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- 年金改革ウォッチ 2021年12月号~ポイント解説:2020年国勢調査の結果と動向
2021年12月07日
1 ―― 先月までの動き
先月は、年金改革に関係する審議会等が開催されなかった。
2 ―― ポイント解説:2020年国勢調査の結果と動向
2021年11月30日に、2020年10月に実施された国勢調査の確定値(人口等基本集計)が公表された。本稿では、公的年金の将来見通しを作成する際の出発点でもある国勢調査の結果と、近年の出生率や死亡率の動向を確認する。
0~14歳の減少は、前回10~14歳だった562万人がこの区分から抜けた一方で、今回この区分に加わった0~4歳が454万人にとどまったのが主因である。前回の0~4歳が501万人だったことを考えれば、この5年間で少子化がさらに進んでいると言える。この結果、0~14歳人口は1503万人にとどまり、総人口が現在の約半数だった100年前(1920年)の2042万人よりも少なくなっている(図表2)。
65歳以上の増加は、今回の70歳以上は前回の65歳以上と比べて死亡等により600万人減少したのに対して、今回この区分に加わった65~69歳が824万人だったのが主因である。90歳以上が178万人から239万人に増えるなど、長寿化の影響も見られる。これらの結果、総人口に占める65歳以上の割合は、団塊世代がこの区分に加わった影響で大幅に上昇した前回から、さらに上昇して29%となった(図表2)。
*1 総務省統計局のプレスリリースと同様に、年齢不詳の人数を各年齢に割り振った不詳補完結果による。なお、年齢不詳の人数は、罰則付の回答義務があり、調査方法を改善しているにもかかわらず、過去3回の調査で98万人→145万人→293万人と増えている。このまま増え続ければ日本の針路を見誤りかねず、年齢不詳の原因となった回答者の協力改善を期待したい。
2|出生率と死亡率の動向:全体では想定内だが、20代と40代の出生率は低位推計に近い水準
今回の国勢調査の結果を2017年に公表された将来推計人口と比較すると、0~14歳と65歳以上はほぼ推計どおりとなっている(図表1下段)。
出生率の動向を見ると、全体(合計特殊出生率)では2016年から再び低下傾向に転じ、2019年に大きく低下して将来推計の中位と低位の中間に位置している(図表3)。母親の年齢別に見ると、20代と40代で低位推計に近い(一部では若干下回る)値になっている(図表4)。人口動態統計月報年計(概数)によれば新型コロナ禍の影響は限定的になりそうだが、2019年の大幅な低下が一時的な晩婚化や晩産化なのか長期的な生涯未婚率の上昇や完結出生児数の低下につながるのかについては、現時点での見極めが難しいだろう。
高齢者の死亡率の動向を見ると、65歳の平均余命は引き続き延びており、将来推計の中位を若干上回っている(図表5)。年齢別の死亡率を見ると、男性の80代前半と90代前半は低位推計に近い水準となっており、平均余命が延びる要因となっている。
65歳以上の増加は、今回の70歳以上は前回の65歳以上と比べて死亡等により600万人減少したのに対して、今回この区分に加わった65~69歳が824万人だったのが主因である。90歳以上が178万人から239万人に増えるなど、長寿化の影響も見られる。これらの結果、総人口に占める65歳以上の割合は、団塊世代がこの区分に加わった影響で大幅に上昇した前回から、さらに上昇して29%となった(図表2)。
*1 総務省統計局のプレスリリースと同様に、年齢不詳の人数を各年齢に割り振った不詳補完結果による。なお、年齢不詳の人数は、罰則付の回答義務があり、調査方法を改善しているにもかかわらず、過去3回の調査で98万人→145万人→293万人と増えている。このまま増え続ければ日本の針路を見誤りかねず、年齢不詳の原因となった回答者の協力改善を期待したい。
2|出生率と死亡率の動向:全体では想定内だが、20代と40代の出生率は低位推計に近い水準
今回の国勢調査の結果を2017年に公表された将来推計人口と比較すると、0~14歳と65歳以上はほぼ推計どおりとなっている(図表1下段)。
出生率の動向を見ると、全体(合計特殊出生率)では2016年から再び低下傾向に転じ、2019年に大きく低下して将来推計の中位と低位の中間に位置している(図表3)。母親の年齢別に見ると、20代と40代で低位推計に近い(一部では若干下回る)値になっている(図表4)。人口動態統計月報年計(概数)によれば新型コロナ禍の影響は限定的になりそうだが、2019年の大幅な低下が一時的な晩婚化や晩産化なのか長期的な生涯未婚率の上昇や完結出生児数の低下につながるのかについては、現時点での見極めが難しいだろう。
高齢者の死亡率の動向を見ると、65歳の平均余命は引き続き延びており、将来推計の中位を若干上回っている(図表5)。年齢別の死亡率を見ると、男性の80代前半と90代前半は低位推計に近い水準となっており、平均余命が延びる要因となっている。
(2021年12月07日「保険・年金フォーカス」)
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経歴
- 【職歴】
1995年 日本生命保険相互会社入社
2001年 日本経済研究センター(委託研究生)
2002年 ニッセイ基礎研究所(現在に至る)
(2007年 東洋大学大学院経済学研究科博士後期課程修了)
【社外委員等】
・厚生労働省 年金局 年金調査員 (2010~2011年度)
・参議院 厚生労働委員会調査室 客員調査員 (2011~2012年度)
・厚生労働省 ねんきん定期便・ねんきんネット・年金通帳等に関する検討会 委員 (2011年度)
・生命保険経営学会 編集委員 (2014年~)
・国家公務員共済組合連合会 資産運用委員会 委員 (2023年度~)
【加入団体等】
・生活経済学会、日本財政学会、ほか
・博士(経済学)
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