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- 一部の毎月分配型の外国株式投信が人気に
2022年02月03日
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2021年は、国内での追加型株式投信(ETFを除く。以後、投信)の販売が極めて好調で、全体で9兆6,000億円の資金流入があり2020年の2兆2,000億円から4倍以上に急増した。資金流入の増加は投信自体の販売に加えて、ラップ口座等の販売が好調であったことも追い風になった。実際にラップ口座などに利用されるSMA専用投信に絞ってみると、2020年は2,000億円の資金流出であったが、2021年は一転して1兆5,000億円の資金流入があった。
ここで資産クラス別に2021年の投信の資金動向をみると、2020年に大きく資金流出していた国内株式投信と外国債券投信からの資金流出が2021年にほぼ止まった【図表1】。国内株式は2021年に方向感が乏しい展開となった。そのため、国内株式投信では高値圏で利益確定の売却が出ていたものの、その一方で下落すると反発を狙った買いも入り、1年通して流出入が錯綜した。外国債券投信は毎月分配型のものからは引き続き資金流出していたが、SMA専用投信や国内債券代替となる主にヘッジ外債などで運用する新設投信には資金流入があった。
また、外国REIT投信と国内REIT投信はREIT価格が2021年にコロナ・ショック前の水準に戻ったこともあり、資金流出に転じた。それでも2021年は資金流出が最も大きかった外国REIT投信でも流出金額が3,000億円にとどまり、2020 年に国内株式投信から1兆6,000億円、外国債券投信から9,000億円の資金流出があったのと比べて小規模であった。
2021年の投信全体への資金流入の急増は、外国株式投信が1年を通して売れに売れたことが大きかった。前年の2020年も外国株式投信には3兆6,000億円の資金流入があり、特に年後半の販売が好調であった。2021年は2020年後半の勢いが継続、加速し、1年間で8兆3,000億円もの資金流入があった。外国株式投信への資金流入がこれまで最も大きかったのは2007年の5兆7,000億円であったが、2021年は2007年を2兆円以上も上回った。
ここで資産クラス別に2021年の投信の資金動向をみると、2020年に大きく資金流出していた国内株式投信と外国債券投信からの資金流出が2021年にほぼ止まった【図表1】。国内株式は2021年に方向感が乏しい展開となった。そのため、国内株式投信では高値圏で利益確定の売却が出ていたものの、その一方で下落すると反発を狙った買いも入り、1年通して流出入が錯綜した。外国債券投信は毎月分配型のものからは引き続き資金流出していたが、SMA専用投信や国内債券代替となる主にヘッジ外債などで運用する新設投信には資金流入があった。
また、外国REIT投信と国内REIT投信はREIT価格が2021年にコロナ・ショック前の水準に戻ったこともあり、資金流出に転じた。それでも2021年は資金流出が最も大きかった外国REIT投信でも流出金額が3,000億円にとどまり、2020 年に国内株式投信から1兆6,000億円、外国債券投信から9,000億円の資金流出があったのと比べて小規模であった。
2021年の投信全体への資金流入の急増は、外国株式投信が1年を通して売れに売れたことが大きかった。前年の2020年も外国株式投信には3兆6,000億円の資金流入があり、特に年後半の販売が好調であった。2021年は2020年後半の勢いが継続、加速し、1年間で8兆3,000億円もの資金流入があった。外国株式投信への資金流入がこれまで最も大きかったのは2007年の5兆7,000億円であったが、2021年は2007年を2兆円以上も上回った。
外国株式投信の中では、株価指数に沿った運用を行うインデックス型への資金流入が2兆5,000億円、その他のいわゆるアクティブ型が5兆8,000億円であった。2021年は2020年のインデックス型1兆円、アクティブ型2兆6,000億円の純流入からともに倍以上に増加した。
インデックス型の外国株式投信は、ここ1、2年でつみたてNISAの活用が広がるとともに、資産形成層の個人投資家の間でかなり認知されてきた様子である。個別にみても1年間で1,000億円を超えるような大規模な資金流入があったインデックス型の外国株式投信、特に米国株式投信が複数あった。
