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オフィス空室率は上昇が継続。物流市場も需給がやや緩和。-不動産クォータリー・レビュー2021年第3四半期
基礎研REPORT(冊子版)12月号[vol.297]

金融研究部 主任研究員 吉田 資
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オフィス賃貸市場は、東京Aクラスビルの空室率が3.3%に上昇した。東京23区のマンション賃料は、頭打ち感も見られる。2021年7-9月累計の延べ宿泊者数はコロナ禍以前の2019年対比で▲49.0%減少した。全体的に好調を維持している物流賃貸市場は、首都圏では大量供給に伴い空室率が上昇した。
1―経済動向と住宅市場
ニッセイ基礎研究所は、11月に経済見通しの改定を行った。実質GDP成長率は、2021年度が+2.6%、2022年度が+2.5%、2023年度が+1.7%と予想する。緊急事態宣言は解除されたが、引き続き感染症への警戒感が残ることなどから、消費の回復ペースはコロナ禍の急速な落ち込みの後としては緩やかにとどまるだろう。実質GDPが消費税率引き上げ前の直近のピーク(2019年7-9月期)に戻るのは2023年度と予想する。
2021年7-9月の新設住宅着工戸数は約22.5万戸(前年同期比+7.2%)となった。2019年同期比では▲3.7%となりコロナ禍前の水準を回復しつつある。
一方で、2021年7-9月の首都圏のマンション新規発売戸数は6,203戸(前年同期比▲0.4%)とやや減少した[図表1]。
東日本不動産流通機構(レインズ)によると、2021年7-9月の首都圏の中古マンション成約件数は8,793件(前年同期比▲7.8%)となった。平均価格は3,985万円(前年同月比+7.9%)となり、16ヶ月連続で上昇した。中古マンションの成約件数は、水準自体は高いものの、価格の上昇に実需が追い付かず成約件数が伸び悩むといった潮目の変化に留意したい。
2―地価動向
3―不動産サブセクターの動向
ニッセイ基礎研究所は、東京都心部Aクラスビルの賃料見通しを9月に改定した。オフィス需要は力強さを欠き、空室率は緩やかな上昇が続く見通しである。成約賃料は、空室率の上昇を受けて下落基調で推移すると見込む。2020年の賃料を100とした場合、2021年は「100」、2022年は「98」、2025年は「92」への下落を予測する。
2│賃貸マンション
東京23区のマンション賃料は、前年比でプラスを確保したものの頭打ち感も見られる。三井住友トラスト基礎研究所・アットホームによると、2021年第2四半期の賃料は前年比でシングルタイプが▲0.6%、コンパクトタイプが+1.8%、ファミリータイプが+0.2%となった[図表4]。
4―J -REIT(不動産投信)市場
J-REITによる第3四半期の物件取得額(引渡しベース)は4,857億円(前年同期比+82%)、1-9月累計で1兆1,589億円(+18%)となり金額を大きく伸ばした。アセットタイプ別の取得割合(1-9月累計)は、オフィス(44%)、物流施設(22%)、商業施設(13%)、住宅(13%)、底地ほか(7%)、ホテル(1%)の順となり、これまで低調であった商業施設の取得が回復した。
(2021年12月07日「基礎研マンスリー」)
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03-3512-1861
- 【職歴】
2007年 住信基礎研究所(現 三井住友トラスト基礎研究所)
2018年 ニッセイ基礎研究所
【加入団体等】
一般社団法人不動産証券化協会資格教育小委員会分科会委員(2020年度~)
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