2021年04月19日

米住宅着工・許可件数(21年3月)-寒波の影響で減少した前月の反動もあって、住宅着工、許可件数ともに大幅に増加

経済研究部 主任研究員 窪谷 浩

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1.結果の概要:着工件数、許可件数ともに前月、市場予想を大幅に上回る

4月16日、米国センサス局は3月の住宅着工、許可件数を発表した。住宅着工件数(季節調整済、年率)は173.9万件(前月改定値:145.7万件)と142.1万件から上方修正された前月を上回ったほか、市場予想の161.3万件(Bloomberg集計の中央値)を大幅に上回った(図表1、図表3)。

住宅着工許可件数(季節調整済、年率)は176.6万件(前月改定値:172.0万件)と、168.2万件から上方修正された前月、市場予想の175.0万件を上回った(図表2、図表5)。
(図表1)住宅着工件数/(図表2)住宅着工許可件数

2.結果の評価:住宅着工件数は大幅に増加、1-3月期の住宅投資は底堅い伸びへ

住宅着工件数の伸びは、前月比+19.4%(前月:▲11.3%)と寒波の影響で2桁の落ち込みとなった前月の反動もあって2桁のプラスに転じた(図表3)。内訳をみると、戸建てが+15.3%(前月:▲6.8%)と3ヵ月ぶりにプラスに転じたほか、集合住宅も前月比+30.8%(前月:▲21.8%)と前月から大幅なプラスに転じた(図表4)。

前年同月比では+37.0%(前月:▲7.0%)と前月から大幅なプラスに転じた。戸建てが+40.7%(前月:+3.9%)と前月から大幅に伸びが加速したほか、集合住宅が+28.8%(前月:▲28.1%)と20年7月(+46.9%)以来、8ヵ月ぶりにプラスに転じた。

地域別寄与度(前月比)は、西部こそ▲4.1%ポイント(前月:+2.2%ポイント)と前月からマイナスに転じたものの、北東部が+4.9%ポイント(前月:▲5.8%ポイント)、中西部が+11.5%ポイント(前月:▲4.6%ポイント)、南部が+7.1%ポイント(前月:▲3.1%ポイント)とプラスに転じた。
(図表3)住宅着工件数(伸び率)/(図表4)住宅着工許可件数前月比(寄与度)
先行指標である住宅着工許可件数は、前月比+2.7%(前月:▲8.8%)と前月からプラスに転じた(図表5)。集合住宅が▲1.2%(前月:▲6.8%)と前月に続いてマイナスとなったものの、戸建てが+4.6%(前月:▲9.8%)とプラスに転じて全体を押し上げた(図表6)。

前年同月比は+30.2%(前月:+19.6%)と9ヵ月連続のプラスとなった。戸建てが+35.6%(前月:+15.3%)と9ヵ月連続で2桁のプラスとなったほか、集合住宅も+20.1%(前月:+29.3%)と3ヵ月連続で2桁のプラスとなった。
(図表5)住宅着工許可件数(伸び率)/(図表6)住宅着工許可件数前月比(寄与度)
(図表7)住宅着工件数と実質住宅投資の伸び率 一方、住宅着工件数と許可件数の3ヵ月移動平均、3ヵ月前比は年率で3月がそれぞれ+7.3%(12月:+49.7%)、+46.5%(12月:+38.2%)となった(図表7)。許可件数が12月から伸びが加速したほか、着工件数は伸びが鈍化したものの、堅調な伸びを維持した。

このため、GDPにおける住宅投資は20年10-12月期の前期比年率+36.6%からは鈍化が見込まれるものの、21年1-13月も3期連続のプラス成長となるほか、成長率も1桁台後半から2桁台の底堅い伸びを維持する可能性が高い。
 
 

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経済研究部   主任研究員

窪谷 浩 (くぼたに ひろし)

研究・専門分野
米国経済

(2021年04月19日「経済・金融フラッシュ」)

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