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「ニッポンの結婚適齢期」男女の年齢・徹底解剖(2)―2018年婚姻届全件分析(再婚男性編)―
生活研究部 人口動態シニアリサーチャー 天野 馨南子
はじめに
第2弾は「再婚男性」の結婚年齢に焦点をあて、結婚(再婚)適齢期を考えてみたい。
前回に同じく、データソースには、厚生労働省「人口動態調査」に掲載されている、2018年における婚姻届の集計結果を用いているため、ニッポンの結婚、についての全数分析結果である。
1――男性の再婚割合と妻の婚歴は
初婚男性の再婚女性との結婚割合が8.4%である状況と比べると、再婚男性の結婚に関しては、相手の女性の婚歴に強くはこだわらない姿勢が見てとれる。
2――男性の「再婚適齢期」も明確
まず、再婚男性の結婚の半数を占める初婚女性との結婚から見ていきたい(図表3)。
最頻値は35歳で、初婚男性のピークよりも6歳上昇する。該当する婚姻の婚姻届の過半数が提出される年齢を適齢期とするならば、再婚男性の初婚女性との結婚適齢期は38歳、ということになる。
また、婚姻届の7割が提出される年齢は43歳、8割が提出される年齢は46歳であるため、婚歴のある男性が初婚女性との成婚を望んでいる場合、40代後半以降は厳しい状況となる、といえる。また52歳で9割に達するため、50代での初婚女性との再婚に対して安易な期待をもつことは極めて厳しい状況である。
件数分布グラフからは、29歳が適齢期(シリーズ(1)参照)の初婚男性よりも9歳(=38歳-29歳)の適齢期のモラトリアムがあることが示されているものの、30代後半をピークに左右に急角度の綺麗な三角が形成されていることから、ピーク年齢を過ぎてものんびりと再婚に対して構えることは、相手を初婚女性に限定するのであれば、成婚を難しくすることに注意が必要である。
3――再婚女性との結婚は年齢上昇の障壁を引き下げる効果大
しかし、再婚男性が再婚女性との成婚を目指すケースにおいては、適齢期のモラトリアムがかなり延長されることが分析結果で示されているので、紹介しておきたい。
再婚男性の半数を占める再婚女性との結婚について、その発生年齢を見てみると、最頻値は44歳となる(図表4-1)。再婚同士の婚姻件数が5割を超える男性の年齢は45歳であることから、再婚男性が初婚女性との結婚を目指す場合よりも、再婚女性との結婚適齢期は7歳(=45歳-38歳)延長する。
また、再婚者同士の婚姻が7割を超える男性の年齢は52歳、8割を超える年齢は57歳にまで上昇するため、少なくとも50歳過ぎあたりまでは、成婚への道は一定程度開かれている、といってよい状況といえる。婚姻届が9割に達する年齢が還暦を過ぎた65歳であることからも、初婚男性や、初婚女性との成婚を目指す再婚男性に比べれば、長期戦が可能、という結果も示された。
ここで念のため、相手が初婚女性と再婚女性、双方の婚姻の発生時期が比較可能なグラフを最後に示しておきたい(図表4-2)。
初婚女性との結婚は、グラフ上で底辺の短い角度のついた高い山をみせており、再婚を望む男性にとっては適齢期となる38歳を相当意識した活動が必要であり、40代後半からは厳しくなる、ということが示される。一方、再婚女性との結婚は底辺の広い緩やかな山が描かれており、50歳を過ぎてからも年々厳しくはなるものの、成婚活動が報われる可能性がある、という適齢期モラトリアムの明確な差をはっきりと読みみることが可能である。
1 72歳以降は1歳あたり200件を、76歳以降は1歳あたり150件を切って婚姻数が徐々に減少していくが、政府統計では80歳以上がまとめて集計されており、80歳以上は累計438件となっている。棒グラフ上は高さがやや目立つものの、90歳までと仮定して、1歳あたり平均40件程度と考えると件数逓減の域を外れているとまではいえない。
4――成婚を希望する男性が留意すべきこと
彼の言葉で非常に印象的だったのは、「婚歴のある自分でも良い、と言ってくれる女性に絞りました」であった。
結果的に彼は6歳年下の初婚女性と結婚したのだが、初婚女性にこだわった相手探しをしたわけではなかったのである。
自分の過去をそのままに受け止めてくれる相手、であることが、彼が相手の女性に求めた唯一の条件であった。
初婚男性、再婚男性の結婚適齢期の解析結果を2回にわたって説明してきたが、初婚男性であれば、自分と離れた年齢の相手を求めない、再婚男性であれば、相手の婚歴にこだわらない、といった行動が成婚への鍵となることが示唆されている。
