2021年03月29日

米個人所得・消費支出(21年2月)-個人所得は、大幅に増加した前月の反動で、大幅減少

経済研究部 主任研究員   窪谷 浩

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1.結果の概要:個人所得、個人消費ともに前月比で減少

3月26日、米商務省の経済分析局(BEA)は2月の個人所得・消費支出統計を公表した。個人所得(名目値)は前月比▲7.1%(前月改定値:+10.1%)と+10.0%から小幅上方修正された前月から大幅な減少に転じた一方、市場予想(Bloomberg集計の中央値、以下同様)の▲7.2%は小幅に上回った(図表1)。個人消費支出は前月比▲1.0%(前月改定値:+3.4%)と+2.4%から上方修正された前月から減少に転じたほか、市場予想(▲0.8%)も下回った。また、価格変動の影響を除いた実質個人消費支出(前月比)は▲1.2%(前月改定値:+3.0%)とこちらも+2.0%から上方修正された前月から減少したほか、市場予想(▲1.0%)も下回った(図表5)。貯蓄率1は13.6%(前月:19.8%)と、前月から▲6.2%ポイント低下した。

価格指数は、総合指数が前月比+0.2%(前月:+0.3%)となり、前月、市場予想(+0.3%)を下回った。変動の大きい食料品・エネルギーを除いたコア指数は前月比+0.1%(前月改定値:+0.2%)と、こちらは+0.3%から下方修正された前月を下回った一方、市場予想(+0.1%)に一致した(図表6)。前年同月比は総合指数が+1.6%(前月改定値:+1.4%)と+1.5%から下方修正された前月を上回った一方、市場予想(+1.6%)に一致した。コア指数は+1.4%(前月:+1.5%)と、こちらは前月、市場予想(+1.5%)を下回った(図表7)。
 
1 可処分所得に対する貯蓄(可処分所得-個人支出)の比率。

2.結果の評価:前月の反動で所得、消費は減少も来月以降は回復へ

(図表1)個人所得・消費支出、貯蓄率 2月の個人所得は、12月下旬に決まった追加経済対策(CRRSA法)に伴う家計向けの直接給付などが1月の所得を大幅に持ち上げた反動で前月に比べて大幅な減少となった(図表1)。

また、個人消費の減少は個人所得同様に1月に増加した反動に加え、2月に米国を襲った寒波の影響が考えられる。

もっとも、3月11日に成立した米国救済計画法は家計向けにCRRSA法の1人600ドルを大幅に上回る1人1,400ドルの直接給付を盛り込んでおり、既に支給が急速に進んでいることを考慮すると、3月の個人所得は再び大幅な増加に転じることが見込まれている。このため、個人消費は天候回復に加えて、個人所得の増加から3月以降は再び回復に転じよう。

一方、FRBが物価指標としているPCE価格指数(前年同月比)は、総合指数、コア指数ともにFRBの物価目標(2%)を大幅に下回っているほか、総合指数は前月に一致したものの、コア指数は前月から低下しており、金融市場で期待インフレ率が上昇しているのとは対照的に足元で物価上昇圧力は高まっていないことを示している。

3.所得動向:前月に大幅増加した反動で移転所得が大幅に減少

2月の個人所得は、自営業者所得が前月比+2.3%(前月:▲0.1%)、利息配当収入が+0.5%(前月:▲2.8%)と前月からプラスに転じた(図表2)。また、賃金・給与所得は横這い(前月:+0.7%)となった。

一方、移転所得は▲27.4%(前月:+52.2%)と前月の反動もあって大幅なマイナスに転じ、全体を押し下げた。移転所得は前月比年率▲1兆5,776億ドル減少したが、これはCRRSA法に盛り込まれた家計向けの直接給付(1人当たり600ドル)で前月に+1兆6,609億ドル増加した後、給付が概ね終了したことから、2月に前月比で▲1兆5,650億ドル減少したことが大きい。

個人所得から税負担などを除いた可処分所得(前月比)は、2月の名目が▲8.0%(前月:+11.4%)、価格変動の影響を除いた実質ベースが▲8.2%(前月:+11.1%)となり、名目、実質ともに大幅なマイナスに転じた。(図表3)。
(図表2)名目個人所得(前月比寄与度)/(図表3)可処分所得(名目、実質)

4.消費動向:財消費が幅広い分野で減少

2月の名目個人消費(前月比)は、財消費が▲3.0%(前月:+8.4%)とマイナスに転じた一方、サービス消費は+0.1%(前月:+0.9%)と伸びが鈍化したものの、プラスを維持した(図表4)。

財消費では、耐久財が▲4.7%(前月:+11.9%)、非耐久財が▲2.0%(前月:+6.5%)といずれも前月からマイナスに転じた。

耐久財では、自動車・自動車部品が▲4.6%(前月:+8.7%)、家具・家電が▲4.6%(前月:+14.1%)、娯楽財・スポーツカーが▲5.5%(前月:+14.1%)と軒並み前月からマイナスに転じた。

非耐久財では、ガソリン・エネルギーが+7.0%(前月:+9.3%)と高い伸びを維持した一方、衣料・靴が▲5.5%(前月:+13.3%)、食料・飲料が▲1.5%(前月:+5.9%)と前月からマイナスに転じた。

サービス消費は、外食・宿泊が▲1.6%(前月:+7.0%)、輸送が▲0.6%(前月:+1.4%)と前月からマイナスに転じたほか、娯楽が+0.7%(前月:+4.3%)、医療サービスが+0.4%(前月:+0.9%)と伸びが鈍化した。一方、住宅・公共料金が+0.8%(前月▲0.2%)、金融サービスが+0.5%(前月:▲0.2%)と前月からプラスに転じ、全体を押し上げた。
(図表4)名目個人消費(前月比寄与度)/(図表5)個人消費支出(名目、実質)

5.価格指数:エネルギー価格が前年同月比で1年ぶりに物価を押し上げ

価格指数(前月比)の内訳をみると、エネルギー価格指数が+3.8%(前月:+3.4%)と9ヵ月連続のプラスとなったほか、前月から伸びが加速した(図表6)。また、食料品価格指数は+0.2%(前月:▲0.1)と前月からプラスに転じた。

前年同月比では、エネルギー価格指数が+1.2%(前月:▲4.5%)と1年ぶりにプラスに転じた(図表7)。一方、食料品価格指数は+3.3%(前月:+3.6%)と、こちらは17年7月以来44ヵ月連続のプラスとなった。
(図表6)PCE価格指数(前月比)/(図表7)PCE価格指数(前年同月比)
 
 

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経済研究部   主任研究員

窪谷 浩 (くぼたに ひろし)

研究・専門分野
米国経済

(2021年03月29日「経済・金融フラッシュ」)

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