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2022年02月03日
オフィスセクターにおける賃貸市場と投資市場の二極化は、世界的な過剰流動性のなか、安定したインカムリターンを享受できる不動産への旺盛な投資需要によるところが大きい。現在、投資家の注目を最も集めるセクターは、コロナ禍による人流抑制の影響が小さい物流施設や賃貸住宅である。しかし、オフィスへの投資意欲も強く、JLL(ジョーンズ・ラング・ラサール社)によると、2021年1-9月期の日本の不動産投資額に占めるオフィスの割合は52%と、2020年通年の32%から大きく回復した。長期保有を前提とするコア・ファンドが保有する不動産の過去1年間のインタムリターン変化率は、下落率が小さい順に、オフィス(▲0.6%)>物流施設(▲0.6%)>郊外型商業施設(▲0.9%)>賃貸住宅(▲4.0%)>都市型商業施設(▲5.1%)>ホテル(▲41.1%)となっている(図表2)。コロナ禍で賃貸市場は変調をきたしたが、優良オフィスビルのインカムリターンは底堅く推移しており、投資資金を惹きつけているようだ。
オフィスセクターのインカムリターンは今後も底堅さを維持できるだろうか。それには、在宅勤務の普及を受けたオフィス再構築の動きがどれだけ顕在化するかが重要なカギとなる。そもそも、賃貸収入の大部分は既存テナントの継続賃料で構成される。そのため、インカムリターンは時間差をもって賃貸市場の影響を受け、今後ある程度低下していくことは避けられない。そうしたなか、オフィス再構築の動きが一部企業にとどまり賃貸市場の悪化に歯止めがかかれば問題ないが、多くの企業がオフィス床を縮小することで賃貸市場が一段と悪化しインカムリターンが大きく下落するリスクが顕在化すれば、投資市場も調整に転じる可能性がある。
ニッセイ基礎研究所とクロスロケーションズが共同で開発した東京のオフィス出社率指数を見ると、2021年9月末の緊急事態宣言解除後、緩やかにオフィス回帰が進み、2021年12月末には75%となった(図表3)。感染拡大の第2波以降のレンジである45~65%の上限は上回ったが、コロナ禍が長期化するなか、まだ予断を許さない水準と言えよう。2022年にオフィス回帰が進むのか、それともオフィス再構築の動きが顕在化するのか、その動向に注目したい。
ニッセイ基礎研究所とクロスロケーションズが共同で開発した東京のオフィス出社率指数を見ると、2021年9月末の緊急事態宣言解除後、緩やかにオフィス回帰が進み、2021年12月末には75%となった(図表3)。感染拡大の第2波以降のレンジである45~65%の上限は上回ったが、コロナ禍が長期化するなか、まだ予断を許さない水準と言えよう。2022年にオフィス回帰が進むのか、それともオフィス再構築の動きが顕在化するのか、その動向に注目したい。
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経歴
- 【職歴】 2006年4月 住友信託銀行(現 三井住友信託銀行) 2013年10月 国際石油開発帝石(現 INPEX) 2015年9月 ニッセイ基礎研究所 2019年1月 ラサール不動産投資顧問 2020年5月 ニッセイ基礎研究所 2022年7月より現職 【加入団体等】 ・一般社団法人不動産証券化協会認定マスター ・日本証券アナリスト協会検定会員
(2022年02月03日「ニッセイ年金ストラテジー」)
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