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中国経済:景気指標の総点検(2021年冬季号)-10-12月期成長率は鈍化見込みも、景気評価点は4点に改善!
三尾 幸吉郎
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1. 中国経済の概況
中国では21年7-9月期の経済成長率(季節調整後、実質)が前期比0.2%増(年率0.8%増程度)と、4-6月期の同1.2%増(年率4.9%増程度)から減速した(図表-1)。20年1-3月期にはコロナ禍で前期比年率32.9%減程度に落ち込んだが、財政金融政策をフル稼働させたことで、20年4-6月期には同50.2%増程度と一気に持ち直してコロナ前(19年10-12月期)の水準を回復、20年下半期(7-12月期)も同10%増を超える高成長を続けた。しかし、21年に入ると財政金融政策が引き締め方向に変化したことを背景に、インフラ投資が鈍化し、不動産開発業では資金繰りが苦しくなって中国恒大集団が経営不安に陥り、21年1-3月期の実質成長率は前期比年率0.8%増程度、4-6月期は同4.9%増程度、そして7-9月期は同0.8%増程度と、中国経済は低水準で一進一退の動きとなっている(図表-1)。
なお、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)については、ここもと陝西省で国内感染が急増している。但し、新規確認症例は無症状を含めても300人以下に留まっており、14億の人口を抱える割には少ないと言える。また、死亡者は21年1月26日以降1年弱に渡ってゼロとなっており、重症症例も21年12月27日時点で12人と少なく、趨勢的にも減少傾向にある(図表-3)。
2. 供給面の3指標
1 2021年12月に開催された中央経済工作会議では、国内経済は需要の縮小、供給の打撃、弱気の予想という三重の圧力に直面しているとして危機感を示した
3. 需要面の3指標
一方、輸出(ドルベース)の状況を見ると(図表-11)、21年1-2月期には反動増もあって前年同期比60.4%増と極めて高い伸びを示し、その後も2割程度の伸びを維持している。但し、価格転嫁の影響を除いた数量ベースを見ると、21年7月以降は1割前後まで伸びが鈍化してきている。
2 中国では、統計方法の改定時に新基準で計測した過去の数値を公表しない場合が多く、また1月からの年度累計で公表される統計も多い。本稿では、四半期毎の伸びを見るためなどの目的で、中国国家統計局などが公表したデータを元に推定した数値を掲載している。またその場合には“(推定)”と付して公表された数値と区別している。
なお、電力の供給不安3は解消に向かっているものの、電力消費量は依然として低迷を続けている(図表-14)。また、貨物輸送量はコロナ前(19年)のレベルまで回復しているものの、ヒトの動きを示す旅客輸送数の戻りは鈍く、コロナ感染が収まると小幅に持ち直し、コロナ感染が再発すると落ち込むという展開が繰り返されている(図表-15)。また、工業生産者出荷価格(PPI)は21年に入って急騰し、物価変動を除いた実質ベースの経済成長率を押し下げる要因となっていたが、11月には一旦上昇が止まった。但し、消費者物価(CPI)に波及するにはタイムラグがあり、小幅ながらも消費財が上昇し始めていることから、インフレへの警戒は怠れない(図表-16)。
3 中国における電力の供給不安に関しては、「中国経済の現状と今後の注目点-電力不足、不動産規制、コロナの3点に注目!」Weekly エコノミスト・レター 2021-10-29の4ページを参照ください
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2021年12月29日「Weekly エコノミスト・レター」)
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