結婚から、望む幸せを与えられるイメージをもつよりも、ともに話し合いながら、2人だからこそもつことができる新たな視点で幸せを築きあげていくイメージをもつ、ということが、幸せな出会いへの近道になる、ということかもしれない。
【参考文献一覧】
厚生労働省.「人口動態統計」
天野 馨南子.「ニッポンの結婚適齢期」男女の年齢・徹底解剖(1)―2018年婚姻届全件分析(初婚男性編)―.ニッセイ基礎研究所「基礎研レポート」2020年11月16日
天野 馨南子.「年の差婚」の希望と現実-未婚化・少子化社会データ検証-データが示す「年の差婚の希望の叶い方.ニッセイ基礎研究所「研究員の眼」2017年2月20日
天野 馨南子.初婚・再婚別にみた「年の差婚の今」(上)-未婚少子化データ考- 平成ニッポンの夫婦の姿.ニッセイ基礎研究所「基礎研レポート」2018年5月14日
天野 馨南子.初婚・再婚別にみた「年の差婚の今」(下)-未婚少子化データ考-変わり行く2人のカタチ.ニッセイ基礎研究所「基礎研レポート」2018年5月28日
(2020年11月20日「基礎研レポート」)
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03-3512-1878
- プロフィール
1995年:日本生命保険相互会社 入社
1999年:株式会社ニッセイ基礎研究所 出向
・【総務省統計局】「令和7年国勢調査有識者会議」構成員(2021年~)
・【こども家庭庁】内閣府特命担当大臣主宰「若い世代の描くライフデザインや出会いを考えるワーキンググループ」構成員(2024年度)
・【こども家庭庁】令和5年度「地域少子化対策に関する調査事業」委員会委員(2023年度)
※都道府県委員職は年度最新順
・【富山県】富山県「県政エグゼクティブアドバイザー」(2023年~)
・【富山県】富山県「富山県子育て支援・少子化対策県民会議 委員」(2022年~)
・【高知県】高知県「元気な未来創造戦略推進委員会 委員」(2024年度)
・【高知県】高知県「中山間地域再興ビジョン検討委員会 委員」(2023年度)
・【三重県】三重県「人口減少対策有識者会議 有識者委員」(2023年度)
・【石川県】石川県「少子化対策アドバイザー」(2023年度)
・【東京商工会議所】東京における少子化対策専門委員会 学識者委員(2023年~)
・【愛媛県法人会連合会】えひめ結婚支援センターアドバイザー委員(2016年度~)
・【公益財団法人東北活性化研究センター】「人口の社会減と女性の定着」に関する情報発信/普及啓発検討委員会 委員長(2021年~)
・【主催研究会】地方女性活性化研究会(2020年~)
・【内閣府特命担当大臣(少子化対策)主宰】「少子化社会対策大綱の推進に関する検討会」構成員(2021年~2022年)
・【内閣府男女共同参画局】「人生100年時代の結婚と家族に関する研究会」構成員(2021年~2022年)
・【内閣府委託事業】「令和3年度結婚支援ボランティア等育成モデルプログラム開発調査 企画委員会 委員」(内閣府委託事業)(2021年~2022年)
・【内閣府】「地域少子化対策重点推進交付金」事業選定審査員(2017年~)
・【内閣府】地域少子化対策強化事業の調査研究・効果検証と優良事例調査 企画・分析会議委員(2016年~2017年)
・【内閣府特命担当大臣主宰】「結婚の希望を叶える環境整備に向けた企業・団体等の取組に関する検討会」構成メンバー(2016年)
・【富山県】富山県成長戦略会議真の幸せ(ウェルビーイング)戦略プロジェクトチーム 少子化対策・子育て支援専門部会委員(2022年~)
・【長野県】伊那市新産業技術推進協議会委員/分野:全般(2020年~2021年)
・【佐賀県健康福祉部男女参画・こども局こども未来課】子育てし大県“さが”データ活用アドバイザー(2021年~)
・【愛媛県松山市「まつやま人口減少対策推進会議」専門部会】結婚支援ビッグデータ・オープンデータ活用研究会メンバー(2017年度~2018年度)
・【中外製薬株式会社】ヒト由来試料を用いた研究に関する倫理委員会 委員(2020年~)
・【公益財団法人東北活性化研究センター】「人口の社会減と女性の定着」に関する意識調査/検討委員会 委員長(2020年~2021年)
日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
日本労務学会 会員
日本性差医学・医療学会 会員
日本保険学会 会員
性差医療情報ネットワーク 会員
JADPメンタル心理カウンセラー
JADP上級心理カウンセラー
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