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- 英国雇用関連統計(4月)-失業率は低下も、明確な改善は見られず
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1.結果の概要:失業率はやや低下
【4月】
・失業保険申請件数1は前月(264.41万件)から1.51万件減の262.90万件となった(図表1)。
・申請件数の雇用者数に対する割合は7.2%となり、前月(同7.2%)から横ばいだった。
【3月(21年1-3月の3か月平均)】
・失業率は4.8%で前月(4.9%)から下落、市場予想2(4.9%)も下回った(図表1)。
・就業者は3247.6万人で3か月前の3239.3万人から8.3万人の増加となった。
増減数は前月(▲7.3万人)の減少から増加に転じ、市場予想(+5.0万人)も上回った。
・週平均賃金は、前年同期比+4.0%で前月(+4.5%)から減速、市場予想(+4.5%)も下回った(図表2)。
1 求職者手当(JSA:Jobseekerʼs Allowance)、国民保険給付(National Insurance credits)を受けている者に加えて、主に失業理由でユニバーサルクレジット(UC)を受給している者の推計数の合算。なお、UCはJSAより幅広い求職手当てであり、失業者数を示す統計としては過大評価している可能性がある。このため、ONSは失業保険等申請件数について公式統計とはしておらず実験統計という位置付けで公表している。ただし、公表日の前月のデータを入手できるため、速報性の高さという利点がある。
2 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。
2.結果の詳細:失業率はやや改善したが、休業者や労働時間の改善はみられず
給与所得者データ3を見ると、4月の給与所得者は2827.8万人で3月から9.7万人増えた。3月の給与所得者は前月公表された速報時点では2月と比較して減少していたが、今回公表された改定値では増加に修正された(図表4)。ただし、業種別に見るとコロナ禍の影響が大きい居住・飲食業の減少傾向は続いている。月あたり給与額(中央値)については前年同月比+9.8%となり、ベースとなる前年同月の給与額(中央値)がコロナ禍の影響で下落していた反動で伸びが大きく加速している。ただし、2年前比で見ても+8.7%と高い伸び率を示している。
4月以降には4月12日に屋外飲食が解禁され、5月17日には店内飲食が解禁されている。本格的な経済活動の再開がはじまりつつあるため、雇用関連指標の動向は引き続き注目と言える。
3 歳入関税庁(HRMC)の源泉徴収情報を利用した実験統計。直近データは利用可能な情報の85%ほどを集計して算出。
4 CJRS(Coronavirus Job Retention Scheme)は21年9月末まで実施予定。6月までについては昨年8月と同じ水準での支給(月2500ポンドを上限に給与の80%まで支給、社会保障は雇用主負担)、その後7月以降は段階的な政府負担の引き下げを予定。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2021年05月19日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1818
- 【職歴】
2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
2009年 日本経済研究センターへ派遣
2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
2014年 同、米国経済担当
2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
2020年 ニッセイ基礎研究所
2023年より現職
・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
アドバイザー(2024年4月~)
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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