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- コストの二極化が進む投信市場
2021年08月04日
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2021年に入り米国の金融緩和の出口戦略や米長期金利の動向が注目されているが、投資環境自体は外国株式を中心に2020年から引き続き良好な状況が続いている。国内株式は4月以降、やや上値の重い展開が続いているが、米国株式の主要指数が6月に史上最高値を更新するなど、外国株式は概ね堅調に推移している。さらに、国内外のREITも2020年は株式と比べて出遅れていたが、2021年は大きく上昇している。
そのような投資環境の中、2021年上半期(1月から6月)の国内での追加型株式投信(ETFを除く。以後、投信)の販売は、好調であった2020年以上に好調であった。2020年は投信市場全体に2兆2,000億円の資金流入があったが、2021年は上半期だけで2020年1年間の倍近くの4兆2,000億円の資金流入があった。
資産クラス別に2021年上半期の投信の資金動向をみると、2021年上半期に国内REIT投信への資金流入が止まり、外国REIT投信は資金流出に転じた【図表1】。内外REITは2021年に入って前年の急落前以上の水準まで上昇し、戻り待ちをしていた投資家から売却が膨らんだためである。ただ、2020年に資金流出が大きかった国内株式投信や外国債券投信は2021年上半期も資金流出していたが、投資家の売却が一巡し、2020 年に比べると資金流出が緩やかだった。そして、外国株式投信には2021年上半期に4兆2,000億円もの資金流入があり、2020年の流入金額3兆6,000億円を上回った。2021年上半期は投信販売全体が非常に好調ではあったが、実際に売れた投信はほぼ外国株式投信だけであったといって差し支えないだろう。
外国株式投信の中では、いわゆるアクティブ型への資金流入が2021年上半期に3兆1,000億円と2020年の2兆6,000億円の資金流入から既に5,000億円も増加している。アクティブ型ほどではないが、インデックス型にもこの上半期に1兆1,000億円の資金流入があり、半年で2020年の1兆円を上回る資金流入があった。
そのような投資環境の中、2021年上半期(1月から6月)の国内での追加型株式投信(ETFを除く。以後、投信)の販売は、好調であった2020年以上に好調であった。2020年は投信市場全体に2兆2,000億円の資金流入があったが、2021年は上半期だけで2020年1年間の倍近くの4兆2,000億円の資金流入があった。
資産クラス別に2021年上半期の投信の資金動向をみると、2021年上半期に国内REIT投信への資金流入が止まり、外国REIT投信は資金流出に転じた【図表1】。内外REITは2021年に入って前年の急落前以上の水準まで上昇し、戻り待ちをしていた投資家から売却が膨らんだためである。ただ、2020年に資金流出が大きかった国内株式投信や外国債券投信は2021年上半期も資金流出していたが、投資家の売却が一巡し、2020 年に比べると資金流出が緩やかだった。そして、外国株式投信には2021年上半期に4兆2,000億円もの資金流入があり、2020年の流入金額3兆6,000億円を上回った。2021年上半期は投信販売全体が非常に好調ではあったが、実際に売れた投信はほぼ外国株式投信だけであったといって差し支えないだろう。
外国株式投信の中では、いわゆるアクティブ型への資金流入が2021年上半期に3兆1,000億円と2020年の2兆6,000億円の資金流入から既に5,000億円も増加している。アクティブ型ほどではないが、インデックス型にもこの上半期に1兆1,000億円の資金流入があり、半年で2020年の1兆円を上回る資金流入があった。
その一方で、アクティブ型の外国株式投信では2020年7月以降、信託報酬が年率1.65%以上(右:青棒)の投信に大規模な資金流入が続いている。テーマ型の外国株式投信やESGに注目した外国株式投信、さらには分配金が基準価額と合わせて毎月変動する、いわゆる予想分配提示型の外国株式投信など、投資家の人気を集めたアクティブ型は信託報酬が年率1.65%以上とややコストが高い投信ばかりであった。
インデックス型と違ってアクティブ型では、商品選びの際に信託報酬などのコスト面がそこまで重視されていないことがうかがえる。外国株式投信に限った話ではないがアクティブ型ではコストが高くてもそれに見合う、もしくはそれ以上の収益が上がれば良い。それゆえに投資哲学や投資アイデア(テーマ)、さらには運用者や運用体制などが、コスト面以上に重視されているのかもしれない。
特にアクティブ型の外国株式投信は、外部機関の助言などを活用している場合も多く、そのような投信は総じて信託報酬が高めに設定されており、概ね年率1.65%以上である。つまり、外部機関の助言を活用しているようなアクティブ型が人気となっている、もしくはそのようなアクティブ型を販売会社が積極的に推奨している結果として、信託報酬が年率1.65%以上の投信へ大規模な資金流入が続いていると考えられる。
ここ数年、つみたてNISA制度ができたこともあり、インデックス型の外国株式投信を中心にコスト競争が進み、信託報酬が0.22%未満のもの、さらには0.1%を切るものまで出てきた。そのため、個人投資家が中心の投信市場では低コスト化が進んだという印象を持っている方も多いと思われる。ただ、実際に足元で売れている外国株式投信を見る限りでは、コスト面で二極化が進んでいるのが実態と言えるのではないだろうか。
インデックス型と違ってアクティブ型では、商品選びの際に信託報酬などのコスト面がそこまで重視されていないことがうかがえる。外国株式投信に限った話ではないがアクティブ型ではコストが高くてもそれに見合う、もしくはそれ以上の収益が上がれば良い。それゆえに投資哲学や投資アイデア(テーマ)、さらには運用者や運用体制などが、コスト面以上に重視されているのかもしれない。
特にアクティブ型の外国株式投信は、外部機関の助言などを活用している場合も多く、そのような投信は総じて信託報酬が高めに設定されており、概ね年率1.65%以上である。つまり、外部機関の助言を活用しているようなアクティブ型が人気となっている、もしくはそのようなアクティブ型を販売会社が積極的に推奨している結果として、信託報酬が年率1.65%以上の投信へ大規模な資金流入が続いていると考えられる。
ここ数年、つみたてNISA制度ができたこともあり、インデックス型の外国株式投信を中心にコスト競争が進み、信託報酬が0.22%未満のもの、さらには0.1%を切るものまで出てきた。そのため、個人投資家が中心の投信市場では低コスト化が進んだという印象を持っている方も多いと思われる。ただ、実際に足元で売れている外国株式投信を見る限りでは、コスト面で二極化が進んでいるのが実態と言えるのではないだろうか。
(2021年08月04日「ニッセイ年金ストラテジー」)
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経歴
- 【職歴】
2008年 大和総研入社
2009年 大和証券キャピタル・マーケッツ(現大和証券)
2012年 イボットソン・アソシエイツ・ジャパン
2014年 ニッセイ基礎研究所 金融研究部
2022年7月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会検定会員
・投資信託協会「すべての人に世界の成長を届ける研究会」 客員研究員(2020・2021年度)
前山 裕亮のレポート
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