アクティブ型の外国株式投信では、ハイテク系の投資テーマやESGに注目した運用を行っているものが2020年から引き続き人気であった。また、毎月分配型(紺色)のものも2021年に人気になり、1兆7,000億円の資金流入と2020年の6,000億円から3倍近くに増加した【図表2】。毎月分配型の外国株式投信への資金流入の大部分が、基準価額によって毎月の分配金が変動する、いわゆる予想分配金提示型への流入であった。
そもそも毎月分配型といえば2010年までは外国債券投信(黄色)、それ以降から2016年までは内外REIT(緑色)、特に外国REIT投信が人気で大規模な資金流入があった。外国株式投信でも過去に毎月分配型の高配当株投信が人気になり、2006年や2007年、2014年には2021年を上回る資金流入があった。これらの毎月分配型はクーポンや配当金などから比較的、安定して得られるインカム・リターンを毎月の分配金の主な原資にしている投信であった。ただ、昨今の市場環境ではインカム・リターンからは高い分配金が出せなくなっており、このような毎月分配型の投信は2017年以降、資金流出基調となっている。
その一方で予想分配金提示型の(外国)株式投信は株価上昇、つまりキャピタル・リターンを毎月の分配金の原資としている。2020年4月以降は一貫して外国株式の株価が堅調であったため、結果的にここ1、2年は予想分配金提示型の外国株式投信で高い分配金の支払いが続いているものが多い。高い分配金は高齢層を中心とした資産取り崩し層の個人投資家に依然として人気があり、予想分配金提示型の外国株式投信はこの高い分配金が注目され、販売が好調になっていると思われる。つまり、最近の右肩上がりで好調な株価が予想分配金提示型の人気を後押ししている面がある。予想分配金提示型の人気が一過性で終わるのか、それとも投信市場に定着していくのか注目である。
インデックス型の外国株式投信は、ここ1、2年でつみたてNISAの活用が広がるとともに、資産形成層の個人投資家の間でかなり認知されてきた様子である。個別にみても1年間で1,000億円を超えるような大規模な資金流入があったインデックス型の外国株式投信、特に米国株式投信が複数あった。
アクティブ型の外国株式投信では、ハイテク系の投資テーマやESGに注目した運用を行っているものが2020年から引き続き人気であった。また、毎月分配型(紺色)のものも2021年に人気になり、1兆7,000億円の資金流入と2020年の6,000億円から3倍近くに増加した【図表2】。毎月分配型の外国株式投信への資金流入の大部分が、基準価額によって毎月の分配金が変動する、いわゆる予想分配金提示型への流入であった。
そもそも毎月分配型といえば2010年までは外国債券投信(黄色)、それ以降から2016年までは内外REIT(緑色)、特に外国REIT投信が人気で大規模な資金流入があった。外国株式投信でも過去に毎月分配型の高配当株投信が人気になり、2006年や2007年、2014年には2021年を上回る資金流入があった。これらの毎月分配型はクーポンや配当金などから比較的、安定して得られるインカム・リターンを毎月の分配金の主な原資にしている投信であった。ただ、昨今の市場環境ではインカム・リターンからは高い分配金が出せなくなっており、このような毎月分配型の投信は2017年以降、資金流出基調となっている。
その一方で予想分配金提示型の(外国)株式投信は株価上昇、つまりキャピタル・リターンを毎月の分配金の原資としている。2020年4月以降は一貫して外国株式の株価が堅調であったため、結果的にここ1、2年は予想分配金提示型の外国株式投信で高い分配金の支払いが続いているものが多い。高い分配金は高齢層を中心とした資産取り崩し層の個人投資家に依然として人気があり、予想分配金提示型の外国株式投信はこの高い分配金が注目され、販売が好調になっていると思われる。つまり、最近の右肩上がりで好調な株価が予想分配金提示型の人気を後押ししている面がある。予想分配金提示型の人気が一過性で終わるのか、それとも投信市場に定着していくのか注目である。
(2022年02月03日「ニッセイ年金ストラテジー」)
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経歴
- 【職歴】
2008年 大和総研入社
2009年 大和証券キャピタル・マーケッツ(現大和証券)
2012年 イボットソン・アソシエイツ・ジャパン
2014年 ニッセイ基礎研究所 金融研究部
2022年7月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会検定会員
・投資信託協会「すべての人に世界の成長を届ける研究会」 客員研究員(2020・2021年度)
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