成。複合語等の調整を実施。
 
 

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経済研究部   准主任研究員

山下 大輔 (やました だいすけ)

研究・専門分野
日本経済

(2022年02月08日「経済・金融フラッシュ」)

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