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- ブラジルGDP(2020年7-9月期)-前期比7.7%と反発も、不透明感は強い
2020年12月04日
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1.結果の概要:7-9月期は前期比7.7%
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。
2.結果の詳細:サービス産業の回復は弱く、先行きの不透明感は依然として強い
7-9月期の実質GDP伸び率は前期比7.7%(季節調整値、年率換算34.6%)と4-6月期の急減(前期比▲9.6%)から反発した。需要項目別には、個人消費が7.6%(前期:▲11.3%)、政府消費が3.5%(前期:▲7.7%)、投資11.0%(前期:▲16.5%)、輸出が▲2.1%(前期:1.6%)、輸入が▲9.6%(前期:▲12.4%)となった。輸出入を除いた主要項目はいずれも4-6月期の減少かは反発している。ただし、反発力は弱く前年同期比(未季節調整値)を見ると、個人消費▲6.0%、投資▲7.8%、政府消費▲5.2%といずれも5%以上のマイナス圏にある。輸出入では輸出が▲1.1%、輸入▲25.0%であり、消費・投資・輸入からは内需の弱さがうかがえる。
次に産業分類別に実質GDPの伸び率を見ると、10-12月期は前期比では多くのセクターで反発している(図表3)。大分類では「第二次産業」で前期比14.8%と大きく反発、前年同期比でも▲0.9と小幅マイナスの状態まで改善している。製造業の反発が強かったことが主因と考えられる。一方、「第三次産業」は前期比6.3%、前年同期比で▲4.8%と回復力は弱い。「その他(専門サービス、生活関連サービス、娯楽等)」(前年同期比▲14.4%)、「運輸」(同▲10.4%)といった人の移動を伴うサービス産業が依然として低水準にある。
次に産業分類別に実質GDPの伸び率を見ると、10-12月期は前期比では多くのセクターで反発している(図表3)。大分類では「第二次産業」で前期比14.8%と大きく反発、前年同期比でも▲0.9と小幅マイナスの状態まで改善している。製造業の反発が強かったことが主因と考えられる。一方、「第三次産業」は前期比6.3%、前年同期比で▲4.8%と回復力は弱い。「その他(専門サービス、生活関連サービス、娯楽等)」(前年同期比▲14.4%)、「運輸」(同▲10.4%)といった人の移動を伴うサービス産業が依然として低水準にある。
ブラジルの足もとの経済状況を見ると、全体的な経済活動の動向を把握できる経済活動指数(IBC-Br)は前年同期比でのマイナス幅を縮小させており、9月は前年同期比▲2.0%まで回復している。ただし、経済活動の回復ペースは鈍化しているほか、政府の主要支援策である現金給付2についても、ボルソナロ大統領は12月末で打ち切る姿勢を示しており、来年以降は支援策による景気下支え効果は弱まると見られる。新型コロナウイルスの感染者数も夏のピークほどではないが、足もとで拡大傾向にあり、ブラジル経済の先行きは依然として不透明感が強いと考えられる。
2 低所得者向けの現金給付で月額。600レアルは最低賃金の約60%程度の水準となる。6500万人以上が受け取ったとされている。12月末まで延長されたが、9月からの給付金額は300レアルに半減された。
2 低所得者向けの現金給付で月額。600レアルは最低賃金の約60%程度の水準となる。6500万人以上が受け取ったとされている。12月末まで延長されたが、9月からの給付金額は300レアルに半減された。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2020年12月04日「経済・金融フラッシュ」)
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経歴
- 【職歴】
2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
2009年 日本経済研究センターへ派遣
2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
2014年 同、米国経済担当
2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
2020年 ニッセイ基礎研究所
2023年より現職
・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
アドバイザー(2024年4月~)
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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