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- 中国経済の見通し-財政金融で持ち直した後は消費主導へ
2021年02月26日
■要旨
- 新型コロナ禍との闘いに明け暮れた20年を終えた。新型コロナ禍で混乱した1-3月期の中国経済は大幅なマイナス成長に落ち込んだが、新型コロナの感染が収束した4-6月期以降は正常化に向かい成長の勢いを取り戻していった(左下図)。そして、20年通期の成長率は実質で前年比2.3%増となり、主要先進国がマイナス成長に落ち込む中でもプラス成長を維持した。
- 需要項目別に見ると、初めに回復に転じたのは投資だった。財政・金融両面からの景気対策が大きく寄与した。次に持ち直したのは輸出だった。新型コロナが世界に拡散したことで中国からの輸出はむしろ増えることとなった。個人消費は最後まで緩やかな回復に留まったが、可処分所得・失業率・消費者信頼感指数などの指標が最悪期を脱し改善傾向を示している。
- 新型コロナ禍に見舞われた20年の財政運営は、前年比でおよそ3.6兆元増やす計画で臨み、防疫体制の整備や個人・企業の経済的ダメージを和らげる上では多大な貢献があった。しかし、政府債務が拡大してしまったため、21年の財政運営は新型コロナ感染や景気動向を見極めつつも、「持続可能」な財政政策に舵を切っていくものと見られる。
- 他方、20年の金融運営は、“疫情融資”と呼ばれるモラトリアム的な特別措置で臨み、銀行に返済を猶予させた元利金額は7.3兆元に達し、経済をV字回復させる上では多大な貢献があった。但し、ここ数年で進めてきた債務圧縮(デレバレッジ)は頓挫し、非金融企業債務が再拡大したため、21年の金融運営は引き締め方向への微調整が続くものと見られる。
- 以上を踏まえて、21年の成長率は実質で前年比7.0%増、22年は同5.3%増と予想する(右下表)。21年以降は個人消費が牽引役となるだろう。所得環境、雇用環境、消費者心理の改善に加えて、内需振興策にも期待できるからだ。また、投資も小幅なプラス寄与を維持できるだろう。財政・金融面からの支援は減るが、新型インフラ建設や消費拡大に伴う投資増が期待できる。新型コロナ禍が追い風となった輸出は、世界でワクチン接種が進むとともに落ち着く。
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三尾 幸吉郎
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