2021年02月01日

世界各国の金融政策・市場動向(2021年1月)-これまでの株高、ドル安傾向に一服感も

経済研究部 主任研究員 高山 武士

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1.概要:株価は1月後半にかけて調整が進む

1月に世界各国1で実施された金融政策および、株価・為替の動きは以下の通り。
 

【1月金融政策】


【1月の株価・対ドル為替レートの動き】
・新興国株を中心に大きく上昇したが、月後半にかけて調整圧力が強まった(図表1)
・月上旬から米景気回復期待などからドル高が進み、これまでのドル安傾向が一服した(図表2)

(図表1)世界株価の動向/(図表2)対ドル為替レートの動向
 
1 本稿では金融政策はG20について確認する。また、株価・為替についてはMSCI ACWIの指数を構成する50か国・地域について確認する(2020年11月末よりMSCIの新興国としてクウェートが追加されている)。中国と記載した場合は中国本土を指し香港は除く。また、香港等の地域も含めて「国」と記載する。

2.金融政策:1月は様子見姿勢

2021年1月には、日米欧をはじめとして金融政策の方針が決定されたが、主要国いずれでも現行政策が維持された。多くの国では昨年までに新型コロナウイルスの感染拡大に伴って緩和的な金融政策を実施しており、年初は様子見姿勢を示す結果となった。

新興国のうちトルコは、インフレや通貨高を警戒して昨年12月まで2会合連続で、政策金利の引き上げを決定していたが1月は政策金利を据え置いた。

3.金融市場:1月上旬は新興国株中心に上昇したが、月後半にかけて調整が進む

MSCI ACWIにおける月間騰落率を見ると、全体では前月比▲0.5%、先進国が前月比▲1.1%、新興国が前月比+3.0%となり、前月に引き続き新興国はプラスを維持したものの、先進国はマイナスに転じた。
(図表3)MSCI ACWI構成銘柄の国別騰落数 国別の株価の動きを見ると、1月は対象国50か国中、23か国が上昇、27か国が下落という結果となった(図表3)。先進国・新興国のいずれでも上昇する国と下落する国が散見され、バラツキの大きい結果となったと言える。
新興国は、1月25日にかけて株価が急上昇しており、特に韓国・台湾・中国・香港の上昇が目立っていた。半導体やIT関連株などが好調だったと見られる。

ただし、株価は月末にかけて調整し、先進国指数では前月比マイナスの結果となった。米国での一部の銘柄の極端な動き2などから、株価の調整懸念が広がったと見られる。新興国でも、26日以降は株価の調整が見られ、月末にかけて下落したため上昇幅は小幅にとどまっている3(図表4)。
(図表4)各国の株価変動率
通貨の騰落率を見ると、対ドルの27カ国の貿易ウエイトで加重平均した実効為替レート(Narrow)が前月比▲0.5%、60カ国の貿易ウエイトで加重平均した実効為替レート(Broad)が前月比▲0.5%と、わずかにドル高となり、これまでのドル安傾向に歯止めがかかっている4(前掲図表2)。

ドル高は1月上旬に進んでおり、米景気回復期待や米金利上昇に伴う、ドル買い圧力の高まりを反映したものと見られる。
(図表5)MSCI ACWI構成通貨の通貨別騰落数 ただし、MSCI ACWIの構成通貨別に見ると、39通貨中18通貨が対ドルで上昇(ドル安)、21通貨が上昇(ドル安)となり、通貨によるバラツキも見られる(図表5)。
通貨別に見ると(図表6)、アルゼンチンペソ、ブラジルレアルを中心にドル高(自国通貨安)が強いことが分かる。

2013年にFRBによる量的緩和策の縮小(いわゆるテーパリング)が示唆された際に、新興国資産の売り圧力(ドル高圧力)が高まったが、今回も同様に、米景気拡大にともなって量的緩和策からの出口を模索する動きに対するドル高懸念が広がっていると見られる。
(図表6)各国の対ドル為替レート変動率
 
2 個人投資家による、米交流サイト「レディット(reddit)」における売買を促す動きと、株取引アプリ「ロビンフッド」を利用した短期売買が相場急変の一因と見られている。
3 新興国では中国金融政策当局の委員によるバブル警戒発言なども調整を促したとされる。
4 名目実効為替レートは2021年1月22日の前月末比で算出。
(参考)主要国の新型コロナウィルス拡大後の金融政策一覧
 
 

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経済研究部   主任研究員

高山 武士 (たかやま たけし)

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

(2021年02月01日「経済・金融フラッシュ」)

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